梟 フクロウのレビュー・感想・評価
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サスペンス
確かに、私が見ました。
時は1645年。朝鮮王朝の歴史に詳しければ引き込まれるのは必至だろうけど、知らなくても十分面白い。大国中華王朝と陸続きの小国朝鮮は、顔色を窺いながら生きなければならない。それはかつての琉球などもそうだろうし。その時代的地理的背景が起こす政治的思惑、施政者は陰湿にならざるを得ないなあ。その気分を煽るような展開。権力欲の渦に巻き込まれる、幾人かの心に宿す正義と倫理観。盲目の鍼医師の設定も絶妙。説明過多じゃないのもいい。こちらも一緒に「あ!」と気付く快感がいい。そして、扉を開いた時の朝日、まるでドラキュラまがいのその瞬間の絶望感。ラストはなんだかモヤつくけど。
あまり韓国映画は好んで観ないけど、なるほど国民性を考えてみれば、韓国がノワールものが得意分野なのは分かる気がした。
ノンストップサスペンス
盲人は目を瞑らない
ぐおぉぉ...おもしれぇ...。ポスターからものすごい映画なんだろうと伝わってきたが、ここまでとは。これまで味わったことの無い緊張のあまり、自分の心臓の音がうるさい。「コンクリート・ユートピア」に続き、今年は韓国映画の調子がとんでもなく良さそうです。
朝鮮王朝を壮大なセットでリアリティたっぷりに描く前半。この映画のすごいところは、この前半部分だけでも人間ドラマとして完成されているということ。知識が無いのもあるが、私は普段あまり朝鮮・中国の歴史物は得意としないのだけど、本作は見事な脚本で自分でも驚くほどどっぷりと浸ることが出来た。専門用語も多く登場するけど、丁寧に描かれているためかなり勉強になる。
一方後半からは本題に入ると共に、物語の進行を一気に加速させる。時間の関係で若干早足、粗くなっているのは否めないが、こんなにも夢中で見られるサスペンスはそう見れるもんじゃない。一体どうなるんだ、どうなってしまうんだ...とスクリーンに釘付け。前半で朝鮮王朝の時代背景についてしっかり勉強したことで、より理解が深まり、見応えが増す。なんて美しい作りなんでしょう。「仕掛人・藤枝梅安」の記憶が新しい、鍼療法。本作で、《鍼サスペンス》は最高だということが立証されたでしょ。
主人公のあまりに堂々とした立ち振る舞いやラストの締めくくりには違和感があるものの、洗練されたカットと映画であることを忘れてしまうほど自然な演技、そして何より人物描写には、心奪われるどころかもはや肝が冷える。梟というタイトルの意味や当時の常識など、本作の魅力は数しれず。なんかもう、上手いんですよね...(語彙力皆無)。
「告白、あるいは完璧な弁護」が大好きな自分にとっては、今年もこんな傑作サスペンスが見れるなんて至極幸せ。韓国映画、最っ高!ネタバレ厳禁映画ですので深くまで言及出来ませんが、非常に良く出来ているので、見る映画に迷ったら是非本作を。
韓国宮廷モノ最高サスペンス!
怒涛の
単純に面白かった。
少し無理があるところもなくはないが、後半の怒涛の展開には見入ってしまった。
韓国の時代劇はちゃんとエンターテイメントになっていていつも感心する、日本の時代劇はどこか文芸的で娯楽性に欠けるので(もしくはコメディで、ハラハラドキドキ感はかなり乏しい)面白さという点では韓国時代劇を見習えないものかと思った。
日本の歴史にも裏切りの数々はあっただろう。しかし、日本人の気質か、裏切りや謀反にも大義名分があったりと、そんな無茶苦茶な、という完全なヒールがなかなか出てきづらい。
一昨年の大河ドラマ、鎌倉殿で主人公北条義時が後半徐々にヒールになってはいったが、それでも圧倒的に憎める存在にはなり得なかった。
ノワールの分野で邦画が韓国映画になかなか追いつけないのは元々の国民性の違いもあるのかもしれないなと思った次第である。
中盤からのスピード感や緊張感がハンパ無いメッチャ面白い韓国映画。 本年度ベスト!!
とても良い作品だった!
中盤以降の引き込まれ感が凄い!
終始暗めな映像が手に汗を握る緊張感を増していた感じ!!
難しい映画と身構えて鑑賞したけどストレートな作風がとても良い!
盲目の鍼医のギョンス。
盲目と言いながらも暗闇ではうっすらと見える設定。
ひょんな事から鍼の技術を買われ宮廷で働く事に。
そんな中、ギョンスに優しく接してくれた王の世子(跡継ぎ)が暗殺される所を目撃。
ギョンスが暗殺者と疑われ宮廷内で逃げる中、犯人と首謀者を知らせようとする展開。
首謀者の正体に驚く!
どうすれば良いの?
首謀者の動かぬ証拠を入手する為にギョンスが取った行動が凄い!
実際に出来る事か不明だけど流石の鍼医!
鍼で人も殺せるのか!
恐るべし鍼医(笑)
二転三転する展開のスピード感が凄いんだけど乗り遅れること無く観られる親切設計が良好!(笑)
鍼医のギョンスを演じたリュ・ジョンヨルさんの盲目の演技が素晴らしい!
個人的に主演男優賞を差し上げたい!
ラストは人により是非が問われるけど自分的には納得。
主演のリュ・ジョンヨルさん。
彼のインスタをチェックしたらスクリーンで観た雰囲気とは全く違ったイケメンでした( ´∀`)
もうひと盛り上りほしい
ホラーかと思ってたら時代劇サスペンス。
「見えない」という身体的なハンディキャップと、「見ない」という後ろ向きな態度が、具体的な現象かつメタファーとして並べられているのも上手いし、「(かろうじて)見える」にも条件があることが、タイムリミットの機能も果たすという、観ていて感心してしまう設定。
エンタメとしてすごく良くできているし、面白い。
ただ、冒頭で召し抱えられてからのコメディシーンがものすごく古臭くて雑なのと、宮廷の屋外シーンが「これは城壁や門の内側なのか、外側なのか」「この人は門から入って来たのか出てきたのか」がすごく分かりにくて、前半がモタモタして感じたのが、ノリ難さに繋がった感じ。
後半ももうひと盛り上りあるかと期待してしまったが、比較的おとなしくラストシーンに向かい、そのラストもあまりカタルシスは感じなかった。
そもそも「闇」と言われても、光って「0」か「100」かってものでもないし、その辺り含めてかなり強引に引っ張っていく印象も強くて、「お話」は面白いけど「話運び」はもう少しキレイに納得させて欲しかったかな。
「薬屋のひとりごと」なんかも流行ってるし、もっと注目されても良いとは思うけど。
鍼便利だなぁ
味方は誰なんだ
複数の説の一つであることについて触れて欲しい
今年64本目(合計1,156本目/今月(2024年2月度)17本目)。
(ひとつ前の作品「レディ加賀」、次の作品「ジェントルマン」)
作品に登場する人物ほかは大半は実在する人物ですが、李氏朝鮮の国王は不自然な死をとげた人物が多く、この映画もそれを扱っていますが、一部の例外を除けば原因が明らかになっていないものが多いです。これは、古い時代であるという単純な理由もあれば、李氏朝鮮の後の朝鮮が日本に併合された後に資料が大半散逸してしまったなど、いろいろあります。
この映画もちょうどそれにあたり、この人物については色々な説があります。そのうち「考えられる一つの説」を取ったものですが、この点、かなり多数の説がある上に、この人物は歴史上大きな役割を果たした人物であり、映画化するのは構いませんが「一つの説である」という点は明確に書いてほしかったです(定説のように思われると困る)。
※ この点は、「王の願い ハングルの始まり」でも同じことがいえた(ハングルの成立についての経緯)
かつこの映画は韓国映画ですから当然現地のほうが「先に」放映されたわけですが、またか現地「だけ」「一つの説を採用したものです」などという表示はしないはずなので(勝手に撮影するなだのといった著作権表示、たばこはダメよみたいなもの以外は基本的にどこでみても変わらないはず)、この点、現地の韓国でもこの状況(あくまでも一説である点のみが示されているもの)なのでしょうか…。
ちょっとそこが残念なところです。
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(減点0.4/この映画の上記の事情について
評価の減点の対象は大半ここにきます(ほかはまぁまずもってない。ただし後述)。この映画で扱われている人物は確かに色々な確執がありましたが、当時の中国の清との関係改善に関与したり、ヨーロッパから西洋文化を李氏朝鮮に「直接」取り寄せようといった実績もある人物で、李氏朝鮮の偉人といえば、世宗大王が真っ先に思い浮かびますが、それに同一レベルではないとしても、李氏朝鮮全体でいえば、歴史的にも文化的にも大きな貢献を残した人物です。
そうであれば、なおのさら、こうした事情があるのですから、映画のような結末を迎えるとしても、「一つの説である」点はちゃんと書いておいてほしかったです(なお、上記のように清との結びつきを強くしたり、西洋文化を取り込もうとしたために保守派の怒りを(本件とは別に)かったという説、あるいは、「黒い点がいくつも顔にあらわれ…」という当時の描写からマラリヤ・天然痘にかかってしまったなどの説があります(主に暗殺説、病気説があり、暗殺説の中でもさらに犯人が誰かがさらに複雑に分岐する)。
(減点0.1/「島流し」について)
ここは歴史上はっきりしており、李氏朝鮮においては「流刑」は済州島であり、済州島はこうした事情で発展をとげたところがあります。しかし、済州島はさらに時代が進むと1948年には荒れ地と化した(1948年4月3日の済州島事件)事情ほかもかさなり「済州島差別」(特に上記の流刑の事情から、身分が低い人が住んでいる、といわれた)が「現在でも」あるのは事実で、済州島とこそ映画内では明示されていませんが、少し調べればちゃんとわかることであり(ここは文献上の差異は一切見られない)、また常識的に考えても済州島以外の流刑場所がないので一発でわかります。この点、済州島差別の意図はないものと思いますが、こうした済州島の現在の事情(あるいは、麗水・順天ほかの全羅南道などの地域差別)も鑑みて適切な描写が欲しかったです。
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盲人の目撃者
予告通り面白い映画
韓国映画は良質だね!
日本公開の韓国映画はすべておもしろいので、本作も期待して鑑賞してきましたが、その期待を超えるおもしろさで大満足です。
ストーリーは、盲目の鍼医ギョンスが、その腕を見込まれ宮廷内の御医の下で働くことになるが、ある夜、体調の異変が起きた王のもとへ御医とともに訪れ、実は完全な盲目ではない彼は、そこで驚愕の事実を目撃し、王の死の真相を知ることになり、我が身に迫る危機から逃れながら、真実を明らかにするために奔走する姿を描くというもの。
17世紀・朝鮮王朝時代の記録物「仁祖実録」に記された“怪奇の死”にまつわる謎を題材にしているということで、その知識がある方にはかなり興味深い作品だと思います。私はそんなことは全く知らず、というよりその記録物さえ知りませんでしたが、それでもとてもおもしろかったし勉強になりました。
序盤は、ギョンスの有能ぶりから宮廷内勤めとなるまでを、彼の置かれている状況も交えながら簡潔に描きます。ここでのテンポがよく、あっという間に作品世界に誘われます。また、宮廷内の先輩的ポジションの男のコミカルな立ち回りがおもしろく、これが後半のシリアスな展開との対比になっており、伏線の役割も担っています。
そして、舞台が整ったところで清国との関係をめぐる意見の相違があらわになり、と同時にギョンスがひた隠しにしていた秘密も明らかになり、物語はいよいよ大きく動き始めます。ここからは緊迫シーンの連続で、スリリングな展開に圧倒されます。事件の真相、その裏での駆け引きなど、二転三転する展開から目が離せません。ラストの闇を感じさせる幕引きも悪くないです。
ただ、ストーリー上しかたないことなのですが、画面がほぼ暗いのは残念です。おそらく細部までこだわっていたであろう宮廷内セットや調度品や衣装などが、しっかり見えなかったのはもったいなかったです。とはいえ、巧みなライティングでギョンスの視界をうまく表現していたと思います。タイトルの意味にも納得です。
主演はリュ・ジュンヨルで、盲目のギョンスを好演しています。脇を固めるのは、ユ・ヘジン、チェ・ムソン、パク・ミョンフンら。中でもユ・ヘジンは、「コンフィデンシャル」の時とは別人で、暴君ぶりがお見事です。
フクロウの気持ちで観よう〜!
ドキドキハラハラ系は
寿命が縮まりそうなので
敬遠しているが、
「〇〇賞受賞!」とか、評判がいいと
じゃあ行くか…の気持ちになる。
ドキドキハラハラポイントとして、
主人公が犯行現場を目撃したシーンくらいかな?
という感想。以降は平気だった。
満足度が高く、
敬遠せず鑑賞してよかったと思える作品。
あらすじ
宮廷で殺人事件が起きた。
目撃者は鍼師の盲人 チョンのみ。
犯人は?チョン盲人はどう動く?
という話。
本題に入るまでが長い!
という意見も見受けられるが、
個人的にもちょい長いかな。
ただ、宮廷ものに馴染みがない自分にとっては
説明が丁寧で、
人間関係も読み取れるから
端折れる部分はない!必要!
という感じ。
伏線回収!みたいな大層な言葉にするには
ちょっと違うが、
アイテムの使い方が上手いなーと。
「毒だから安易に触っちゃいけないよ」とか、
白杖、灯り…とか。
五感の一部がないと
他のなにかが優れている、
みたいな話を聞いたことがあるが
優れているというより
与えられた情報を得るために
「研ぎ澄ませている」という印象。
もともと歴史に疎いのもあるが
宮廷ものに触れる機会がないので
関係性や言葉も字幕だけでは
読み取れない部分はあった。
しかし、各キャストの演技や音楽から
読み取れることは多く、
視覚と聴覚を研ぎ澄ませて観賞した。
字幕に関して。
主人公のことは皆「チョン盲人」と呼んでいる。
作中、差別的な目を向けている人もいれば、
優しい人もいる。
主人公の周りには彼の実力を買い、
優しい人のほうが多い印象のため
実際にそう呼んでいるのかは不明だが、
このように称されていることにより
馴染みのない他国の名前でも
誰を指している名詞なのかわかりやすかった。
作中一度も フクロウの姿は出てこない。
鑑賞中「なんで タイトルが梟?」と思い
自分の知り得るフクロウの情報を総動員させた。
首の可動域が広い!夜目が効く!ネズミを食う!
鑑賞後 フクロウの生態を検索し、
フクロウの知識が増えつつある。
「梟」このタイトル以外 考えられない。
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