「コミュニケーションの本質を描いた意欲作!」僕らの世界が交わるまで ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
コミュニケーションの本質を描いた意欲作!
原題「When You Finish Saving the World」を「僕らの世界が交わるまで」としたのは
すごく良かったんじゃないかと思います。
日本だとこちらの方が届け手の思いが伝わるように感じました。
主人公エヴリン(ジュリアン・ムーア)と息子ジギー(フィン・ウルフハード)の
コミュニケーションが軸です。
途中で夫から「二人とも自己愛が強すぎだ」と言われるのですが、
これが実に的を射ているセリフなんですね。これが全てといっても過言ではないくらいです。
要は、エヴリンもジギーも、自分の価値観が絶対的な正義になっていて、
自分の価値観では「正しい」ことだから、相手にも正しいことなんだという
なんとも独善的なんです。
だから、相手とコミュニケーションをとっている“つもり”で
実はとれていないんですよね。
コミュニケーション=意思疎通 ですから、全然できていないわけです。
これに気づくのが、ラスト手前。
エヴリンは目にかけていた男の子に、ジギーは同級生の女の子に、
目が覚めるようなことを言われます。
ふたりとも面食らった表情を浮かべますが、
ここでようやくお互いが息子に・母に、向かいあおうとするんですね。
で、ラスト。
素晴らしいラストでした。
余韻がたなびく終わり方で、私はこういうラストも好き。
この後、この親子はどうなっていくのかな?という想像する余韻が良いです。
88分というコンパクトさも良かったなと思います。
やっぱりジュリアン・ムーアは素晴らしい俳優ですね。
素晴らしい演技で感動しました。
A24でこういう作品はなかなか今まで観れていなかったです。
あらためて良いスタジオだなと思いました。
また、本作のプロデューサーにエマ・ストーンが名を連ねていますね。
だからどうってことはないのですが、へーと思いました(笑)