「でも、でも、でも...」僕らの世界が交わるまで サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
でも、でも、でも...
あー、きっつ。「ゾンビランド」「グランドイリュージョン」でお馴染み、ジェシー・アイゼンバーグ初監督&脚本作品で、予告もいい感じだったから結構期待してたんだけど、思ったのと違いすぎて結構ショックでした。なんなのこれ。88分間、とんでもなくキツかった。
親子共々ヒヤヒヤする行動が多すぎて、とてもじゃないけど見てられなかった。特に母親。シェルターに入居している17歳の青年に対して、犯罪スレスレの干渉を繰り返す。ある意味ホラー。善意という名の奇行に背筋が凍る。自分の意見は必ず正しいと思い込んでいる。大の大人が1番子供じゃん。それが改善されたり、ふと我に返ったり、この映画で伝えたい明確な場面があればなんの文句もないのに、ただ押し付けているだけでメッセージ性なんてあったもんじゃない。
ストーリーに一貫性がなく、自己愛が強すぎる母子を淡々と描いている作品だった。報われるわけでも無いし、成長する訳でもない。これきっかけで親子の絆が取り戻せて良かったね、とはならない。雰囲気と音楽はいいとしても、流石に擁護できないくらい酷かった。怒ってばっかり、叱ってばっかり、押し付けてばっかり。結局、どうして欲しいの? 自分の思い通りに動いて欲しいわけ?
ジギーに関しては、もっと上手く描けていれば悩めるティーンのあるあるみたいな感じで収められたはずなのに、あまりに鈍感すぎてひたすら突っ走っていくだけ。音楽を通して世界中を幸せにすることは容易なのに、金が目的というなんとも残念な心と、好かれたいとしか思っていない馬鹿正直な行動がどうも腹立たしい。絶対成功しないのに...と目に手を当ててしまう。歌声は素晴らしいんだけどね。
人の顔色を伺いすぎるのも良くないけど、相手が嫌な気持ちをしていないかを察する能力は持っておきましょう。そして、いくら息子でも、他人の夢を真正面から邪魔するような人間にはならないように気をつけましょう。そんなことを言いたいがためにこのようなストーリー展開にしたのなら、成功しているんじゃないかな。