ニューヨーク・オールド・アパートメントのレビュー・感想・評価
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透明人間だけど…
NYに暮らす不法移民の家族のストーリー
時にある題材ではあるが何故かこの家族に悲壮感を感じられないのは肝っ玉かぁちゃんの明るさとクロアチア人の美女に恋をし
しっかり青春(性春…😁)を謳歌している兄弟の日常が自然に見えてしまっていたからかもしれない…
しかしその日常も徐々に崩れて行く…
透明人間でなくなる時が
彼らが恋するクリスティンも含め現実は底辺に位置する自分達であれど前を向き誇りを持って進んで行く姿とエンディング曲にかすかながら希望や微光が見えた気がしました
心留めしておきたい作品になりました
…クリスティンの受刑中の恋人や母親の恋人のポルノ作家…家族の親戚の親父などなど登場する男ども揃いも揃ってクズばかり!!
腹が立って仕方なかったよ!
そんな中でも母親の同僚
コインランドリーでの多人種達の協力に感動しました
帰りにタコスをテイクアウトしてしまいました😁
【人種の坩堝、ニューヨークで暮らす不法移民のペルーやクロアチアの人々の自分達の居場所を必死に探しつつ生きる姿を描いた作品。】
■ペルーから不法に国境を越え、ニューヨークに辿り着いた双子のポールとティト。二人は語学学校で知り合ったクロアチアから来た超絶白人美女のクリスティンと出会い、恋をするが写真を貰っただけで、友達止まり。
二人を育てるシングルマザーのラファエルは愚かしき白人の恋人と、デリバリーの食品店を開く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・クリスティンは実は恋人が、刑務所の中にいる。コールガールとして生計を立てているが、その恋人の出所日にこっそり見に行くと、恋人には妻子がいて・・。
ー 列車の中で彼女がネイルをこそげ落とすシーンの彼女の鬼気迫る表情と、ポールとティトを呼び出し”あたしのことを聞かれたら、良い人だったよと言ってね。”と言って場末のモーテルで二人を次々に優しく抱いてから、恋人を・・。
ウワワ。けれども、気持ちは分からないでもない。必死に支えて来たんだし、刑務所の中の、彼との電話が彼女の生き甲斐でもあったのだろう。彼女の人間としての矜持であろう。-
・自分達を”透明人間”と卑下しながらも、毎日を必死に送るポールとティトは、街中の人だかりの中で、クリスティンの写真を見て彼女に言われた通りの言葉を発するが、警官に事情聴取を受け、更に移民局の職員から国外追放を言い渡される。
ー 部屋の中に掲げてある、愚かしきトランプの写真が、絶妙に効いている。-
・シングルマザーのラファエルは、デリバリーの食品店が配達人のポールとティトが居ないせいもあり、あっと言う間に行き詰まる。
そして、息子達と交流があったクリスティンが起こした出来事を知り、友人から許可証を借り、彼女に会いに刑務所へ行く。
- そこで、やつれた彼女が言った言葉。”あの子たち、充分に愛されてるじゃない・・。”可なり沁みる。
<ラストシーンは、ペルーに強制送還されたポールとティトが立ちはだかる山に向かい、再びアメリカを目指す姿で終わる。
微かな希望と、勇気を感じさせる良いラストシーンだったなあ。>
<2024年1月28日 刈谷日劇にて鑑賞>
青春ラブストーリー?家族愛?
食肉のトラック🚚に紛れてアメリカに不法に越境したペルー人の家族(母親と子供二人 子供は高校?)の話
子供二人は英語学校に通いながら、ウーバー(食事の配達)で日々の生活費を稼いでいる 母親は朝早くから仕事に出かけウェートレス 食事に来た男に口説かれ、アレヨアレヨと…
子供二人は英語学校に入学してきたどこか不幸をしょっているような女性にメロメロに…
しかしその女性は収監されている男(妻子持ち)を出所させる為に身体を売りながら…最後には
悲しくなるが、現実を見せつけられる内容でした
邦題が意味不明だが、移民と不法滞在者のリアルが描かれていた
2024.1.22 字幕 アップリンク京都
2020年のスイス映画(97分、PG12)
原作はアーノン・グランバーグの小説『De bellige Antonio(1998年)』
クロアチア移民に恋をしたペルーからの不法滞在兄弟を描いた社会派ラブロマンス映画
監督はマーク・ウィルキンス
脚本はラニ=レイン・フェルタム
原題は『The Saint of the Impossible』で「不可能の聖人=劇中で登場する聖リタ」を表す言葉
物語の舞台はアメリカ・ニューヨーク
そこで暮らすペルーからの不法滞在者ポール(アドリアーノ・デュラン・カストロ)とティト(マルチェロ・ディラン・カストロ)の兄弟は、ある女性との思い出に耽っていた
その女性の名はクリスティン(タラ・サラー)と言い、彼女はクロアチアからの移民だった
二人が通う英語教室に突如現れたクリスティンに恋をした二人は、あの手この手で距離を近づけようと行動していた
二人には近くのダイナーで働いている母ラファエラ(マガリ・ソリエル)がいて、ある日突然姿を消した息子のことを案じていた
友人のルーチャ(Elizabeth Covarrubias)とともに仮住まいを訪れたラファエラは「移民局」の捜査が入ったことに気を病んでいた
映画は、ラファエラの回想を主体にしつつ、彼女が知らない兄弟の一面を再現していく内容になっていた
映画は、クリスティンとの色恋沙汰がメインの童貞ものという感じで、彼女には訳があるという内容になっている
彼女の恋人ジェイク(ブライアン・ドール)が収監されていて、その釈放のための弁護士費用を集めるためにコールガールをしているというもので、その真相が後半で暴かれる感じになっている
兄弟の本音を察したクリスティンが条件を提示して行為に及ぶのだが、その余波を受けた二人が移民局の世話になってしまう
ペルーに強制送還された二人が何とかルーチャに連絡を取り、それによってラファエラに安堵が訪れるというものだが、訳あり底辺なので足元を見られまくっているという流れになっていた
そんな彼女にも一時の清涼が訪れ、それがスイス人の官能小説家エワルド(サイモン・ケザー)なのだが、彼が家に来たことによって、兄弟たちの行動がエスカレートしていくように紡がれていく
要は、母親が兄弟のことを考えているふりをしながら男に傾倒し、彼らの始めるビジネスに巻き込まれるのだが、その反発は水面下で起こっている、という感じになっている
飲食デリバリーの経験があると言っても、無許可で無計画で始めるあたりが無茶苦茶で、そりゃあそうなるよねという結末が訪れる
エワルドはラファエラ捨てられた後にちゃっかりと新しい女を連れ込んでいたが、街角のラバが一撃をお見舞いするのは爽快と言えば爽快なのかもしれません
いずれにせよ、邦題の印象から「ニューヨーカーと移民の恋」みたいなイメージを持っていたが、原題の意味が劇中で登場した唖然としてしまった
久しぶりに全く関係のない邦題がついて呆れてしまったのだが、これ以外に思いつかなかったというのが現実なのかもしれない
原題をそのまま使用しても日本人にはほぼ意味が通じないのだが、せめて「ダウンタウンの聖リタ」ぐらいの宗教色を取り込んでも良かったように思えた
不法移民のシビアな生活を描き見応え、しかし一方で…
ポップなポスターとはかけ離れた大国🇺🇸の小さな部屋で「透明人間」かのように暮らす不法移民親子の小さな暮らし…差別、貧困、強制送還への不安等をシビアに、しかし優しく描いて見応えがあった。終わり方も良い。一方で憧れの女性クリスティンの顛末は辛すぎた…
わりと絶賛の声が多いんだけど、わたしはクリスティンのような女性が「配置」されるのはあまり好きではないな…「少年二人にとっては」憧れで美しい金髪でスタイルも良くてセクシーな女性として存在、しかし最後はあんなことに。でもその後どうなったんだろう?登場させた限りはしっかり描いて欲しかった。
売春なんていう辛いことをしていた彼女に、さらに少年二人とセックスさせる意味もわからない。彼女はなんなの?女性として搾取されすぎてる感じが否めなくてつらい。「思い出の青春の1ページ」みたいにクスクスうれしそうにセックスしてたけど、彼女は?彼らに身体を捧げる必要あった?少年視点では素敵なお話でも、クリスティン視点で観るとあまりに酷く、つらすぎる顛末で、その後の彼女がずっと気になってしまう…
聖リタの続きが見たかった
これは、本当に良い映画なのだろうか。
スイスから資金が入っているが、監督との関係か。登場人物の一人、エドワルド(なぜか英語表記はEwald)はスイス出身との設定。ただし、露悪的で興醒め。
ストーリーは、最近日本で公開されるフランス映画に時々あるように甘い。何かの配慮があると、plotが緩むのだろう。ペルーからアメリカに密航し、ニューヨークの下町で、なんとか生きようとする親子の物語。彼らが巻き込まれる事柄の時間的な経過を入れ替えて、観客はごまかされている感じ。
ティトとポールの双子の兄弟は、結局ペルーに強制送還されるけど、同居の母親ラファエラはなぜ、一緒じゃないの?あとで、GPSで追跡される。
母ラファエラが知り合ったエドワルドの出資で始めたブリトーのデリバリー(当然、未認可)には、彼女のアパートが使われていたはずなのに、いつの間にか、さんざんに荒らされている。当局がやったの?
若いクロアチア出身の美女クリスティンはどうにもならないとしても、兄弟と再会するのは事件を起こした後なの?
たった一つ興味を惹かれたことは、兄弟が聖リタに毎晩、祈りを捧げるところ。初めはマリア様に祈っているのかと思った。この映画の原題は「Saint of the Impossible」(不可能の聖人―不可能を可能にするとの意か、聖リタのことを指す)。でも確か、聖リタは、イタリア中部の聖人のはず。スペインの強い影響下にあったペルーにどうして伝わったのか、是非カトリックの人に聞いてみたいと思った。南米やカトリックの国の人がこの映画をみたら、全然違って見えるのかもしれない。
日本語の字幕にも意訳が多い感じ。街頭の声を拾ってくれないのは仕方がないとしても。兄弟とクリスティンが通っている英語のクラスで、ノルマンディーのことから太平洋戦争に話がおよび、その時日本人を指す蔑称が聞こえた。もちろん字幕には出てこなかった(と思う)。クラスには、明らかな日本人はいないにしても、現代のNYで日本人のおかれている微妙な立場が感じられた。密航してきたペルー人には(ある程度の)配慮がある。しかし、少なくとも一旦は西洋人を追い越していった日本人は、一体どのように捉えられているのか。今、同じ立場に置かれつつあるのは中国人。この映画にも終夜営業らしい四川料理店が出てきたけれど、彼らは一晩中働くくらい、なんとも思わないだろう。彼らはずっと逞しい。
移民の国アメリカ
遠く離れたアメリカの話だからと他人事には出来ない内容だった。
今の日本にも移民の問題は確実にあるのだ。
理由は分からないが母ラファエラ、息子のポールとティトの親子は、祖国ペルーを捨ててニューヨークに移り住んだ。
後に彼らは不法入国者であることが分かるが、生活はあまりに厳しくラファエラはウェイトレスをしながら、二人の息子は語学学校で勉強しながらも配達の仕事で家計を支えている。
まるで誰からも見向きもされない透明人間のような存在の彼ら。
特に若いポールとティトはニューヨークで自分の居場所を見つけ、何者かになりたいと望んでいた。
そんな彼らは語学学校で同じく移民のクリスティンと出会い恋に落ちる。
彼女には服役中の恋人がおり、彼女は彼を釈放するためにコールガールをしながら金を稼いでいた。
そんな闇を抱えた彼女に恋をしてしまった二人。
どこまでも純情な彼らはやがてその恋によって追い詰められることになる。
同じくラファエラもエドワルドという作家に恋をしたことで人生の歯車が狂わされていく。
エドワルドは彼女をウェイトレスの仕事から解き放つためにデリバリーのブリトーの店を作る。
日々の生活に疲れていた彼女は簡単にエドワルドの言葉に乗ってしまうが、やがて彼は口先だけで人を支配しようとする小者であることが分かってしまう。
彼女がすがりついた希望は、家族を切り離す絶望への入口だったのかもしれない。
この物語の悲劇は、あまりにも無知である彼らの自業自得であると突き放す見方も出来る。
しかしそう断言できるのは恵まれた環境にいるからなのだとも感じた。
彼らは幸せを掴むために藁にも縋る思いだったのだ。
この映画に登場する移民がひどい仕打ちを受けるシーンはそれほど多くはない。
語学学校の講師のようにあからさまに彼らを嘲笑する人もいるが、ほとんどの人間が彼らに無関心だ。
そしてほとんどの人間が彼らに好意を持たない。
しかし中には彼らを利用しようとする者も現れる。
何か面倒を起こしても、彼らは大事にすることが出来ないと知っているからだ。
こういう悪意のある連中が一番厄介だ。
彼女は信じていた恋人までもが自分を裏切っていたことを知ってしまう。
そして彼女の闇はどんどん拡がり、ポールとティトをも飲み込むことになる。
終盤まで何も救いのない話だと暗澹たる気持ちにさせられたが、おそらくポールもティトも根っからの明るい気質なのだろう。
どれだけ過酷な運命に立たされても彼らは前を向いて生きている。
それはラファエラも同じだ。
映画の中で問題はひとつも解決しないが、それでも自分を信じて生きている限り、いつかは光が差し込むのだと希望を持たせてくれるような作品だった。
期待度○鑑賞後の満足度○ 「ニューヨークのクソ男ダイアリー」かと思うくらいに出てくる男は主演の兄弟以外殆どクソ男ばかり。好編だが女性像がやや古臭いのが難。
①予告編を観て、もっとハートウォーミングな話だと思っていたら、結構シリアスな内容だったのにはちょっと驚いた。
②クリスティーンがクソ男を47回刺した気持ちはよく分かる。クリスティーンが心から血を流したのは47回どころではないだろうから。
ただ、恋人を刑務所から出すために街娼までしてお金を作ったのに裏切られた(というか利用されていた)のを知ってそのクソ男を殺すというメロドラマみたいな筋立ては最早使い古されたというか大時代的というか。
勿論、現代でも世界中にその様な女性(自分にで望むか望まざるにせよ)は沢山いるだろうし普遍的なこと(でも、そんなことを言うのは女性に対して失礼ではなかろうか)かも知れないけれども、せめて現代の映画の中ではその様なステレオタイプから女性を解放してあげるか、別の描きかたをするべきではないだろうか。
あと、初恋の相手だったり、初体験させてくれた女性が複雑な事情の持ち主で、離れざるを得なかったけれども、少年達の心には美しい人として、或いは美しい思い出として残る、という話も何処かで観たか読んだかした既視感あり。
また、お母さんにしても、“恋なんて卒業よ”みたいなことを息子達には言っておきながら、言い寄ってきた男(本性は息子達は見抜いていたけれども)を好きになった途端「恋は盲目」(ジャニス・イアンだぜ)になってしまうのも手垢の付いた展開。
③あっさり強制送還されてしまったのは仕方ないにしても、生肉を乗せたコンテナに隠れて不法入国したというシリアスさ(私ではとても耐えられそうにない)に反して、ペルーでの描写はそこまでして不法入国したいような国・環境に見えなかったし、“必ず戻るから”と軽く言ってたけれども、トランプがまた大統領になったら無理でしょう。
④良い映画なんだけれども、ちょっと中途半端な印象は拭えない。
「僕たちはこの街では透明人間なんだ」と言っていた冒頭、「もう透明人間ではいたくない」と叫んだ中盤、でも後半では「透明人間」のテーマは何処かへ行ってしまって、あのシリアスさは何だったの?という感じ。
いっそ、もっとシリアスな方か、もっとコメディタッチの方か、振り切った方が良かった様に思う。
⑤邦題が『ニューヨーク・オールド・アパートメント』という芸のなさ+内容を表していない。
まさか原題も?と心配していたら、『The Saint of the Impossible』(“不可能を可能にしてくれる聖人”くらいの意味かしら?)が原題。
こちらなら納得。
⑥オーディションで選ばれたという主演の男の子二人も好演だが、母親役のマガリ・ソルエルが、どうしようもなく“女”の部分を持ち併せながらも大変子供想いの母親であるラファエルと言う女性像を非常な好演。
ラスト、不法入国先ではあってもアメリカで自立して生きていこうという姿も清々しくて宜しい。
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