ビヨンド・ユートピア 脱北のレビュー・感想・評価
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リアルかフェイクかミックスか?
質感がリアルで見応えのあるフィルムだった。
編集が上手く、北朝鮮と脱北についての既成事実は全て網羅されていたと言えるだろう。
冒頭に
「再現フィルムは無い」と謳っているが
ここはあえて、懐疑的に
ミックスではないか?
という見地から疑問点を列記したい。
まず、主人公である脱北を支援してきた牧師の今後の活動と身柄が危な過ぎる。
韓国内には相当数の北朝鮮スパイが潜伏しているといわれている。
牧師が顔出しまでして教会の外観やノウハウをここまで仔細に暴露するメリットがわからない。消されないか心配。
山を三つも越える移動を含む過酷な行程で、歩けないお婆さんをどう運んだのか?
撮影機材などのバッテリーはどれだけ搭載していたのか?
負荷荷重は相当だと思われ
ここはリアル脱北家族を使った再現ではないか?と思った。
ストーリー補完役?としてチョイチョイ出てくる脱北整形美人の流暢過ぎる英語力が気になった。
息子の脱北を叶えられなかった母親も役者かな?と思った。
こちらも整形美人。
ブローカーとの大事なやり取りをどうしてタイミングよく収録できるのか?
四六時中クルーが張り付いていたのか?
リアルだとしても再現だと思う。
この他にもツッコミどころ満載なので
アーカイブが出たら是非購入して検証してみたいと思うほど存在すら興味深いフィルムだ。
一つの大掛かりで心温まる成功例を示すことで
キリスト教、もしくは他のカルト教団、そして脱北ブローカー達のプロパガンダというみかたもアリだろう。
脱北の大変さを知り、日朝関係にも目を向けざるを得なくなる労作
北朝鮮から逃れんとする脱北者に密着した迫真のドキュメンタリーでした。「再現映像は一切使っていない」とのことでしたが、文字通りリアルの映像だからこその迫力があり、非常に質の高い、価値ある作品だったと思います。
本作で取り扱った脱北者は2グループいて、1グループは祖母、その娘夫婦、さらにその娘2人の3世代に渡る5人家族で、本作の主役とも言うべき韓国の脱北支援者のキム・ソンウン牧師が、この5人を北朝鮮と中国の国境沿いを流れる鴨緑江の川岸から、中国国内を横断し、さらにベトナムそしてラオスのジャングルを経由してタイまでの千キロを超える道中を案内するというもの。もう1グループは、母親が先に脱北し、その1人息子の脱北のお話。
目指すはいずれも韓国なので、38度線を超えるとか、船でチョロっと行けば直ぐ着くじゃないかと思いがちですが、38度線付近には数百万の地雷が埋まっているそうで、余りにも危険で無理だそうだ。鴨緑江を渡って一旦中国に入ってから船で韓国に渡るルートは、かつては利用されていたようだけど、今は厳しいそうで、前述のような東南アジア経由にならざるを得ないとのこと。数年前に大ヒットした韓国ドラマの「愛の不時着」では、38度線の下に掘られた地下トンネルを通って登場人物が北と南を行き来していたけど、当たり前の話あれは完全な創作であり、現実には絶対に出来ないようです。
そんな訳で現実の脱北者たちは、アジア大陸を大回りをして韓国を目指さざるを得ないことになりますが、キム・ソンウン牧師のような韓国の協力者や、各地にいるブローカーなどの手を借りながら目的地を目指すようです。ただブローカーはカネ目的の商売なので、場合によっては脱北者が人身売買の対象になってしまうことがあるなど、一ミリも油断は出来ない模様。当然のことながら、中国などの警察関係者はもとより、脱北者を当局に突き出せば報奨金が貰えることから、一般の人の眼も避けねばならないという、緊迫感溢れる状態での綱渡りの連続をしないと脱北は出来ないということがヒシヒシと伝わって来ました。それでも北朝鮮に留まるよりはマシというのだから、如何に北朝鮮での生活が厳しいものであるかが分かるというものです。
実際本作の中でも、ソ連崩壊後に共産陣営からの援助がなくなった1990年代前半から、北朝鮮国内の状況が急激に悪化したことが報告されていました。北朝鮮首脳部は、この状況下での権力維持のため、国内においては強権政治を一層強めるとともに、対外的には核開発により外圧を跳ね除ける力を手に入れる方向に舵を切ったようです。韓国のテレビを見たからという理由で処刑されたなんていう話は、本作を観る以前から伝え聞いていたことではあるけれども、本作では一般民衆の前で公開処刑されるシーンも登場し、北朝鮮という国の怖さを余すところなく再認識させられました。
それにしても本作の凄いところは、鴨緑江を渡るシーンの映像こそないものの、その後のアジア大陸横断の様子が映像化されており、また北朝鮮国内を含めたブローカーとのやり取りも記録されていて、非常に興味深いものでした。真夜中にジャングルを彷徨うシーンは、フィクションよりもハラハラするものでした。
いずれにしても、現在進行形で日本の隣にこうした国家が厳然と存在し、北朝鮮の人民だけでなく、日本を含めた周辺国家の安全も脅かし、さらに言えば過去の植民地支配を含め、歴史的に見れば日本と浅からぬ関係があることを思えば、日本国家として、そして日本人として、今以上に北朝鮮との関係や日本の外交的態度を真剣に考える必要があると認識させられた作品でした。
そんな訳で、本作の評価は★4.5とします。
凄い映画。
典型的なプロパガンダだね
西側目線での一方的なプロパガンダ映像、洗脳された我々日本人が喜びそうな作品でした。
だからといって北朝鮮が好きだとか、北朝鮮に生まれたかった!なんて微塵にも思わないが、それはアメリカに対しても同じ(笑)
壮絶なドキュメンタリー
地獄
あのデブ一家め、、、
とにかく言葉が見つからない
《 人は生まれる時代と場所は選べない 》
多くの方が鑑賞しながら「自分はこの国で現代に生まれて良かった」と思ったかも知れない。
「息子が死んで火葬の時に妻と誓った」
10年間で1000人
「息子が半分になってしまった」
「脱北したかった訳じゃない、死にたくなかったから越境した」
このドキュメンタリーを観て「監督は安全圏から指示出しとインタビューをして、集めた映像を編集しただけ」と思う人が少なからずいるかも知れない。それはプロデューサー達も同じかも知れない。だが元CIA分析官、元戦略国際問題研究所 (CSIS) の韓国上級研究員のプロデューサーやコロンビア大学芸術学部の映画学校で教鞭をとり、映画芸術科学アカデミーの会員でもあるマドレーヌ・ギャヴィン監督達のタッグが無くては出来なかったドキュメンタリーで映画館で見て欲しい緊張感高い作品。
コロナ禍直前の時代がドキュメンタリーの本筋たが、2024年の1月19日のニュースでは
・脱北者が去年、一昨年の3倍(約60人から196人)と韓国が報道
・コロナ禍だった中国からの移動の厳しさが緩和して脱北者数が増えた
・北朝鮮のエリート層(20才〜30才)の脱北者は2017年から最多を記録
との事。
劇中のアニメーションに日本人の岩﨑宏俊が参加。
すごい観応え、良ドキュメンタリー
壮絶な国
解ける洗脳は悲しい
名前と顔出して大丈夫なの?
2024年劇場鑑賞16本目。
脱北者がどうやって韓国に行くかを追ったドキュメンタリー。
逃がしている牧師さんが堂々と顔と名前出していますが北朝鮮の工作員に暗殺されないのかしら。
前半は北朝鮮の残虐非道ぶりを余すところなく伝え、中盤からいよいよ80歳のおばあさんと5,6歳の子供も含めた家族5人の脱出劇が始まります。
北朝鮮から韓国を目指すのですが、韓国への国境は地雷が敷き詰められていて突破は無理なので、中国へ抜けるのですが、中国と北朝鮮は仲がいいので中国で捕まると北朝鮮に送られて拷問されて殺されて終わり。中国を抜けてベトナムにいっても仲がいいので北朝鮮に戻されて拷問されて殺されて終わり。ベトナムからタイに行って初めて自由になれるということらしいです。知らなかった。もちろん全部徒歩ではないですが、山道を夜中じゅう歩くので、よくおばあさんや子供が耐えられたなぁ、と思いました。
ちょっとミスったらすぐ死ぬ道中な割に家族があんまり深刻そうじゃないのは、
北朝鮮で普通に暮らすだけで死が常に隣り合わせにあるからなんだろうなと思いました。
「井の中の蛙」どころか「監獄の中の蛙」
徹底した洗脳と陰湿な恐怖によって人権侵害に慣れ切ってしまった国民の惨めな姿がスクリーンに写し出され、私たちの未来もこの様な有り様に陥るのではないかと暗澹たる思いにされてしまった。今の日本は大丈夫だと、本当に言い切れるだろうか?選挙に行かない有権者が50%、行っても自民、公明、維新に投票してしまう終わっているこの日本の状況を鑑みて、改めて未来が閉ざされた他人事では済まないこの状況に北朝鮮という国家が重なる。ジョージ・オーウェルの「1984」も日本の現実的な未来を描いているように思える。完璧に打ちのめされた気分で映画館を出た後、街の風景が余りにも夢の世界のように思えて、根拠のない占いに縋りたい不毛な感情で、明日なき世界を否定する努力をしてみる。冬の冷たい風に吹かれながら。
実写は凄い。
命懸けの人生なんて…
脱北は想像以上に過酷だった
韓国映画を観ていると、南北問題、脱北(者)というキーワードは出てこない作品のほうが少ないかな。脱北については38度線を北から南に暗視の目をかいくぐって超えてくるか、単純に鴨緑江を渡河して中国側に抜けてきて終わりという安易なイメージだったが、現実はそんなもんじゃないということを認識させてくれたドキュメンタリー。
中国側は無事に抜けても発見されれば強制送還されて収容所送り。これを避けるには中国からさらにベトナム、ラオスを経由してタイに入国して(わざと逮捕されて)韓国大使館に送られてようやく亡命が成立する。途中はクルマ移動が多くセーフハウスも準備されているが、道なき山岳地帯を徒歩で踏破するようなシチュエーションもあり、肉亭的にも精神的にもストレスフルな日々が続く。
もちろん映画で紹介されたようなルート以外にも様々な脱北ルートが存在するのでしょうが、いずれも一筋縄ではないのでしょう。
下世話な話だが、脱北ルートのすべてを専門のブローカーにまかせることになり、おそらく脱北者は経済的にその費用を払うのは困難で、この映画の牧師が属するような脱北支援団体が負担しているのだろうけどそのへんのおカネの話も少し知りたかった(一箇所出てくるが全体のコストか、その限定的ルートの費用かはわからず)
無事脱北した家族の子供とばーちゃんが、北朝鮮について感想を聞かれ、金正恩マンセー
のコメントをするのが、まあ当然とはいえ怖いな。日本も政治の暴走を放置するとこうなるよね。自戒。
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