ビヨンド・ユートピア 脱北のレビュー・感想・評価
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東アジアに住むものとして一定の興味を持って観察をしてきた彼の国。...
東アジアに住むものとして一定の興味を持って観察をしてきた彼の国。もちろんゴシップレベルの知識だったが、脱北者のルートとか中国側の扱いなどは聞いている範囲だった。それを実体験として欧米視点で映像化されたことがまず大きい。牧師の滅私とも言える貢献はとても尊敬できる。活動が個人ベースにならざるを得ないうえ各国のブローカーも完全に信用できるわけではないようだ。
加えて描かれる北朝鮮の平壌以外の土地での生活の厳しさも恐ろしい。それなのに金正日を立派だと信じている祖母と子供たち。マスコミや教育の統制がいかに社会を歪めているのか、今の時代になおこうした現実があるのか。
無事に中国・ベトナム・ラオス・タイを経て韓国にたどり着いた家族、おめでとう。中国まで出ながら結局収容所に行くこととなってしまった息子、まだ生きていられるだろうか。
典型的なプロパガンダだね
西側目線での一方的なプロパガンダ映像、洗脳された我々日本人が喜びそうな作品でした。
だからといって北朝鮮が好きだとか、北朝鮮に生まれたかった!なんて微塵にも思わないが、それはアメリカに対しても同じ(笑)
自分のために生きられる幸せ
いつも通り長いレビューですが、宜しければお付き合いください。
脱北する家族と、そのサポートをする地下組織の活動家(本業は牧師)を追った脱出劇。命の危険とずっと隣合わせの、それはそれは壮絶な体験を圧倒的な緊張感で描き切った、濃密な115分でした。
映画で北朝鮮という国の実情をあらためて思い知らされると、日本という「今のところ平和な国」で、監視や警備もない土地で自由にものが言えて、普通に美味しくご飯が食べられ、何より「自分のために生きられる」ことに、素直に感謝せずにはいられませんでした。決して大袈裟でなく。
北朝鮮の人は、自分のためでなく将軍様のために生きています。人権という概念は皆無で、人民の命や人生はその独裁政治家に完全に握られ、コントロールされています。
人糞まで肥料として農家(農作物はまず将軍様の食べ物になります)に捧げ、1990年代は大飢饉で何百万人もの犠牲者が出たこともあります。
このドキュメンタリーからまた一つ学んだのですが、金日成が第二次世界大戦直後くらいにスターリンから注目されて主席の地位を築くきっかけになり、今日の世襲による独裁につながっているようです。民主主義とそうでない国家の世界地図はこんな所からも始まっていたのです。
脱北できる人は本当に一握りで、家族から離れて一人で暮らすことも多く、それでも「彼の国」での生活がいかに最低なものだったかを思い知り、覚醒し、人生を取り戻します。
しかし、脱北者の家族は犯罪者として収容所に入れられ、周囲から蔑まされても生きられればまだしも、収容所で命を落とす人も相当いるようです(大きな収容所の空撮が何度も映像に出ます)。
今回は、そんな悲劇から逃れるため、先に脱北した兄弟を後から追う形で脱北する一家の物語です。
ヨーロッパの移民や難民のルートのように、海を渡れるのかと思いきや、おそらくそれがあまりに危険なため、彼らは中国、ベトナム、ラオスを抜けてタイまで12000km、最後は真っ暗なジャングルを10時間かけて歩き通し、6才くらいの少女や80歳のお婆さんも一緒に、一家5人自由を掴み取るのです。
脱出劇そのものも勿論すごいのですが、サポートする地下組織がまたすごい。
お金のため、彼らはブローカーとして暗躍している訳ですが、その中枢にいる韓国の牧師さんが本当にすごいのです。強かなブローカーたちを時には懐柔し、時には厳しく強い態度で嗜め、言う事を聞かせます。教会の一室にはパソコンや複数台のスマホが並べられ、さながらスパイ映画がマフィアの裏組織かという画(え)が、紛れもない事実として描かれています。
また、ただの「脱北の成功物語」に過ぎず、映画のもう一つの軸で悲劇も描いている、非常にシビアな目線で撮られた作品でした。
とにかく集中しすぎて、観た後かなり疲れました。
それでも、私たちの住む世界からそんなに遠くないところで起きている「信じ難い迫害や人権侵害」をしっかりと目に焼き付け教えてくれる、すごい力のある作品です。監督は前作もアフリカ、コンゴの性暴力被害者の女性たちを救う医師を描いたドキュメンタリーを撮っているマドレーヌ・ギャビン。アメリカの女性は本当に強い、と実感させられました。
映画を見て、真っ先に思い出したのが去年観たドキュメンタリー『ナワリヌイ』、そしてもう1本、数年前に観た、これも衝撃と緊迫感がすごかった『シチズン・フォー スノーデンの暴露』。
『ビヨンド・ユートピア』も含めて、私の「超衝撃!三大ドキュメンタリー」としたいと思います。
壮絶なドキュメンタリー
タイトル通り、北朝鮮からの脱北のドキュメンタリー映画です。我々が知らない、国の現状が知る事でき、その現状に悲嘆と驚きがありました。
私は時々ドキュメンタリー映画を観た時は退屈する時多いのですが、この映画は最後までドキュメンタリーならではの真実と迫力があり最後まで惹きつけられました。視聴後、個人的には、この映画を通して何か変化がある事を望みました。
地獄
ある家族の脱北を密着して追うドキュメンタリー
国家ぐるみの洗脳の怖さと共に、あの国の非人道的な政策を徹底的に映す
ある母親と息子の話も織り込むれるが、涙なくしては観られない、なんともやるせない気持ちに…
あの韓国人牧師の行動はなかなか真似できることではなく、ああいう生き甲斐に満ちた生き方は尊敬と共に憧憬でもある
あのデブ一家め、、、
直接の原因ではないけれど、過去の日本による統治も今の北朝鮮たる存在の一因なんだろう。
高齢の母親を連れた5人家族、北にいる息子との再会を実現したい母親を複数のカメラが追う。観ている自分の方がはぁはぁ息が切れそうで、ポップコーンとドリンクを抱えて座席に着いたものの、エンドロールまで殆ど手を付けず、スクリーンから目が離せなかった。
ヤツを筆頭に、あのデブ一家が消え去らないと何も変わらないんだろうなあ。
とにかく言葉が見つからない
見終わってから数時間過ぎても、
見慣れた池袋の風景に違和感感じるほど没頭してたらしい。
感想が言えない、というか、見終わってから
2時間の映像を見た後に感じている「何か」が言葉にならない。
何を言っても薄っぺらく、ロクな言葉が出てこない。
コロナ禍直前の話ということなので2019年か2020年か。
21世紀の話とは到底思えない。
国民を家畜としか思ってない、かの国の一族が
すぐそこに生きている、今日この時間もすぐそこにいるかと思うと生きた心地がしない。
脱北した男性が「怒りじゃなく、ただ憎い」と言ってたのが
耳の多くに残っている。
《 人は生まれる時代と場所は選べない 》
多くの方が鑑賞しながら「自分はこの国で現代に生まれて良かった」と思ったかも知れない。
「息子が死んで火葬の時に妻と誓った」
10年間で1000人
「息子が半分になってしまった」
「脱北したかった訳じゃない、死にたくなかったから越境した」
このドキュメンタリーを観て「監督は安全圏から指示出しとインタビューをして、集めた映像を編集しただけ」と思う人が少なからずいるかも知れない。それはプロデューサー達も同じかも知れない。だが元CIA分析官、元戦略国際問題研究所 (CSIS) の韓国上級研究員のプロデューサーやコロンビア大学芸術学部の映画学校で教鞭をとり、映画芸術科学アカデミーの会員でもあるマドレーヌ・ギャヴィン監督達のタッグが無くては出来なかったドキュメンタリーで映画館で見て欲しい緊張感高い作品。
コロナ禍直前の時代がドキュメンタリーの本筋たが、2024年の1月19日のニュースでは
・脱北者が去年、一昨年の3倍(約60人から196人)と韓国が報道
・コロナ禍だった中国からの移動の厳しさが緩和して脱北者数が増えた
・北朝鮮のエリート層(20才〜30才)の脱北者は2017年から最多を記録
との事。
劇中のアニメーションに日本人の岩﨑宏俊が参加。
すごい観応え、良ドキュメンタリー
北朝鮮から脱出する家族と脱出を支援する活動家を中心に撮られたドキュメンタリー。
北朝鮮の事は、けっこう知ってたけど、補足を入れてもらいながら、より詳しく教えてもらえた気分。
脱北の事だけじゃなく、北朝鮮の成り立ちまで触れられてます。
すごい観応えで、微塵も眠くならなかった(笑)
命懸けで脱北者の支援をする方々には頭が下がります。
再現VTRは一切なし!
観るべし!
カルト宗教みたいな国
北の洗脳教育と生活程度を見せつつ、二組の脱北を追うドキュメンタリー。
一組目は、脱北してソウルに暮らす母が、中学生くらいの息子を脱北させようとブローカーに頼むが、中国で捕まり送還され、拷問の果てに収容所送りとなる。
ただ金を騙し取られ、息子と母(祖母)を永遠に失った母親の涙に暮れる姿が映る。
もう一組は、元々脱北する意思はなかった一家。
遠縁が脱北して、収容所送りのリストに入れられたために仕方なく逃げ出し、支援者の手引きで北朝鮮→中国→ ベトナム→ラオス→タイを経由して韓国へ亡命を目指す羽目に。
道中、「偉大なる金正恩元帥」「北にいたかった」を繰り返す一家にイライラしつつ。
ベトナムとラオスの国境越えが、ずっと密林かつ、3つの山越えで、80代の婆さんと、50代のオッさんは「もうダメかな?」と思いましたが、一応映画として完成しているから、誰か一人くらい死んでも、一家の数名は生き延びるはず!と予想しつつも、ハラハラドキドキしました。
ラストどうなるかまではネタバレしませんが。
国民を徹底的に苦しめてまで政権を崇拝させる、カルト宗教みたいな国のあり方に、怒りを抱きました。
衝撃と感動のドキュメンタリー映画
ドキュメンタリー映画って予告編はどれも面白そうなのですが、いざ観るとホントつまらない作品と最高の絶対観るべき作品がある。本作は絶対に観るべき最高の作品です。
脱北者のドキュメンタリーは以前からテレビなどで見てましたが本作を観て驚愕の事実の連続です。脱北者は北朝鮮から国境を超えて韓国に入るものだと思ってましたが、いったん広大な中国を横断してベトナム、ラオス、タイとてつもない長い脱出ルートとは、、。そしてところどころ登場するリアルなブローカーの存在や長年にわたる洗脳、恐ろしく貧しい生活などなど。牧師さんの献身的な活動には感動しかないです。
壮絶な国
北朝鮮のドキュメント映画。あまり知ることのなかった脱北者の実情。こんなに酷い国があるのか、今の時代こんな貧しい生活を虐げられてるとは。
自由な隣国に渡るのに命懸けの遠回り。運が良ければ辿り着ける。
平気で人を公開処刑する惨忍な国のトップ。この映画を見るだろうか。製作者達、登場した神父は消されたりしないだろうか心配。
しかし、この映画も上映館少ない!遠出してやっと見れた。
解ける洗脳は悲しい
私にとって興味深かったのはリアルタイムで北朝鮮人が今経験しているのは約80年前の天皇制ファシズム下にいた日本国民の姿がデジャヴしたこと。極度に情報が統制された環境下で行われる住民同士の相互監視体制の姿と自身の洗脳を疑う姿を同時に見れて味わい深かった。
21世紀も四半世紀を過ぎようとしている時分に日米韓は悪魔という 1940年代の思考の枠組みで生きざるを得ない人々。亡命した家族は損切りできていたが全ての人々が彼らのように新しい環境に適応できるわけではないだろう。適応できずに過激派になる人を見てきた我々現代人には洗脳状態が良いのか否か判断しかねるのが悲しい。
名前と顔出して大丈夫なの?
2024年劇場鑑賞16本目。
脱北者がどうやって韓国に行くかを追ったドキュメンタリー。
逃がしている牧師さんが堂々と顔と名前出していますが北朝鮮の工作員に暗殺されないのかしら。
前半は北朝鮮の残虐非道ぶりを余すところなく伝え、中盤からいよいよ80歳のおばあさんと5,6歳の子供も含めた家族5人の脱出劇が始まります。
北朝鮮から韓国を目指すのですが、韓国への国境は地雷が敷き詰められていて突破は無理なので、中国へ抜けるのですが、中国と北朝鮮は仲がいいので中国で捕まると北朝鮮に送られて拷問されて殺されて終わり。中国を抜けてベトナムにいっても仲がいいので北朝鮮に戻されて拷問されて殺されて終わり。ベトナムからタイに行って初めて自由になれるということらしいです。知らなかった。もちろん全部徒歩ではないですが、山道を夜中じゅう歩くので、よくおばあさんや子供が耐えられたなぁ、と思いました。
ちょっとミスったらすぐ死ぬ道中な割に家族があんまり深刻そうじゃないのは、
北朝鮮で普通に暮らすだけで死が常に隣り合わせにあるからなんだろうなと思いました。
「井の中の蛙」どころか「監獄の中の蛙」
徹底した洗脳と陰湿な恐怖によって人権侵害に慣れ切ってしまった国民の惨めな姿がスクリーンに写し出され、私たちの未来もこの様な有り様に陥るのではないかと暗澹たる思いにされてしまった。今の日本は大丈夫だと、本当に言い切れるだろうか?選挙に行かない有権者が50%、行っても自民、公明、維新に投票してしまう終わっているこの日本の状況を鑑みて、改めて未来が閉ざされた他人事では済まないこの状況に北朝鮮という国家が重なる。ジョージ・オーウェルの「1984」も日本の現実的な未来を描いているように思える。完璧に打ちのめされた気分で映画館を出た後、街の風景が余りにも夢の世界のように思えて、根拠のない占いに縋りたい不毛な感情で、明日なき世界を否定する努力をしてみる。冬の冷たい風に吹かれながら。
実写は凄い。
実写は凄い。知識としての北朝鮮は持ってましたが、あれほど悲惨なのに、国民が洗脳されて、自分の国が良いと思い込まされてるが衝撃でした。
マスゲ-ムの練習の裏にある陰惨さなども全く知りませでした。
5人家族のジャングル逃避行も迫力がありました。
コロナで中国からベトナム・ラオス・タイの道が閉ざされて、脱北者たちはどうしているのかと、凄く心配になりました。
是非、観ていただきたい映画でした。
命懸けの人生なんて…
現実として考えることなんてほとんどない平和な日本。どこに生まれてくるなんて選べないわけだし、脱北者の今までは虫でした、なんて切実な答え。ソ連崩壊と共に更に悪化っていうのも厳しい現実。同じ半島でこんなに近い北、南、それなのに変わらない世の中…見るべきドキュメンタリー、だな。
全73件中、41~60件目を表示