映画の朝ごはんのレビュー・感想・評価
全6件を表示
映画製作の舞台裏を、見たことのない視点から描き出す。
映画のロケ隊にとっての定番の朝ごはんになっているという弁当屋、ポパイのおにぎり弁当と、おにぎり弁当を手配している制作進行のスタッフの日常から、映画づくりを眺めてみようという試みは、たしかに今まで見たことがなったし、映画を多角的に見せてくれる素晴らしいアプローチだと思う。
日本人は映画のエンドクレジットにリスペクトを払う滅多にない国民性だと聞くが、あの長大なクレジットの誰がどんな仕事をしているのか、映画の現場にいないとチンプンカンプンだろう。その中でも観客からは最も注目されづらいポジションである制作進行とケータリングに着目したことで、この映画しか得られない奥行きは確かに生まれている。
ラストのメタ的な演出はちょっとやり過ぎだとは感じてしまうが、これもまた映画なのだから、地味なだけで満足しないぞという姿勢は正しい。もっともエンタメになりづらいものからエンタメをひねり出した点で、非常に高レベルな「映画に関する映画だな」と思う次第です。
ポパイ弁当を食ってみたい
「こんな映画を観たかったんだよ」と、エンドロールが終わり客電(客席のライト)が戻ってから僕は深く頷きました。映画やドラマなどのロケ・スタッフやキャスト向けに毎朝、おにぎり2個と、おかず一品、沢庵のお弁当を届けている仕出し屋「ポパイ」の一日を巡るドキュメンタリーです。
深夜24時の炊飯から仕事が始まり、多種の具を盛り込んだおにぎり作り、海苔巻き、下味を付け、から揚げ、盛り付け、パック、そして指定の場所まで早朝配達と目まぐるしい忙しさです。でも、そこで働く人々、多くはオッチャン・オバチャンは元気で陽気です。そうして生み出される弁当は多くのファンを持ち、「ポパイのおにぎりは何かが違う」と語る監督・スタッフ・俳優さんの声が次々と紹介されます。
そのお話だけでも面白いのですが、実は本作は、この「ポパイ」紹介の姿を借りて「映画制作部」の日常を見つめるお話なのです。映画を撮る映画と言えば、殆どが撮影現場での監督のお話、或いは筆が進まない脚本家のお話です。でも、映画はもっともっと多くの人の手を経て我々観客に届けられています。その中でも地味なのが、日々の撮影に必要な条件を整え毎日のお弁当からお金の管理までを取り仕切る「制作部」です。「『制作進行』は『生活進行』」と呼ばれているそうで、「雑務」と呼ばれるような仕事一切を任されています。その一つ一つを極めて具体的に、時にはお金の額もしっかり示して紹介して下さり、この具体性こそがリアリティを生みます。一日の撮影開始よりずっと早くから動き始め、撮影後の片付け・翌日の準備・弁当の発注まで働き続ける制作部の若い人は「時給換算したら588円」と語ります。国の定める最低賃金の半分程度に過ぎません。でも、映画に関わる仕事が好きだから続けられるのでしょう。しかしまた、それこそが過酷な労働条件を当たり前とする「やりがい搾取」の土壌にもなります。
一方、こうしてポパイの弁当を発注できる一般映画やドラマの業界はまだましで、予算が切り詰められているピンク映画やVシネの世界の制作部は更に厳しい条件に晒されて来ました。その証言がまた胸に迫ります。
とはいえ、やっぱり皆さん映画が好きなのです。その思いが形になり、報われます様にと願う「祈りの映画」でもありました。映画好きの方ならば必見の一作です。
沢山の
人たちによって作られているんだな、映画も、“ポパイ”も。弁当を食べる時人に戻れる、早い・安い・そこそこ、この二つの言葉が印象に残った。ドキュメンタリーだけあって、「青春ジャック」のような大げさな感じがしない、リアルなルーティン感が有る。
序盤うとうとしてしまい痛恨! 甘いキョンキョンのナレーションが耳障りでした。
映画の背景にある「縁の下の力持ち」お弁当「ポパイ」のドキュメンタリー
映画の朝ごはん
大阪十三にある映画館「第七芸術劇場」にて鑑賞 2024年1月6日
「映画の朝ごはん」「ポパイ弁当」ステッカーを頂きました。
見た感じはごくシンプルなのに、ある種の中毒性をもって映画スタッフや俳優たちに熱狂的に愛され続けているのが、40年近く続く老舗お弁当屋さん「ポパイ」のおにぎり弁当。数多くのケータリング業者がしのぎを削っている中で、なぜ「ポパイ」はロケ弁当の代名詞のような存在になったのか。
東京都練馬区にお店を構えるポパイは、先代社長が東映大泉撮影所に知り合いがいたことから弁当を卸すようになり、いまでは映画やテレビ番組のロケ隊に朝ごはんを届けるために、毎日深夜0時からごはんを炊いて、少数精鋭で手作りのお弁当を作っている。そして配送車に積まれた弁当の大半は、ロケ隊の集合場所である早朝5時の新宿へと運ばれていく。
縁の下の力持ちと呼ぶべき大勢のスタッフたちがいる。そして彼らを突き動かすのは、仕事へのプライド?映画への愛情?もちろんそれもあるだろう。しかし絶対に欠かせないものは食事である。
お弁当の写真横に伊藤園「ウーロン茶 缶190g」 があることがわかります。
大きな窯でこの缶を大量に茹でていた。きっとアツアツのウーロン茶。
トークショー
志子田勇監督、西尾孔志(映画監督)、磯部鉄平(映画監督)
時間が足りないトークショーでした。3名だったからかもしれません。
撮影現場にロケ弁当を届け続ける、練馬の仕出し屋 "ポパイ" さんの...
撮影現場にロケ弁当を届け続ける、練馬の仕出し屋 "ポパイ" さんの、日々の奮闘記録。
食べることがどれだけ重要か、撮影現場の活力になるか。
日々変わらず丁寧に作り続けるか。
前夜の無茶ぶりにも、咄嗟に応じることも。
撮影現場にどれだけ愛されているか、信頼と愛着を強く感じました。
愛されるお弁当、幸せになる映像でした。
今回 2023/12/03 シネスイッチ銀座さんで、実際のお弁当付き上映でした。貴重な機会でした。
お弁当の中身は
「おにぎり2つ (鮭,焼明太子) + たくあん2枚 + おかず1品(鶏唐揚or煮卵) + 熱々にした伊藤園の烏龍茶缶190g」。
品名だけ書くと、そこらへんのスーパーにありそう…と思いたくもなりますが、
具材のインパクト、塩味の強さ、あえて熱々にする意図。
現場への思いがこもって、このお弁当になったことが、実際に口にして、初めて納得できました。
ちょっと長いかな。
映画、TV、広告など映像仕事に関わる人なら一度は食べた事があるはず。
感謝の気持ちバリバリです、見ないわけにはいきませんね。
ポパイの成り立ち、中の人、そして現場の新人製作部の話を並行して追いかけるドキュメントです。食事が間違いなく現場の人達の心と身体を支えている重要な物である事を証明する内容です。
華やかそうに見える世界だけど、身も心も半端なくしんどい仕事なんだよね、だから本当に美味しい物、あったかい物だけが現場で心の支えになるんだよ。
色々凝ったおにぎり流行った事もあるけど、毎日食べても飽きないのはこういうシンプルな美味しさなのです。長く続けてほしいです。
あとコロナって言うおにぎり屋さんも美味しいよ。
全6件を表示