最悪な子どもたちのレビュー・感想・評価
全16件を表示
カメラを向ける傲慢さ
タイトルの印象とは違ったヒューマンドラマ!
子どもたちが悪さをするんだろうな〜という先入観があったのですが、
そういうことじゃないんだな・・・と。
冒頭から、これってドキュメンタリー!?と勘違いしてしまうほど、
ドキュメンタリーっぽいのですが、
実は映画を撮影するという話が軸なので、映画内映画とこの映画のキャラクターの演じ分けが
できる、出演している子どもたちってすごいなと率直に思いました。
映画内映画とこの映画のストーリーが走る構造に加えて、ドキュメンタリーっぽいつくりであることに
私は結構ややこしさを感じていて、没入するのが難しかったです。
いろんな境遇の子どもたちがいますが、
やはり家庭環境と親が、子どもたちの成長に与える影響はとてつもなく大きいと
本作を鑑賞しても行きつきました。
いろいろと考えさせられ、私の思考の引き出しも増えた気がします。
【まさに”ある視点“作品】
「最悪」は「最悪」からしか生まれません。
映画撮影のドキュメンタリーを観ているよう…
主人公4人は実際に北フランスの撮影地
近辺で行われたオーディションで選ばれた
演技未経験の少年少女たち。
この作品のテーマが活かされた
たどたどしさの中に見え隠れする演技力に
心惹かれる、感情がもっていかれる。
「最悪な子どもたち」を生み出したのは
より「最悪な大人たち」であることを
肝心の大人たちが気づいていない。
「子どもたち」を最悪と思っている大人こそ「最悪」なのではないだろうか
2024.1.17 字幕 アップリンク京都
2022年のフランス映画(99分、PG12)
訳ありの地元の若者で映画を作る様子を描いたヒューマンドラマ
監督はリーズ・アコカ&ロマーヌ・ゲレ
脚本はリーズ・アコカ&ロマーヌ・ゲレ&エレオノール・ギュレー
原題は『Les Pires』で「最悪」、英題は『The Worst Onces』で「最悪なもの」
物語の舞台は、フランスのブローニュ=シュル=メールにある「ピカソ地区」
映画監督のガブリエル(ヨハン・ヘンデルベルグ)は、地元の若者を集めて「北風に逆らえば」と言う映画を撮ろうと考えていた
オーディションの結果、4名の子どもたちが選ばれた
物語は、ある男と妊婦がいて、妊婦には息子と娘がいると言う感じに内容だが、物語の詳細がどんなものかはわからない
男役に17歳の出所帰りにジェシー(ロイック・ベッシュ)が選ばれ、ある件でビッチ扱いされているリリ(マロリー・ワネック)が妊婦役を演じる
息子役にADHD持ちのライアン(ティメオ・マオー)、その姉役にレズビアンであることがバレているマイリス(メリーナ・ファンデンブランケ)が配置されている
その他にも、息子と喧嘩をする少年(Milan Hanquez&Nolhan Miny)が登場し、ラストシーンでは少年の祖母役の女優(ドミニク・フロ)まで登場する
予告編でも登場する「自分の言葉を使って喧嘩をするシーン」は、リアリティを出すために「本当の喧嘩になってもカメラを止めない」様子が描かれていた
地元民は「街のイメージが悪くなること」を心配していたが、助監督のジュディス(エステル・アルシャンボー)は「街によっては子どもを出さないとシャットアウトする場所もある(監督の体験談のような気がする)」と言い、「皆さんの子どもは聖人君子なのですか」と返す場面もあった
このテイストで映画がちゃんと完成するのかはわからないが、監督の撮りたいものは撮れていたようで、出演者も周囲に疎まれながらも懸命に演技を続けていた
だが、あえて普通じゃない人を選んでいる理由が周囲にはわからず、元々あった火種はあっさりと発火し、燃え広がってしまうのである
邦題には「子どもたち」と言う言葉がついているが、原題、英題ともに「子どもたち」とは言っていない
内容に関しても、「子どもたちが最悪」と言うこともなく、彼らを映画に出させたくない大人であるとか、映画制作のために起こす必要のない騒動を起こしている制作サイドの方が「最悪」と言える
なので、この邦題がチョイスされた理由はよくわからず、誇張される普遍性に対する感情の方が「最悪」のように思える
いずれにせよ、劇中劇の意味はほとんどわからない内容で、地元の印象を考えるなら、映画全体が与えるイメージを考慮すべきように思う
最終的にライアンが妊婦になって、鳩が飛んでいくシーンがあるのだが、この作品の完成形を地元民が見ているわけではない
なので、単に撮影風景だけを見て批判しているので、それは遠回しに言えば、出演者の選出に不満があり、彼らが地区の代表として出るのは問題ありと考えていることになる
そう言った意味では、地域のコミュニティー委員や口だけ出してくる「大人が最悪」と言うものなので、邦題をつけた人も同じ思考なのかな、と思ってしまった
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 「最悪の大人」はいても「最悪の子供」なんていないのではないだろうか。「大人の世界」に付けるべき形容詞を代わりに「子供」に付けているだけで。
①素人を起用した映画は既にたくさんあります。映画作りを如何にドキュメンタリー風に撮った映画もたくさんあります。
だからコンセプト自体はそれほど目新しくはありません。
②この映画がユニークなところは、
「演技してるうちに本気になって喧嘩してしまう」という芝居を子供にさせる監督すごい
喜怒哀楽の人間らしさ。
もっとしょーもないヤツかと思いきや、意外とグッときた。どいつもこいつも(撮る方も撮られる方も)な縦糸と、フィクションの中のリアル風フィクション的の横糸が、効果的だった。
リアル風フィクションが終わり、この作品どう終わるのかなー、と探ってはいたけど、ラストシーンの演技たるや。まったく予想できなかった。
想像以上に色んな要素が─
タイトルからしてあまり・・・と思いながらの観賞でした。ありがちなドキュメンタリー風の作品で、映画を作る様子をリアルに仕立て上げるというところが、何気に今までになかったかも─と思いながら見ていたのですが─。
内容はひかくてき淡々としているもので、しかも設定がかなり微妙で酷いと思ってしまうのではという危惧なんかもありましたが、その辺のヤバさのラインを越えるか越えないかの絶妙なところをキープしているような印象で、しかも妙にリアルだったし、それが劇中劇と絶妙に絡み合っていて、結果、非常に見入りました。リアルといってもしっかりとフィクションだということを認識しながら観賞できたし、それでいて生々しくウソっぽくない演出には恐れ入りましたという感じです。
正直途中、マジか、やべーなこの内容、と何度も思いましたが、結局感動してしまいましたからねー、いやー実に巧みにやりきってるなぁと、ホント感心するばかりです。
子どもが子どもらしく生きるとは
過酷な環境にいる子ども達をテーマにした映画を、似たような過酷な環境で育った素人の子ども達をオーディションして選ぶ所から作品はできてるのだけど。
日々生活の中で様々な問題から子どもらしさを自分の中に閉じ込めて生きてた彼らが、映画制作を通して感情を面に出していくのが心のリハビリになっているようにみえた。
子どもが子どもらしく生きられる当たり前の環境が全ての子ども達に等しくあればいいのに。
映画というジャンルが、過酷な環境にいる子どもたちを撮りたくなる理由を探すために、そういう環境にいる子どもたちを探して俳優にして映画を撮るという発想がすごい。
事件になる程ではないけど子どもが子どもらしく育てない環境にいるな、と思う子は沢山いる。
日々大人の前で無理に子どもらしさを作って演技してる子どもたちも少なくないと思う。
より自然な演技にみえたとしたら、それは日々の生活から磨かれたものだったとしたらちょっと悲しいなと思った。
子供と大人の関係性とは
Fan's voiceさんでのオンライン試写にて。
前情報なしで観るとドキュメンタリーを観ていると錯覚するほどの生々しい作り。エンドロールを見て、あぁ全部演技だったのかということに本当に驚く。メイン4人の子供たちが素人で初めての演技だなんて!
誰も知らないを観たときの感覚に近いかも。
衝撃度は6才のボクが、大人になるまで。を観たときくらい。(伝わる?)
大人と子供の対比、大人の責任、子供の人権、ミソジニー、いじめ、田舎特有の格差と偏見、自尊心…上げきれないほどのメッセージが観てるこっちを強烈な熱量でぶん殴ってくる。
ライアンが自分の息子と重なる部分が多くて観ていて苦しかったり、リリーの恋心や寂しさ、ジェシーの虚勢…きっと誰かに心を寄せたくなると思う。
冒頭のインタビューとラストシーンの対比にべしょべしょに泣いてしまった。
個人的には今年1番記憶に残る映画だったかも。フランス映画、今年本当に豊作。
フィクション?ノンフィクション?
全16件を表示