青春18×2 君へと続く道のレビュー・感想・評価
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日本ぶらり鈍行旅
ジミー役グレッグシュー/許光漢の起用は18歳と36歳ができるからだそうだ。w
映画が緊張をもたらす理由はたったひとつでアミ(清原果耶)がしにそうな病気を隠匿していること。
そのふたつで成立している映画だが岩井俊二のloveletterを表敬しつつノスタルジー&ロマンチックな絵を並べて尺をかせぐ。台詞に成熟がなく、長くだるい映画だった。
『『青春18×2 君へと続く道』は、賴吉米 (ジミー・ライ) が「藍狐」名義で書いた旅行エッセイ『青春18×2日本慢車流浪記』を基にしています。台湾人のゲーム開発者である賴吉米は、日本人バックパッカーとの恋愛を懐かしむため、青春18きっぷを使って日本縦断の旅に出ました。 2014年に台湾のブログ「Backpackers」で公開された旅行記が話題になると賴吉米には映画化権を購入したいという映画会社からのアプローチがありました。』
(wikipedia、18×2 Beyond Youthful Daysより)
wikiを見るともっともらしい由縁と多難の製作行程のある映画だったが、じっさい視聴上はあざとくてうんざり。
ジミーの行く先々で都合よく道連れができてしまう安易さに興醒め。
松本の居酒屋店主(張孝全)は偶然にも台湾人、飯山線で声をかけてきた若者(道枝駿佑)は語尾に「っす」を使うノリのいい若者(キャラクタの類型にうんざり)、長岡のネカフェには物分かりのいい金髪元ヤン風情の黒木華がいて、只見では松重豊が足になってくれた。できすぎの優しい世界に鼻白んだ。
あざと画に興醒め。スカイランタン、原付ふたりのり、夜景を見ながらの将来語り、雪国、カラオケ店「神戸KTV」の壁画。泣かす布石としてのシーンづくりなのがいやだった。
台湾を暖色にまとめて、日本を寒色にまとめた──と語っており、そのとおりのこだわり画になっている。でもだからなんなのよ。美しい画なんだから──を免罪符にするのやめてもらっていいですか。
お涙頂戴自体に罪はないがしぬしぬで泣かすにすぎない構造をあざと画できどってみせる感じが個人的にはいや。編集も冗長で短篇映画に縮められる壮大な中二ポエムだったと(個人的には)思う。
個人的にとても大事にしたい作品
自分の知っている風景や思い入れの強い場所が出てくると、それだけで作品がグッと近づいてくる。しかも、実際と作品の空間や時間に齟齬がなければ、なおさらだ。
だから、ジミーがわざわざ松本を経由して、長野駅から飯山線に乗り、長岡から福島の只見に入るルートを選んだのも、ガムシャラに最短でゴールを目指すビジネスの世界から身を引き、あみとの過去を振り返る旅に出た彼にとっては、必然なのだろうなと納得できた。
とにかく、美しく清らかな映画だった。
18×3以上になってしまった自分も、18歳の頃(自分は台湾ではなく松本市で暮らしていた)のあれこれを思い出して、浸ることができた。
それも、脚本やロケーションの力だけでなく、未来へと向かうときには画面の左から右へ、過去へと戻る時には右から左へといったことなどをはじめとして、映画内の文法をしっかりと意識して丁寧につくられた作品であることが、観る者の主人公への共感を高めているのではないか。素直に監督の力量の高さを感じた。
加えて、この作品、劇場での鑑賞を楽しみにしていたのだが、自分は突然の3ヶ月に及ぶ入院でその機会を逃していた。なので、病院のシーン、とりわけベッドで花をスケッチする所や酸素吸入やサチュレーションモニターは、他人事と思えない親近感がわいた。
そうした意味での思い入れにも突き刺さったし、個人的にとても大事にしたい作品になった。
それから、あみの描いた絵は、ちょっと調べたところ、監督のお姉さんのよしだるみさんが手掛けられたようだが、これしかないというように作品にマッチしていて、本当に素晴らしかったことも指摘しておきたい。
良いけど悲しい青春&ロードムービー
台湾でハプニングから一緒に働くことになった年上の日本女性と台湾の高校生の恋愛話を中心に、日本を旅する主人公。結末は読めていたいけど、幸せになってほしいなぁ。。。と思っていたが、、、感じです。清原果耶はぴったりの役で、代表作の一つになるのではと思う。
君を経て、僕は旅を続けていく
少し変わったタイトル。
“青春18きっぷ”と、劇中で主人公が思い出す青春時代=18歳と現在のちょうど倍の36歳に掛けたタイトルだという。
実在の台湾人の紀行エッセイが原作。
エッセイでありながらドラマチックな内容(多少の設定変更あるらしいが概ね踏襲してるらしい)に惹かれた『DUNE/デューン 砂の惑星』に出演(医師役)もした台湾スターのチャン・チェンがプロデュースで10年前から映画化を熱望。が、監督が見つからなかった。そんな時…
祖父が台湾人だという藤井道人監督。いつか台湾との合作を考えていた。
台湾での試写会や幾度かのミーティングを経て正式にオファーと承諾に至ったのも、劇中さながらの“出会い”だろう。
日本と台湾。旅をしたくなる。誰かと会いたくなる。恋をしたくなる。
自分探しというより、自分を確認しに行く。
話的には挫折した現在と甘酸っぱい過去の交錯。
そのまま王道的に…と思ったら、終盤思わぬ展開に。
36歳。台湾で有名なゲーム製作者のジミーは、経営を巡って友人と立ち上げた会社を追い出される。自暴自棄になったその姿が動画で拡散してしまう。
実家に戻ったジミー。「少し休んだらいい。一休みはより長い旅の為」と言葉を掛ける父。
一枚の絵葉書を見つける。それをきっかけに旅に出る。
何が起こるか分からないから面白い。目的地は定めないでいたつもりが、目指していた。
台湾から日本へ。鎌倉、長野、新潟、福島…。
“彼女”の元へ。
18年前…
18歳。地元の台南のカラオケ屋でバイトしていたジミー。
バイトに誘った友人、気のいい店長やスタッフらに囲まれて。特に夢も無く、平凡な日々。
そんなある日、カラオケ屋に現れた一人の女性。日本からのバックパッカー、アミ。財布を無くし困っていた。
店長も日本からこちらに住み着いた人で、好意で働く事に。
日本から魅力的な女性が来たと店は繁盛。スタッフともすぐ打ち解ける。
ジミーより4つ年上の22歳。ジミーはそんなアミに惹かれ始め…。
この台南での青春過去パートがノスタルジック。
皆で家族のように和気あいあい。
ジミーとアミの交流のきっかけは日本カルチャー。
ジミーが好きな『SLAM DUNK』。現代パートでも“聖地”となった鎌倉へ。
二人で聞いた音楽はミスチル。本作の主題歌はミスチル。
二人で観た映画は『Love Letter』。台詞の引用(「お元気ですかー?」)やオマージュシーンも。岩井作品近年常連の黒木華が本作に出演もしている。
二人で乗った夜のオートバイ。
二人で願って飛ばしたランタン。
一つ一つが美しい。
一つ一つに浸っていたくなる。
33歳のシュー・グァンハンが36歳時と18歳時を演じる。18歳時、本当にその歳に見えるのだから驚き!
それは清原果耶も。比較的年下の若い役が多いが、本作では魅力的な年上のお姉さんに見える。
二人の瑞々しいナチュラルな好演。
片やちょっと奥手な好青年。片や何処かミステリアスで儚げで。
淡い恋の行方は、あまりにも突然に。後にジミー曰く、恋すら始まっていなかった。
アミの帰国。帰国の理由は、恋人…?
見るからに元気を無くすジミー。想いも伝えられていない。
思い出にと二人でデート。その時にランタン。
約束をする。願いが叶ったら、また会う。その時まで、頑張って頑張りまくる。
この時の事を回想しながら、現在のジミーは旅を。
目指しているのは、福島・只見。アミの故郷。
願いが叶ったから会いに行っている…?
ジミーの願いとは…? ゲーム製作者としての成功…? いやしかし実際は…。
ジミーの顔は終始浮かない。
それでも素敵な出会いはあった。
居酒屋の台湾人店主。
あの小説の一節のような、トンネルを抜けたら雪国(監督らこだわりのシーン)。電車の中で出会った一人旅中の青年。
ネカフェで親切にしてくれた女性店員。
そして福島・只見に。偶然アミを知る初老男性と出会い、アミの実家へ送って貰う。
この時の男性の言葉に違和感…。
それに対し“知っている”ようなジミー…。
アミの実家。アミの母親が出迎える。
「遅くなってすみませんでした」とジミー。
「あの子に会ってあげて」とアミの母親。
薄々は察していたが、アミはすでに他界。
亡くなった事をこの時初めて知らされ…ではない。
ジミーはアミが亡くなっていた事を知っていたようだ。
アミの故郷で、アミと再会しに行く旅と思っていたが…、生きたアミとではなく、すでに亡くなったアミに会いに…。
数年前、ゲーム会社を成功させ、久し振りに電話した時、アミが亡くなった事を知った。
以来、悲しみを埋めるかのように仕事に没頭。気付いたら、一人になっていた。
そんな時、旅へ。あの時の事を思い出して。
自分にとってあの頃やアミは何だったのか。確かめに行く。
あの時アミも言っていた。自分探しではなく、自分を確かめる為に旅をすると。
アミの日記。旅の記録。
初めての海外旅が台南へ。旅の前から病気であった…。
それを感じさせなかったアミの明るい振る舞い。その都度その都度辛い時もあったようだが、台南で過ごした日々や出会いがアミに元気をくれていた。
店長、スタッフ、そしてジミー。
どれほど楽しかったか。
どれほど感謝しているか。
どれほど好きだったか。
ジミーにとっては青春時代の思い出。
しかしアミにとっては、人生の思い出。
この旅の中で、自分にとってもどれほど大切な思い出だったか。
どれほど好きだったか。
それを確かめさせてくれた。
そして彼女の死と向き合った。
もうこれ以上の出会いや人を好きになる事はあるのだろうか…?
それでも旅は続いていく。人生という名の旅を。
青春という駅を通り越し、途中思わぬブレーキで停止しそうになるも、君と“再会”し経て、僕は再出発していく。
一休みからのより長い旅へ。
自分を確かめに行く。
何が起こるか分からないから、面白い。
藤井監督作品
この子(アミ)はきっと、いなくなるんだろうな。。
ジミーとアミが夜景を見ていた時の二人の会話のシーンから特に、そう予感しながら観ていた。
やはりその通りになったが、
死をわかりながら生きることほど難しいことはないだろうと思う。
初めて訪れた日本で桜が舞う中を歩くジミーの姿に涙した。
彼女に会えないけど、彼女を感じたい。
彼女の生まれ育った街に行きたい。
そして初めての雪、初めての桜。彼女がそこにいなくても、彼女が与えてくれた景色との出会い。
18年間もの間、死を受け入れて旅に出るまでにジミーは何度アミのことを想ったか?
美しい日本の景色を見ながら、想像しました。
藤井監督が命を描くのは今回で2回目でしょうか?
「余命10年」に引き続き、
華麗に咲く花がきれいなままこの世から消えてしまうかのような描写が、相変わらず上手だなあと感じました。
清原さんが病室で涙するシーンの涙が触れそうな、ビー玉のようにきらりと光っていたのがまた儚くて。
国際恋愛の難しさにまでは踏み込まれていなかったけれど、互いの言葉を少しずつ覚えることは愛情の証であり、このふたりがずっと長く続いていたらどんな大人になっていたか?
どんなふたりになっていたのか?
そう考えては温かい気持ちになる作品でした。
初恋
ジミー役のシュー・グァンハンは、ほとんど芸能人には見えません。
シュー・グァンハンの新鮮な存在感。
それがこの映画を美しい青春映画にしていると思いました。
原作はジミー・ライの紀行エッセイ「青春18×2日本慢車流浪紀」
藤井道人に台湾側から合作のオファーがあったそうだ。
シュー・グァンハンの素人ぽい自然さ。
外国人が外国語(日本語などの、)を話すと、語彙の少なさからか、
幼く見える事が多い。
そんな点も長所を生み、この映画は切なくピュアで儚く美しい。
18年前(2006年)の台湾。
バックパッカーのアミ(清原伽耶)は財布を無くして、
カラオケ店「神戸」に働くようになる。
先輩のアルバイトがジミーで18歳。
教育係りをおおせつかり2人は互いの言葉を教え合って仲良くなる。
「カラオケ神戸」の店長も日本人。
スタッフもジミーとアミに好意的で、映画のチケットをくれたりする。
そして2人が観る映画がなんと岩井俊二監督の「Love Letter」
懐かしい。過去にみているけれど、中山美穂と豊川悦司が出ていたこと、
位しか覚えていなかった。
★★★
「Love L etter」
を観ました。
2年前に登山で死んだ恋人に、2年後に中学生頃住んでいた恋人の住所・小樽に
手紙を出す中山美穂。
取り壊されている筈なのに、なんと恋人の名前(藤井樹)の差し出し名の
返事が届く。
実は中学の同じクラスに同姓同名の男女がいて、彼女が返事を
くれるのです。
同姓同名の彼女に、恋人の思い出をおねだりする中山美穂。
その手紙の相手も中山美穂のふた役なのです。
そして小樽の藤井樹(いつき=美穂)が思い出のエピソードを手繰って行くと、
なんと樹(柏原崇)との、初恋のシュルエットが幻燈のように浮かんでくる。
☆☆☆
「Love Letter」
脚本が本当に素晴らしい!!
そりゃー、ミちゃん号泣しますね。
ジミーより4つ年上のアミは、どこかタカビーな言動をとります。
ジミーの告白にも、
「2人が今考えている夢が実現したら、会おうね」などと、
はぐらかすのです。
18年前の台湾での思い出と、会社の社長を追い出されて日本に来ている
18年後(2024年冬)のジミーの旅が交互に描かれます。
ジミーの18年前の心象風景に見えているアミ。
長岡から鈍行列車に旅で仲良くなる道枝駿佑と列車はトンネルを潜ります。
《トンネルを抜けるとそこは雪国だった》
川端康成の「雪国」の冒頭と同じ世界。
アミの生家のある福島の只見町は雪深い里でした。
松重豊のトラックでアミの家に送られて母親(黒木瞳)に会うジミー。
ジミーはもう既に知ってたのですね。
そこからはアミの言動の答え合わせ。
台湾の自室から漏れてきた激しい諍いの声。
「日本の恋人?」実は、
アミの病気を心配する母親の、
「帰って来なさい」の言葉への強い反発だった。
ジミーが台湾から電話して、「日本に行くよ」
と言うと、
アミの答えは「旅に出るの。地球の裏側へ、恋人と・・・」
実際のアミは入院中のベッドの上。
アミの強がりだった。
国境と時を超えて綴られる美しい叙事詩。
アミを愛した記憶、
初恋の美しい記憶は、
ジミーの生きていくこれからの原動力になる事でしょう。
18年の時を隔てた現在と過去の往復であぶり出す悲恋物語
立ち止ると自分が見えてくる…と、劇中で台湾人の居酒屋主人が言う。
立ち止まってばがりの私にはいっこうに自分が見えてこないのだけれど…。
タイトルから想像できるように、原作とされるのはJRの「青春18きっぷ」での列車旅を台湾人の著者が綴った紀行本らしい。
映画では、ローカル線で出会うのは道枝駿佑演じる貧乏旅の若者だけだが、列車を離れた旅先で心やさしい人々と出会いながら、主人公は目的の地で一つの真実を知るというロード・ムービーである。
主人公のジミー(シュー・グァンハン)はゲームクリエイターとして起業した成功者だったが、物語は彼が社長の座を追われる場面から始まり、最後の仕事として東京に行かなければならないことが説明される。
映画の撮影は日本ロケから始まったらしい。
台湾パートは18年前の18歳のジミーがアミ(清原果耶)と出会って別れるまでの何日間かがほとんどだから、撮影順は現在を撮ってから過去を撮ったことになる。
ジミーが出会った瞬間からアミに惹かれていたのは分かりやすい。
一人で台南に旅してきたバックパッカーのアミが訳アリだということもなんとなく分かるのだが、アミの思わせぶりな行動は、ジミーが自分に気があることを知っているからのように見えた。
…という、出会いから瞬く間に意識しあった二人だったが、アミがその恋に直進できない事情を我々はジミーの旅の終点で知ることになる。
ジミーが挫折を抱えて東京に向かう前、昔アミから届いた絵葉書を見る。
この絵葉書がジミーを日本での旅に誘い出すのだが、この映画は、恋した人の痕跡を追った旅で真実に近づいていくパターンの物語ではない。
ジミーは行くべき目的地を知っていて旅を始めたものの、そこに向かうかどうか逡巡していたように感じた。
アミとは無関係な地を回り道し、その先々でいささかベタで出来過ぎな一期一会を経験する。アミを知らない人々と触れ合う中で、目的地に向かう決心をしたのだと解釈した。
これは、ベストセラーの紀行本が原作だという前提で、よく練られた物語だと思う。
旅と並行してジミーとアミの過去を徐々に見せていく構成はよくある手法なのだが、過去の切り取り方と挿入のタイミングが絶妙で、サスペンスの盛り上げ方が非常に上手い。
そして、最後にジミーが受け取るアミのメッセージは涙を誘う。
おそらくジミーはそこにアミがいないことは知っていたのだろう。その理由も。
だが、アミの本当の想いはそこで知ったのだ。
これは、恋に落ちた若い二人が想いを伝えあうことが叶わなかった悲恋物語だ。
さらに。ジミーが過去に決着をつけて未来に歩みだすことを予告している。
ジミーは、恋した異国のお姉さんに振り向いてもらえなかった失恋感を18年間ずっと抱えていた。仕事で大きな挫折をして行き場を見失った今、成就させられなかったかつての恋に思いを馳せ、なぜ自分の事業から追われるハメになったのか、なぜ自分の恋は実らなかったのか、この旅は意図せず自分の存在とは何かを確認するものになった。
さあ、これからジミーの仕切りなおし人生が始まる。
18歳は、体は大人であるが、人生経験も浅く社会的な力も弱い。だからこそ夢と希望に満ちていて、恋をすれば過去にないくらいの熱量が発せられる年頃だ。
36歳は、社会の中心的世代へと成長し、ある程度人生の紆余曲折を経て一人ひとりの運命は千差万別に別れた年頃だ。
0歳から18歳、18歳から36歳、この〝18✕2〟は人間の変化と成長において濃密だ。
人生の大きなターニングポイントであり得る2つの年齢の、その時点を切り取って、涙を誘う悲恋物語の裏で人が成長するためにあがき苦しむ様を描いてみせた、秀逸の一作だと思う。
青春とはかない現実にに心を動かさられる
台湾の人気紀行エッセイを藤井道人監督が脚本も担当した日本・台湾合作映画。物語は、台南に住む18歳の高校生ジミー(シュー・グァンハン)がカラオケ屋のバイトをしているときに日本から旅行に来たアミ(清原果那)と一緒に仕事することになりジミーはアミに恋心をいだくというストーリーだ。
しかし映画はジミーが36歳になった現在と過去の18歳のときの回想を織り交ぜながら描写されていく。ジミーが36歳になり雪上で「元気ですか」と絶叫するくだりは18歳のときアミと岩井俊二監督の「Love Letter」を見て感動しとことを追体験させる。藤井監督は、回想の挿入によって伏線回収すべく映画を展開させる。これをドラマによくあるマウント欲しさの伏線回収ととらわれるかもしれないが、約二時間の制約のなか濃縮な映像展開をおこなったと評価したい。
台南でアミと出会ったとき、恋していくジミーの視点で描かれる。四歳年上の好きな女性とバイクに乗る、話をする映画を見に行く、何もかもが夢のような時間で18歳の淡い恋心がみずみずしく描出され見ていてすがすがしさを感じてしまう。またアミがジミーや仕事仲間と真摯に明るくコミニケーションをとるから、バイト仲間からも好かれ突然日本に帰えるとき皆は哀しみを隠さない。ジミーとアミはある約束して別れる。
舞台は変わって36歳のジミーがたどたどしい日本語で日本を旅する。旅で出会う人達は皆優しい。それは単に田舎の人が優しいだけでなくジミー自身が真摯に人と向き合うからだ。台南にいたアミと一緒であり、二人の何事も真剣で誠実な人柄がこの映画の根底をなしているのだ。それゆえ二人を見守りたくなるのだ。
藤井監督が用いた伏線回収は、回想で同じシーンをアミの視点と新たな映像を追加してアミの心情をクローズアップさせて見る者の心を揺さぶる。そしてジミーの心情も明らかにする。この手法は単なる伏線回収でなく別視点からの映画の再構築である。ここにおいて映画はまったく別の顔を持つ。青春のノスタルジーとはかなさ、それらとの決別を描いた秀逸な映画であった。
人生は旅、一人ひとりの道が交差しては分かれて
THE青春ラブストーリー
123分 映画.com4.1
18年前の台湾、高校3年生ジミーがバイト先で出会った4歳上の日本人バックパッカー、アミに恋心を抱く。突然帰国の決まったアミから次回会う時の提案を受ける。
そして18年後、ジミーは来日しアミの故郷福島へ行く。
ジミー目線の募る恋心と、それを感じているアミ。そして病と闘いながら帰国をせざるを得ないアミ目線
アミが、ジミーに魅かれて試すようなふるまいが、???と思ってたけど、後でなるほどと!
プラトニックやなー、青春やなーと、それがいいんやーと思いながら何か違和感が•••
手しか握ってない男女がそこまで何年も想い続けるのは(アミはそうだとしても••)、やはりジミーの想い続ているのは自分は違和感を感じてしまう
綺麗な映画
18年前好きだった日本人女性に会う為に、1人日本を旅する台湾人男性の話。
2人の瑞々しさ、素晴らしいロケーションだけでこの映画を見る価値あります。
初めて恋する2人の、手を繋ぐ瞬間を大事に演出する。自分にはないハズの過去を思い出すような素敵な映画でした。
ただどこか結末が読めてしまう。もうアミ生きてないでしょ…って思えてしまう。ラストの主人公に送られるラブレターも弱いかなーと。スッキリし過ぎて後一歩泣くに泣けない感じがすごく勿体無いと感じた。
初恋のようなふたりの不器用な恋に涙…。
ふたりの淡い恋愛模様がもどかしく、つかみどころがないアミに振り回されるジミーがかわいそうだった。
最後まで観れば、そうかと腑に落ちるけれど、なぜジミーに自分の病気のことを打ち明けないのかは、謎のままだった。
若い人ががんや白血病など重い病気で亡くなるのは、私は遺伝だと思っていた。
けれど、実は成長期の急激な細胞分裂でミスが起きて発病することが多いと、最近知った。
アミのランタンにかけた願掛け「旅が続きますように」は、彼女の心からの願いだったんだろうな。
ランタンを飛ばすシーんは、幻想的で本当に美しかった。
海外ひとり旅が趣味の私、唯一残念だったのが、東アジアには行きたい国がひとつもなかったこと。
韓流ドラマも韓流スターも、三国志もはまらなかった。
けれど、この映画を観て、台湾を1週間くらいかけて、1周してみたくなった。
雰囲気があたたかくて、ご飯がおいしそうな国、ちょっと沖縄っぽい。
ランタンフェスティバルにも行ってみたい。
来年あたり、実現したらいいな。
ジミー目線の日本の風景、湘南、新潟、福島も、新鮮に美しかった。
映画「Love Letter」、小説「雪国」を見直そうと思った。
ホント、台湾と日本のプロモーションビデオとしてとても秀逸。
ジミーがアミの最期の様子を知って、泣くところは、胸に迫った。
ジミーの今後の人生を応援したい。
ただまあ、外国人と結婚するのは、現実的にはかなり大変。
キレイな恋として、永遠に残る形でよかったのかもしれないと、大人は思ってしまいました☆
ラブレターは未見
自分にもこんな青春があったなぁと思える人はうらやましい
もうすぐ60歳になるかというおじさんにとって、自身の過去の苦い人生や
青春のなかにオーバーラップできるようなシーンは無い事が残念(あぁ、悲しき自分の平べったい人生)
じゃあ、感情移入できない映画かというとそんなことは無く
後半に向かってゆっくりとジミー君の想いにシンクロしていく自分がいる
いい年のおっさんが、号泣しそうになるのを必死にこらえて乗り切った
隣のカップル、彼氏の方が先に号泣して泣いていたから余計、踏ん張ってしまった
私も家で観ていたら、隣の彼以上だったかもしれない
「あの時、自分の行動が違っていたら、今の自分は変わっていただろうか」
後悔は、現実の厳しさを受けて、ともするとただの「泣き言・逃げ場所」に
なるものなのだが、それも受け入れての人生であり自分なんだなぁ
台湾の人たちも日本で出会う人たちも、みんないい人
旅は嫌いじゃないが、主人公たちのように自然に会話が生まれることはあまり
経験していない どちらかというと苦手で、避けてきた
でも、この映画を見て、自分も旅先で隣の席の人に「どんな旅ですか?」と尋ねたりして
小さな思い出を紡ぐのも悪くないなと思った
清原果耶さん、知らなかったけどとても印象深い女優さんだった
着実に実績を積まれている方のようで、今後ますますスポットライトが当たることを
期待します
「碁盤切り」にも出演しているみたいだから、追っかけ、観てみようかと思います
泣きました、すっごく
何がとは言語化出来ないが、本当に好きな映画だった。劇場でここまで涙が止まらなかったのは久方ぶりである。
台湾でのランタンのくだりから涙腺が崩壊した。アミはジミーからの愛を確実に感じているし、アミにとってもジミーが大事な人であることは分かる。だが、日本には帰らねばならなかったし、アミにとってはそれが最善の選択であっただろう。
だから、台湾の出発前に言葉でなくても行動で想いを伝えられて本当に良かったと思う。
当初、ジミーは自分の想いが届いていない、もしくは不要なものだったかもしれないと感じながら旅を始める。だが、福島を訪れ、あのときの行動のおかげでアミも人生の希望をさらに強く持てたということを知ることができた。
言葉を伝えられなかったとき、日本に行くことが出来なかったとき、そして二度と再会が出来ないと知らされたとき。ずっと想いを伝えられなかった後悔が彼につきまとっていた。今回の旅で彼はそれを見つめ直すことができ、「さよなら」することができた。
それが、ジミーの18×3への物語へと繋がる。
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ロードストーリーとして、旅の途中で出会う方々との物語も良かったのですが、ちょっとジミーとアミの関係が良すぎて全て持っていかれてしまいました。もう一回、改めて、アミの死を知っている状態で観てみたいですね‥‥‥‥
あと、ジミー役の方と清原果耶さん。本当に良かった。ジミーの不器用思春期さは(自分を思い出して恥ずかしくなりつつ)かわいかったし、清原果耶さんは序盤あざと過ぎた。あれはちょっと喰らいますね。
ジミーに、君は桜木花道だと伝えたい‥‥‥‥‥
出会ってくれてありがとうジミー
それは、アミが描いた旅の絵に
書かれた言葉
台湾の実業家の青年が起業に
失敗してから過去と向き合い
再生する話
ではないですね‥
問題を抱えた日本の少女が
人生の最後に選んだ
旅の時間が
台湾の青年の生き方をかえていく
はなしでした
本作で何回か出てくる
ジミーの父親の言葉
「今の一休みは、次のより長い旅のため」
彼が日本旅で
同胞が経営する居酒屋を訪ねる
きっかけだったりして
本作自体のテーマにも思えます
しばらくは、
ジミーが人生を取り戻すために
アミに会いに行く話かなと
誘導されますが
途中でそうではないことに
気づく
彼女が
今どうしているかを知っていて、
これは、
心の整理をする旅なんだと
台湾での二人の生活を
ジミー視点で楽しくみながら
まさか
そんな事になっていたとは‥‥
後に、
アミ視点で答えあわせされるのが
たまらなくせつない
ジミーが
大切にアミのことを接しており、
その、たとたどしさで
いくつもの殻を
少しづつとっていく様子が、
若い時の異性への
距離感にすごく近いものを
感じます
だからこそ
デートに誘うやりとりや
バイクの二人のりや
ランタンのハグなんて
キラキラ
体験すれば、
たぶん、一生覚えているシーン
のちに何が明かされようと。
人生一度しかない
その時しかできないことは
きっとある
不安があっても
こうしたいと思ったことは
やらない後悔より
やって反省したほうがいい
明日への一歩を
感じる作品でした。
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