「【給食は机を向かい合わせて食べてこそ、楽しいし、おいしいのである。今作は派手な展開もないし、恋愛もプラトニックだが、この物語には給食を愛する教師と生徒の姿がキチンと描かれているのである。】」劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【給食は机を向かい合わせて食べてこそ、楽しいし、おいしいのである。今作は派手な展開もないし、恋愛もプラトニックだが、この物語には給食を愛する教師と生徒の姿がキチンと描かれているのである。】
■第一作「劇場版 おいしい給食 Final Battle」の関東近郊と思われる常節中学、第二作「劇場版 おいしい給食 卒業」の黍名子中学から色々あって、第三作は1989年の函館の忍川中学が舞台である。(”色々あって”を知りたい方は前作を鑑賞される事をお勧めする。)
そして、給食バトルの相手も神野ゴウ君から、粒来ケン君に代わっている。
だが、市原隼人さん演じる謹厳実直な甘利田幸男先生は、いつもと同じように厳しい顔つきで、朝、校門に立ち生徒の登校する姿を見ている。
但し、給食の時間を除いて・・。
因みに、私はこのシリーズの原作である中公文庫から出版されているシリーズ三冊とも既読である事を敢えて記す。尚、TVドラマは観ていない。
◆感想
・相変わらずの市原さん演じる甘利田先生の謹厳実直な姿と、給食時の嬉しさに弾けるギャップが凄い。校歌と共に、上半身を激しく揺す振りながら眼前の給食を食べる前の喜びを表現する甘利田の姿。そして決まって最後に”ゴン!”と手を机の角にぶつける姿。クスクス。相変わらず可笑しい。
・そして、机を向かい合わせにして、給食を美味しそうに食べる生徒達の何だか懐かしい姿。このシーンだけで給食の時間の楽しさを思い出すのである。
・そこに現れる忍川町長の等々力(石黒賢)。悪い男ではないのだが、選挙前公約として食料のない国の子もいると言い、”完食””個食”をスローガンに上げるのである。
ー それに対し、普段は給食バトルをしている甘利田と粒来ケンは、反対するのである。
給食とは、机を向かい合わせにして皆でイロイロと話しながら食べるから楽しいし、美味いのである。
完食するまで時間を延長させるとか、個食などは美味くないであろう。
完食を強いられ、給食の時間が苦痛だった小食の方には辛い想い出であろう。
更には、コロナ禍の際、個食を強いられた小学生の姿を見て、可哀想に思ったことを思い出すのである。ー
■敢えて記すが、今作はストーリー展開がやや粗い。
学芸会の演目”ホワイトマン”の”展開とか、原作を読んでいないと(もしくはTVドラマでも描かれたのかな?)分かりづらいと思う。
だが、甘利田と粒来ケンの給食バトルの際に甘利田が椅子の上に腹ばいの姿で乗って、スイーッと粒来ケンの席の前まで来て”そんなの、美味いに決まってるだろ!このやろー!”というナレーションなど相変わらずに面白い。クスクス。
更に、甘利田が給食に向かう時の輪島塗の”甘利田”と金文字で記されたマイ箸を”シャキーン”と刀のように抜きながら演じる市原隼人さんの給食愛に溢れたナレーションは、矢張りクスクス笑えるのである。
そして、随所で甘利田先生が口にする金言、例えば”給食は自由に食べてこそ、美味いのだ。”なども心に響くのである。
<このシリーズの第一作「劇場版 おいしい給食 Final Battle」を市原隼人さん好きな私が見てからもう4年が経つ。
その間、大変な出来事が色々有ったが、第三作を観れて僥倖である。
一年後位には第四作を観たいモノだが、脚本をしっかりと練って欲しいとも要望したい。
それにしても、甘利田が脚本を書いた”ホワイトマン”のモデルが神野ゴウ君とはねえ。大きくなって、背丈は市原隼人さんと変わらない。子供が大きくなるのって早いんだよなあ、と嬉しく思ったな。では。>
■2024.5.24 御指摘があり、一部修正しました。
原作本があるのは知りませんでしたが、TVドラマでホワイトマン振りまくってました。
season3は少しネタ切れ感も否めなかったし、劇場版ありきなちょっと物足りない終わり方だったのを見事に締めてくれた感じでした。