「危ないよ、ちゃんと仕事しようぜ。」ゴンドラ Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
危ないよ、ちゃんと仕事しようぜ。
11月27日(水)新宿シネマカリテで「ゴンドラ」を。
セリフ一切無し。自然音と音楽のみで展開する。ドイツのファイト・フェルマー監督のセリフ無し作品は初見。
父親?祖父?(台詞も説明も無いから不明)が亡くなり故郷に帰って来たイヴァは葬儀の後、ゴンドラという名前の会社?(制服に書いてある)のロープウエイの乗務員として働き始める。
ロープウエイには古い2つのゴンドラが行ったり来たり、真ん中ですれ違う。従業員は先輩の二ノと威張っている駅長。ゴンドラは、地元の人が羊や鶏を運んだり、子供同士の恋を運んだり。(「ジョージアで最も長い距離をつなぐゴンドラ」として知られているジョージア南部の小さな村フロに実在するロープウエイで撮影された。)
二ノは駅長のチェスの相手をさせられているが、盤をステーションに置いてイヴァと往復するたびに一手ずつ打って勝負する。ポーンを取ってナイトを取られ、とうとうチェックメイト。イヴァは二ノの弁当箱をみて美味しい弁当作ってあげたり段々と仲良くなって行く。
ゴンドラですれ違う一瞬のためにお互いコスプレするようになり、どんどんエスカレートしていく。(おいおい、ちゃんと仕事しようぜ)
映画のコピーは「どこにも行かないけど、どこにも行ける!」
そう、このゴンドラはニューヨークでも火星へでも行けるのだ。(コスプレだけど)
ロープウエイに乗りたくて駅まで来ても駅長に追い払われる車椅子の人をゴンドラの下にワイヤーで車椅子を吊して運んであげる。ゴンドラのうえから下の住民達と合奏する。この辺の高揚感はナカナカである。
しかし、である。ゴンドラの下に車椅子をワイヤーで吊してたら危険です。ゴンドラから火を噴いたり、花火をあげたら危険です。ゴンドラを勝手に改造しては駄目です。切れたワイヤーを素人が溶接してゴンドラを運行しては事故になります。人のロッカーの鍵開けて弁当箱の中身を確認したり、売り上げ金持ち出してゴンドラからばら撒いちゃうのも犯罪?
セリフ無しでも上手く出来ていたから寓話として見ているうちは良かったが、あまりにも羽目を外し過ぎて少し冷めてしまった。
おまけ
カールⅢ世さんが吉祥寺でファイト・フェルマー監督の前作「ブラ!ブラ!ブラ!」(「ゴンドラ」公開記念上映中)を観たとレビューに書いてあったので、明日にでも観に行こうかと思ったら上映は今日までだった!残念。
ブラ、公開時にみておけばよかったー!久しぶりにバレエを見たあとだったので、バレエのような映画だったなあと思いました。身振り手振りなく、自分の身体と表情と衣服で勝負していたから!