「深く考えることなく、チャーミングなやり取りを愛でれば「OK」なのかな、と感じた」ゴンドラ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
深く考えることなく、チャーミングなやり取りを愛でれば「OK」なのかな、と感じた
2024.11.7 無声 アップリンク京都
2023年のドイツ&ジョージア合作の映画(85分、G)
ロープウェイの乗務員二人の交流を描くファンタジーロマンス映画
監督&脚本はファイト・ヘルマー
物語の舞台は、ジョージア南部の村フロ
父の訃報により地元に戻ったイヴァ(マチルデ・イルマン)は、葬儀を終えた後も実家に戻ることもなく、その地で一人で生きることを決めていた
村にはロープウェイがかかっていて、イヴァは乗務員の面接を受ける
そして、無事に採用され、ひとつのゴンドラを任されることになった
だが、頑固で威張り屋の駅長(ズカ・パプアシビリ)は、足の悪い老人(バチャガン・パポビアン)を乗車拒否したりと態度は横柄で、先輩乗務員のニノ(ニノ・ソセリア)は彼に嫌気を指していた
どうやら駅長はニノのことを好きなようだったが、彼女は一切口を聞くこともなく、仕事が終わるとさっさと身支度をして帰宅していた
彼女はCAになることを夢見ていて、いつか本当に空を飛びたいと考えていた
映画は、無声映画ということで、ほぼ声が出ないつくりになっていた
実際には「OK」という言葉が1回だけ出てくるので、これをスルーしたのか、わざと入れたのかはよくわからない感じになっている
それ以外のシーンは本当に言葉を使わないので、ある種のパントマイム映画を見ているような感覚になってしまう
物語性はさほどなく、駅長の知らないところで自由に色々と企てる二人が描かれ、それがハートフルなコメディとなっている
実際に彼女らができる範疇を越えているので、テイストはおとぎ話に近くて、かなりファンタジックな内容だったと思う
映画には、二人の他には駅長と車椅子の男、それに少年(ルカ・ツッツクラゼ)と少女(エレネ・シャバゼ)が登場するくらいで、その他は村人たちが音を立てに登場するくらいだった
クレジットには「コーラス」で三人分の名前だけが書かれていたが、未亡人(ニアラ・チチナゼ)の他にも、「窓を閉める母娘」「木こりの親子(もしくは兄弟)」「木を運んでいる作業員2名」などがいたので、総勢10人くらいの「コーラス」がいたと思う
彼らの名前がない理由はわからないが、音階を刻んだ人だけの名前が掲載されているのかなと思った
いずれにせよ、一風変わった映画を観たい人向けの作品で、ワンシチュエーションのほんわかコメディだった
とは言え、駅長への逆襲は結構過激なもので、自業自得とは言え、天国に召される?のはかわいそうに思う
貯金も村人たちに還元されてしまうし、踏んだり蹴ったりな扱いになっていたが、これを因果応報と言ってしまうのは無理があるかもしれない
絵本的な作品で、もし教訓があるとするならば、人のものを壊したらダメだよというところだろうか
駅長がニノのヴァイオリンを破壊したところから二人の行動はエスカレートしているので、そう言ったヘイトは巡り巡って自分の首を絞めてしまうのかな、と感じた