「やや(海外視点で)わかりにくい点はあろうがおすすめ枠か」小学校 それは小さな社会 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
やや(海外視点で)わかりにくい点はあろうがおすすめ枠か
今年31本目(合計1,573本目/今月(2025年1月度)31本目)。
この映画それ自体は日本の映画で日本の小学校の、新1年生と6年生の1年の生活、そして新2年生と中学生へ(=小学校の卒業式まで)を1年扱ったドキュメンタリー映画の扱いですが、公式サイト等にあるように海外で見ることが相当考慮されていて、エンディングロールにはその旨のクレジット等や関係者の名前もあがります。
公立小学校ということなので、昔も今も変わっていない部分もあれば、映画で扱われているのが2021年以降という事情もあるのでコロナ事情によるいわゆる自宅学習やタブレット学習といった、やはり公立といっても10年、20年前ではなかったようなことも扱われているので、ここはやはりコロナ事情が(結果的に、一過性のものではありましたが)特殊な部分もあるので、そこを特に強調すると「コロナと小学校の在り方」という別の論点になってしまうのではないかな、といったところです。
気になった点として、ややプライバシー保護が「すぎるかな」といった点があります。明確に名前が出てくる登場人物(児童)以外の児童は名札などにうっすらモザイク(ぼかし)がかかっていますし、登場人物としてあげられる児童数名も全て「ひらがな」の名前での紹介です(もちろん、本名がひらがなの子もいましょうが、全員ということは考えにくい)。
こうした事情から、一部後半からわかりにくい点があり、そこがどうかなといったところです。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.2/一部の理解がわかりにくい部分がある)
上記のプライバシー保護の観点で名札などにうっすらぼかしがある点を書きましたが、この関係で、映画後半から終わりかけに登場する、当時1年生(映画内では、2年生となる直前で1年生を迎える会の話に登場する)の登場人物の一人、「あやめちゃん」の部分(その新1年生を迎えるための音楽会に参加するという趣旨の部分)で、誰が誰かわかりにくい部分があります。
※ 女児の名前として「あやめ」は時々みますが、海外では当然これら当然追加字幕はつくのだろうと思いますが、 Japanese Iris なのでしょうか?(いわゆる「あやめ」と「アイリス」は実際には同じものだが、それは花屋等では当然のことではあっても、一般には別扱いされるため)
(減点0.2/足し算の交換法則についてやや配慮が足りない)
1年生では1桁までの繰り上がりがある、1桁どうしの加法を学習します。その中で「11が答えになる計算式を色々探す」というカリキュラムの中で「2+9のカードがなくなった」という趣旨の話が登場します。もちろん答えはそれだけではなく(例えば3+8も答えになる)、「答えが11になるカードを全部探そう」という趣旨のものです。
ただ、答えが11になる点においては、2+9も9+2も同じであり、この点の話が出てこないので、この点やや配慮を欠くかなという気がしました(加法の交換法則ほかは3年以降の扱いですが、多少なりとも理系的な知識・教養がある子なら、「足し算について、交換法則(に相当するもの)が成り立つ」ということは推知できるため、それらに対する配慮が足りないわけです。
※ ただ、この「加法について交換法則が成り立つ」のは大学以降も含めて常にそうですが(代数上の環では乗法の交換法則は保証されない(それも成り立つのは可換環)ものの、加法の交換法則は常に保証される)、例えば文章題として「初めに9人の子供がいました。遊び友達に2人加わりました。合計で何人ですか?式と一緒に答えましょう」という問題なら、9+2を認めるのは当然だが、2+9を認めるかどうかは見解が分かれうる(このあたりが乗法(掛け算)で厳密にうるさく論争になっているのが、いわゆる「掛け算の教え方論争」という、実際にツイッター(現、X)等でしばしば問題になることがら)ところです。