「まこちゃんの2+9のカードがない!」小学校 それは小さな社会 ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)
まこちゃんの2+9のカードがない!
すっかり大人になってしまったわが子らの小学校入学時を思い出して初っ端からじんわり。ピカピカの1年生と6年生を並べて、6年間で日本人として「できあがって」いくのもすごいが、生物としての細胞分裂度合いにも単純に驚く。
教室での黙食や修学旅行で全員前を向いた御膳の配置などコロナ禍で学校は大変だったとは思うのだが、若い先生たちの規律に向けての力の入りっぷりを観ていると、戦前の軍国主義教育への反省を國學院の教授が講演しているほどなので、やはり下駄箱の上履き並べ方チェックとか、なんでそんなことまでやるのか?と思う。J・K・シモンズじゃないんだから、シンバルできないあやねちゃんを泣くまで責めんでも…。
教育水準が高いと言われるフィンランドで本作が拡大公開されるほど日本の教育は(いろんな意味で)興味深いのかもしれないが、「日本人の作り方」という英副題になるほどと思いつつ、小学校の頃はまじめに教師の言うことをよく聞いていた自分がいつから捻くれた人間になったのかと考えると、日本人を作り出す社会の空気が初等教育の現場に滲み出ているという気もする。
とはいえ、ナチュラルな子どもらの姿を99分間眺めるだけで2024年末に微笑ましい気持ちにもなったのはたしか。
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