「肝心主役がミスキャストで辛い、ジェニファー・ローレンスなら完璧」ARGYLLE アーガイル クニオさんの映画レビュー(感想・評価)
肝心主役がミスキャストで辛い、ジェニファー・ローレンスなら完璧
ひと昔どころか60~70年代でしょうね、ド派手なアクションコメディをノー天気に描くゴージャス映画。しかも小説家が自らの創作の中に入って行く、ってのもよくある話で。そんなタイプをアップルの大金使って再現しようと頑張った、でしょうが、なんとも中止半端に終わってしまった。ワクワク・ドキドキの至福の時間が過ごせるハズだった、なにしろヘンリー・カビルがその象徴たるスパイを演ずるのですから。
ところがどうでしょう、あの似合わない髪型からして引いてしまいます。なにより脚本が実にいい加減、所詮小説家の頭の中の妄想なのに、ド派手アクションがまるで活きない。そしてトドメは主役を演ずるブライス・ダラス・ハワードが決定的にミスキャスト。あのロン・ハワードの娘も既に42歳、おまけにあのプロポーション、彼女をリフトしなきゃならないサム・ロックウェルが可哀そう。そもそもサムとても歳が行きすぎで、全然オシャレじゃないのが致命的。
昔ならキャメロン・ディアスが演ずるような役で、今でしたらエマ・ストーンか、マーゴット・ロビー、とすると相手のエイデン役はライアン・ゴスリングになってしまう。やはりジェニファー・ローレンスがベストでしょう、相手はタロン・エガートン辺りで。歳のバランスもよく何より軽やかに華やかにキレイめになったでしょうに。もちろんヘンリー・カビルは主人公の理想のアイコンですからそのままで、もちろん髪型は007タイプで。ただし、ヘンリーは嫌だったでしょうね、こんなステレオ・タイプのイケメンを不自然に演ずるなんて。
チェック柄のひとつであるアーガイルをモチーフにしたのに、イギリス色は薄くオシャレなのは冒頭だけ。「キングスマン」は20世紀スタジオの作品だから類似は避けてでしょうね。そうは言ってもサミュエル・L・ジャクソンを起用しわざわざフランスのブドウ畑に配する苦肉の策が、却って厭らしい。荒唐無稽は大いに結構、ですが登場人物達の意志が分からず何が何だか状態になってしまうのが致命的。
ご丁寧にラストに続編を匂わせてますが、この出来でしたら次は無いでしょうね、きっと。