劇場公開日 2023年11月17日

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「ちょっと駄目かな。」PHANTOM ユリョンと呼ばれたスパイ あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ちょっと駄目かな。

2023年11月21日
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鑑賞方法:映画館

韓国映画が少し足りなくなっていたので(とはいえ今年も「パーフェクトドライバー」や「別れる決心」などは観ている)楽しみにしていたのだが結構駄目だった。
この監督は「毒戦」の時もちょっともたついた演出をするなという印象があったがかなりひどくなっている。総督府内部のスパイを洗い出すために偽の電報を打ちその電報の報告にあたって関与した人間を容疑者として集めるという趣向なのだが説明はともかく設定を生かさず、心理戦ではなくいきなり格闘や銃撃戦に移るので何がなんだかよくわからない。格闘や銃撃戦についても無駄に長く、脇役はすぐ死ぬのに、主役級の3人はどんなにダメージを受けてもすぐに復活する。「リボルバーリリー」か?
エンターテインメントなんだし荒唐無稽は韓国映画のお約束なので何があっても別に構わないんだけど、荒唐無稽の中に凄みやえぐ味があってそれが説得力やリアリティに繋がるというのが韓国映画の良いところだったと思う。それがなく妙に収まりの良い映画になっていませんか?
アクション監督も駄目。折角パク・ソドムを使っていて途中、スカートの裾を切ってしまうシーンがあるもんだから素足をむきだしたアクションを期待したが全く後ろに繋がっていない。爆撃シーンに頼りきりで韓国映画伝統の肉弾戦のシーンが弱い。繰り返すが「リボルバーリリー」か?
それはそうとユリョンの属する「黒色団」だが要するに闘争手段がテロである組織ということですね。これは史実と合致しないのではないのかな?私の知識では三一独立運動初め朝鮮の対日活動の主体は非暴力とまでいかなくても独立宣言開示や同胞教化などの地下運動だったはず。例えば「マルモイことばあつめ」のような。テロや破壊活動はソビエト共産党の支援を受けた抗日パルチザンや個人の行動(伊藤博文を暗殺した安重根とか)に限られるはず。
テロを標榜する地下組織が堂々と存在した、ましてや最後の暗殺シーンなんかはギャングの抗争みたいなんだけどこういう史実があったと韓国で映画をつくるひとがいい始めていいのかな。韓国においても世代交代に伴って歴史認識のズレが起こっているのかもしれない。というのが正直な感想です。

あんちゃん