「この犬とロボットに幸あれ。」ロボット・ドリームズ sokenbiteaさんの映画レビュー(感想・評価)
この犬とロボットに幸あれ。
現時点で2回見ています。
1回目見たときは、そんなにいいとも思いませんでした。
というのも、前夜の寝不足がたたって眠気に勝てず、ビーチの場面のはじめあたりからお別れに至るまでのくだりを、丸々見てなかったんですよね。
気がついたらロボットがビーチに寝てて雪が降ってて。
そこからは一応最後までちゃんと見たんですが、そんなに感情が動くこともなく、最後の展開も、これはなかなか現実的だけどもこれじゃダメなんじゃね?と思えて、ほんとに大事な相手なら状況をぶっ壊してでも、少なくとも気持ちは伝えるべきで、それを避けてこんな穏当な着地をする話がこんなにも評価高いのはいかがなものか、なんて思ってました。
もう一回見直すかどうかも、微妙だなーと思いました。
主人公の犬が、あんまりいいやつに思えなかったんですよね。
こいつの話もう一回見るのはかったるいな、と思って。
ただ自分の意見とは違うけど各所で絶賛されてるし、途中肝心なとこ見逃したままなのもモヤモヤするなと思って、もう一回見て確かめようと思って2回目を見ました。
もう一度見て評価が変わるとは全然思ってなかったですね。
そしたら、ものの見事に変わってしまいました(笑)。
あの犬の、ビーチでロボット助けようとするあれこれが、その後の展開知ってるだけに切なくて切なくて。
もうそっからは、後から後から涙が出てくるんで困りました(笑)。
そこから先は1回目に見たので、当然もう知ってる流れをなぞってくわけですが、断然胸に刺さってくるんですよ。
ですからね、皆さん、人のある側面だけ見てイマイチいけすかないやつだと思っても、その人が自分の知らないとこで取った行動を知ったらまるきり見方変わってしまうこともあるんだから、人のことを簡単に全部わかった気になっちゃダメだってことですね(笑)。
2回目見たときの後半、犬はやっぱり煮え切らないというか、窓にロボットの顔描いたりして寂しんぼやってるくらいならまたビーチ行けよと思ったし、新しい出会いを求めて中途半端に終わるのも前回と同じように格好悪いなーと思ったんですけど、、なんかそれが全部自分に見えてくるんですよね(笑)。
そうなるともうその煮え切らなさが人ごとでなく、それがまた、よく見ると細部まで実によく描けてるもんだから、堪え難いほどに切なくて。
あの再開したビーチに走っていくときの期待、ビーチを見渡して見つからないときの不安、ロボットの寝てた場所を見つけたときの嬉しさ、砂を掘り返すときの祈るような気持ち、そして、ああもうここにはいないんだとわかったときの絶望。
全部が、本当に、本当に、本当にわかりました。
そして最後、今度はロボットが(涙)。
犬を見つけて、どんなに会いたかったか。
でも会うことができないということを、どんな思いで悟ったか。
どんなに相手のことを、大事に思っていたか。
それがもう、完全に自分のこととして、胸に染みて染みて。
泣いて泣いて、泣きました。
誰かのことを本当に大事思う気持ちを、こんなにも自分も持っていたんだということを、思いもよらず掘り起こされて、苦しいほどに切なかったけれど、でもそれを知れて良かったです。
それを教えてくれた映画でした。