劇場公開日 2024年11月8日

「色々な結末を夢想する楽しみが味わえる」ロボット・ドリームズ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5色々な結末を夢想する楽しみが味わえる

2024年11月13日
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シンプルでオーソドックスな絵柄は親しみやすいし、文字情報は多い(「ペット・セメタリー」には笑ってしまった。)ものの、台詞が全くないという演出にも、無声映画のような分かりやすさがある。
最初は、台詞をしゃべらないという不自然さをカバーするために、擬人化した動物たちを登場させているのかと思ったのだが、電話を掛けようとする場面があったり、主人公のDOGが嗅覚を使ってロボットを探そうとする場面があったりと、人間として見ていいのか、動物として見るべきなのかで少々混乱してしまった。
その他にも、鳥や魚は、そのまま鳥や魚なのに、ボーリングをする雪だるまは明らかに擬人化されていて、そこのところの「ルール」が、今一つ分かりにくかったりする。
ストーリーとしては、離ればなれになってしまったDOGとロボットが、その後どうなるのかを見守ることになるのだが、それまでに、2人が共に過ごし、友情を育む場面が短くてあっさりとしていたので、2人がお互いに抱く、相手に対する強い思いが実感しにくかったのは、残念だった。
タイトルにもなっているロボットの夢にしても、2回目以降は(最後の夢を除いて)、彼に右足があることで「夢」であることが識別できてしまうので、余り驚きが感じられなかった。
その一方で、ラストの展開は、例えば、お互いに相手への思いを捨てきれずに別れなければならなかった恋人たちが、それぞれの現在のパートナーを伴って再会した時のような状況に置き換えて考えることができ、ロボットが下した決断には、胸が締め付けらるような切なさが感じられる。
それと同時に、この場合、相手に気付いたのがロボットではなくDOGの方だったら、どのような対応をしただろうかとか、どちらか1人に新しいパートナーがおらず、一人ぼっちのままだったらどうしていただろうかとか、さらには、DOGがDUCKと別れずに、恋人同士になっていたらどうだっただろうかといった具合に、色々なシチュエーションが思い浮かんできて、その結末を夢想する楽しさが味わえた。
そして、そこで、ふと、自分が夢見るロボットと同じであることに気付いて、何だか不思議な気持ちになってしまった。

tomato