「テーマソング」ロボット・ドリームズ TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
テーマソング
第96回アカデミー賞で『君たちはどう生きるか』や『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』などの作品と長編アニメ賞を競い合った本作。サービスデイの新宿武蔵野館は平日午前中のわりになかなかの客入りで、さすが注目度の高さが判ります。
本作、下手なこと言えばすぐに「ネタバレ」するくらい、物語としてはシンプル且つクラシック。観ようによっては、あり得ないほどの都合の良い「ザ・美談」なのですが、この可愛いキャラクターで見せられると罪悪感なく「観たかった物語」に感じて、最後はちょっと涙腺を刺激されます。
本来、感情を持たないはずのロボットに「嬉しさ」や「楽しさ」を共感できる機能を持たせた友達ロボット「AMICA 2000」。従順で思いやりがあり、好奇心が強くて時に奔放な行動とるところに可愛げがある。そして、そんなロボットに「かけがえのなさ」を感じる(実世界における人間寄りの立場である)ドッグとの蜜月な日々は、観ているだけでとても幸せになります。
ところが、あることがきっかけで離れ離れになる彼らなのですが、ここからが本作の肝。このロボットにはもう一つ、既存のロボットにはない設定(本作のタイトルから想像してください)があり、変わりゆく季節に伴って少しずつ変化していくロボットの心境と彼の状態に、肩入れしたいのに何も出来ないもどかしさを感じます。
そして、伝える方法として「言葉」を使わず、表情や情景に加えて使われる「音楽」がこの作品にとって最も重要な要素。アルフォンソ・デ・ビラジョンガさんのサウンドトラックは最高で、今も聴きながらレビューを書いています。
また挿入歌もみな最高で、中でも劇中複数回使用される本作の「テーマソング」。流れ出せばその軽快なイントロから足踏みが始まり、そして息の合ったダンスで気分がアガります。ただこの「テーマソング」、タイトルを言うだけで「ネタバレ」と言って過言ではないためここでは伏せましょう。逆にそのタイトルだけを先入観に、歌の内容を勘違いしている方も一定数いるのでは?もし「はて?」と思われた方、和訳を検索してみては如何でしょう?本作について、いろいろピンとくるかもしれませんよ。