「ホワッとしてるのに凄い作品なのは伝わる!」ロボット・ドリームズ やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
ホワッとしてるのに凄い作品なのは伝わる!
ブラウン管テレビでするシンプルなTVゲーム、スマホはおろか携帯電話さえ普及していない時代背景から推察するにおそらく年代的には1970〜80年くらいの都市部(大都会)の設定なんでしょう。私の子供時代そのまんまだったので受け入れ易かったですが、その中で唯一の特異点は「登場人物が擬人化された動物で話さない」ことと「ロボット技術のみ高度に発達し日常に溶け込むレベルである」ことです。
この作品の凄いところは、子供向けカトゥーンアニメみたいなほホワッとした絵柄にもかかわらず、演出の的確さと情景描写のセンスの良さが凄まじく、動く画面から得られる情報量は予想を超えて多いことです。むしろ会話などの情報が邪魔になるレベルですよ!
これは子供が観ても楽しいかもしれませんが、都市部の独り身の孤独の解像度の高さ(笑)など、むしろ大人が唸る内容になってるんじゃないでしょうか。
ストーリーラインとしては演出とは対照的、技巧に走ってる訳じゃなくこれといった起伏もなく単純明快です。前述の類稀な演出技巧を駆使すれば例えば泣きに傾倒させた感動作になる可能性もあっただろうに、その辺りは実にあっけらかんと、サラッとすすめていて逆に潔いくらいです。
私が特に印象深かったのは唐突に挿入されるロボットの夢、Dogの夢。ありきたりではあるのになぜか人ごとではなく、自分自身が同じ夢を過去に観たんじゃないか・・・まるでデジャブをみてるみたいな特異な親和性があったのは大変不思議な体験でした。
万人受けはしないもしれないけど、刺さる人にはブッ刺さる傑作と思います。
皆さん、ぜひ試しにご鑑賞を!