ゴールド・ボーイのレビュー・感想・評価
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これはあくまでエンタメ映画、現実になったら絶対ダメな奴
ネタバレになるので、なかなか感想を書きづらいのですが、少しの違和感を持ちながら最後まで鑑賞しました。その違和感の正体をエンドロールで回収。なるほど、中国小説が原作なのか…。中国のベストセラー作家・紫金陳(ズー・ジンチェン)の 「坏小孩」 (悪童たち)が原作とのこと。国民性の違い?と言い切ることができるのかは分かりませんが、日本の映画でここまで少年少女の悪を全面に押し出したクライムサスペンスはなかったのではと思います。
主役は、岡田将生さん?と思いきや、はい、子どもたちです。特に羽村仁成くんのサイコパスな演技は素晴らしかった。というかリアルに怖かった…。あんな化け物を産んでしまった黒木華ちゃんの心中はいかに?です…。同じ年頃の息子を持つ母親なら背筋が一瞬で凍ります。少年少女の犯罪が時に世間を騒がせますが、知りたいのは彼らのココロ。なにが彼らをそこに導いてしまうのか?そこの描き方は少し弱かった気はします。
とはいえ、これはエンタメ映画だからこそ楽しめる作品。いい子のみんなは、こんなこと絶対に考えたらダメ〜〜〜!!!
映画はエンドロールの最後までじっくり、席を立たずにご覧くださいね♪
その美しさで冷血が際立つ、悪人岡田将生の魅力
登場人物の背景やら行動やら、どんどん人が死ぬ流れやらヘビーな要素が多い話だが、沖縄の風景の情緒と岡田将生の神がかった美しさに支えられて楽しめた。
ポスタービジュアルと、朝陽が知能の高い子であるという設定から、夏月と浩も朝陽に踊らされていて、朝陽は昇と悪知恵対決するんだろうというおおまかな流れは序盤で何となくわかった。父親と再婚相手の殺人において朝陽が自らの手を汚さない、というところでそれは確定的になった。
であれば、大人vs子供で大人が勝ってもエンタメ的に面白くないので朝陽が勝つだろうなどと、何とも野暮な視点でつい見てしまったのだが、展開が二転三転するので退屈はしなかった。
岡田将生の冷血漢ぶりが輝いている。魅力的な悪役は物語を引き締めるが、彼の演じた昇は身の毛のよだつような非情さと、つい引き込まれる美しさが共存して何とも蠱惑的だった。脚本の港氏が「岡田さんが女性俳優のように撮られていて見とれた」と言っているが、まさにそんな感じ。
ワルい岡田将生と言えば、古くは「悪人」の最低なプレイボーイ・増尾が印象的だ。また悪役以外でも、「告白」でのちょっと空気の読めない寺田先生、「ドライブ・マイ・カー」では主人公の妻を寝取る高槻など、一癖ある役がはまる。
一方で、コメディをこなす演技の幅広さも彼にはある。だが、無実の家族を装って人を殺しても眉ひとつ動かさない昇のような人間に、演技とビジュアルの両面で説得力を持たせ、なおかつ美しさでも観客を魅了するという個性は、今の邦画界では唯一無二ではないだろうか。私はこちらの岡田将生の方が好きだ。
朝陽の人物造形には、正直違和感を覚える部分もあった。一番ピンと来なかったのは、当初昇にふっかけた6千万円と引き換えに殺人テクニックを教授してもらった上で、再婚相手だけでなく実の父親まで殺したことだ。
娘の死に関して嫌がらせをしてきた再婚相手への殺意はまだわかる。しかし、父親を殺したいほど憎んでいるというのは唐突に見えた。
確かに、黒木華演じる温厚そうな母親が、息子に対して実の父親を悪く言っていたのは多少気にはなったし、母子家庭で寂しい思いや不自由もあっただろう。だが、父親もまるきり朝陽を捨てたわけではなくたまに顔を合わせている風情だったし、恨みはあれどそれが殺人の動機にまでなる経緯がよくわからなかった。
また、ラストで都合が悪くなると躊躇なく母親にナイフを向けたのも、あれっそういうキャラなの?という感じだった。確かに、親友のふりをして同級生を使い捨てる冷たさが朝陽にはあったが、一緒に暮らしてきた母親に対しては葛藤するとか、そういう多面性はないのだろうか。
そういった違和感を、彼はサイコパスだから、という万能フレーズで片付ける解釈には、あまり面白みを感じない。仮に生まれつきのサイコパスだとするなら、観客に対してはもうちょっと一貫した人物描写を見せるべきだろう。朝陽があのような人間になるまでのドラマをもう少し知りたかった。
中国を舞台にした原作は未読だが、もしかしたら原作の方ではそのあたりについての描写がもう少しあるのだろうか。舞台となる国の違いで登場人物の背景が変わり、見え方が違ってくるということもあるのかもしれない。
考え出すと他にもツッコミどころは多いのだが、それが物語の勢いに繋がっている面もあるので、犯行の段取りに関しては細かい粗は許容範囲。
あと、音楽の使い方が大仰なところがあり、ちょいちょい火サスのような安っぽい雰囲気が出てしまっているところが惜しかった。岡田将生に突然叫ばせることでサイコパスっぽさを出す、というのも邦画の悪癖。
とは言え、朝陽たち子供が、一筋縄ではいかなそうな大人の昇と駆け引きを繰り返す様子は、なんだかんだ言ってハラハラさせられた。
子供が大の大人とあそこまで渡り合うことは非現実的だと思いたくもなるが、そうも言っていられない世の中だ。最近、うちの近所でも中学生の美人局に引っかかって追い詰められた大学生が転落死する事件があったし、小学生が同級生から100万円近く騙しとるなんてニュースもあった。
子供は社会の映し鏡なのだ。
かつあげ
序盤の、金髪の友達が街でかつあげし、そのお金で食事をする場面。
真面目そうな主人公が、かつあげを止めないのに違和感があった。そんな事はなんとも思わなかっただけなんだね。
女の子とのデート場面、何故か泣けた。
主人公は恋心を利用して女の子が自ら「あたしがやる」てなる方向にしむけた。女の子が自分の本心に気付いてもやってくれる、そこまで読んでいたのだろうか?
3人とも素晴らしかった。
完全犯罪
原作やTVドラマは知らないけど、ここまで完全犯罪におけるどんでん返しは初めての体験。東ホールディングス社長夫婦をその婿養子である東昇(岡田将生)が崖から突き落として殺すという犯罪。そして、離婚を迫ってくる妻への殺意もやがて現実のものとなる・・・この筋だけで見ると東昇の完全犯罪について語られるものであるが、実は中学生3人が目撃していたために予期せぬ方向に進む。
そう、前半は倒叙ミステリーぽく扱い、脅迫目的で近づく中学生たちをちょっと応援したくなるような展開なのに、最後には天才中学生・安室朝陽による完全犯罪だったというトリッキーな逆転プロットを構成していたわけだ。
ただ、納得いかない部分も多々あり。上間夏月(星乃あんな)が殺人事件を起こした父親の娘で自分も殺人犯になるに至った心理変化。その義兄にあたる上間浩(前出燿志)の夏月に対する想いとか。さすがに13歳では犯罪に問われないということだけでは説得力に欠ける。まぁ、浩の髪が金髪だったから彼がてっきりゴールドボーイなのだろうと想像していたほど知能の低い自分が言うのも何なのですが・・・
個人的には数学の天才対決というところが面白かったかな。準優勝のトロフィーを部屋に飾っている東昇に対して、「僕はその大会で優勝したよ」と軽口をたたく朝陽。江口洋介もたじたじ。
もう少し注文をつけるならば、警察内でも要職を固めているくらいだから東一族が沖縄の町を牛耳っているシーンがあっても良かったかなぁ~と。覚醒剤使用をもみ消す力もあるんだしね・・・
本当に恐ろしいのは誰か
殺人事件を目撃した少年たちが,犯人を脅してお金を取ろうとするところから始まり,話はどんどん過激にそして恐ろしくなっていく。
一見,悪そうな少年よりこの賢い男の子が壊れていた。
殺人を見られた男もかなりイカれてるけれど,それ以上の怪物が,子供の殻を被って普通に生きていたのだ。
これは最後まで面白かった。
女の子が可愛くて最後まで愛すべきキャラでした。
ドラマの方がいい❤️
あらすじを聞いて、以前wowowで放映されていた
華流ドラマ、『バッド•キッズ』のリメイクだとわかった。
最近また放映していた。原作未読。
舞台は沖縄。
シンママと暮らす真面目な少年朝陽と、
変態父親を刺した少女夏月と異母兄浩。
黒木華さん朝陽の母親役だ‼️
三人で海岸で写真の撮りあいをしてたまたま動画で、
絶壁から何か落ちるのを映してしまう。これが冒頭、
東昇が義両親を突き落とすシーンだ。
カメラからその落ちる様子をパソコンで確認する三人。
“あの動画をあの人に売れば1,000万はいけると思う。”
と朝陽が言う。
東昇の妻静、つまり殺された夫婦の娘は、
夫昇を疑い、一族で信頼できる刑事の巌に相談する。
“いつか私が事故で死んだら今日の話思い出して。”
東昇の妻静が言う。
東昇に三人が交渉。
しかし、動機がわからない、と思っていたら、
夏月が説明してくれた。
義父が性暴力して来たので刺したから人殺しだから、
こんな脅迫もするんだ、と。
夏月の家に様子を見に行くと父が帰って来た。
また暴力を振るうのでナイフで脅して逃げる。
静が昇に離婚を切り出しても
冷静に欲のない受け答えをする。
静が事故死。
警察が公表しないが、覚醒剤のオーバードーズ。
不信感を抱く従兄弟の巌。
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途中までは華流ドラマと似ているが、
だんだんと三人が凶悪になって来る。
朝陽の依頼で朝陽抜きで朝陽の父と再婚妻を殺す。
昇も手を貸すし、チャッカリ録画。
昇に協力して貰ったことで昇の義両親のことはチャラ。
お互い様だと最後にピザで乾ぱ〜い、で、
浩と夏月が倒れる。← 私でも予想できた‼️
一人気づき難を逃れた朝陽は、
油断する昇の首にナイフを突き立てる。
自分にも抵抗したかのような傷をつけ被害者を装う。
巌だけが見逃さなかった。
わが子を大事に思う母が夏月からの手紙を見て決意したことは?
ドラマと違い、朝陽がサイコパスなんですが。
大人の東昇の上手をいく残忍さなんですが。
何でこんな後味の悪い作品にしたのか、と思います。
ドラマでは、子供達は誰も殺さないし、
朝陽は父親とは仲良くて慕っているし、
父親は息子朝陽の為に命を落とすし、
東昇は自身から警察に撃たせるし。
ちょっとワルしかけた子供達の話に収まっているのに。
実際、可能かとも思う。
演技だから上手くやっているが、実際できるのか。
してももっとボロが出る筈だし。
朝陽役や夏月役の俳優や岡田将生さんや黒木華さんが、
上手かったけれど。
気味が悪い
やたら丁寧な物言いの中学生。
誰に対しても良い子だし。
それがまず気味悪い。
岡田将生があっさり子供達の脅しに屈するのがなぁ…残念。
もっと策があるのかと。
夫婦間が冷え切った理由がよくわからない。
最後母親にまで刃物を向けるのが意外だった。
手紙のおかげで悪事がバレたわけだけど、手紙がなければ死人に口なし。
朝陽が悲劇のヒーローを演じ切っていたわけか。
あそこまで人を簡単に殺すようになった経緯もわからない。
よく練られたサイコサスペンス
サイコの2人の駆け引きが、面白かった。
抜けてるように見せるのも、計算ずくで伏線回収されてる。
最後、14歳の、母親への心の甘さがでてしまったところも良い。
一言で言えば、ウエルメイドな「火サス」という感じ
中国のドラマのリメイクで、制作にも中国資本も加わっているよう。
金子修介監督作品と知って見に行った。
いわゆるクライムサスペンスで、一言で言えば、ウエルメイドな「火サス」という感じ。
出てくる役者は子役も含め上手いし。適材適所だし、金子修介の安定した緻密な演出も楽しめた。カット割がさすがで、とても滑らか。久々にまともな映画を見たような印象。
ただ、前記したようにとてもよく出来た「火曜サスペンス」という感じ。
なんていうか、映画的な広がりに欠ける気がする。悪い訳ではないけど。
それと、あのマーラーが音楽に使われている。「ベニスに死す」の。この音楽が効果的に使われていた。
前半はいいが
前半はいいが、後半の展開が強引というか・・・
一番肝心な少年が如何にして怪物になったかの描写がないので
全く物語の展開に説得力がない
肝になる殺人シーンの演出力がちょっと・・・
軽く重厚感が全然感じられない
最後の展開もバレバレ。普通出された飲み物飲むか??
主人公だけ飲んでないのも予想がついた
死体を掘り起こした訳を
「どうしてもお父さんの顔を見たくて・・・」
そんな言い訳で納得できるか!(苦笑)
そんな事で死体を掘り起こす奴いないだろ(笑)
最後の落ちが手紙に全部書いてあるという
夢落ちのようなよくあるやつ
女の子も分かっててやったなんて、いくら好きだからって
それはちょっと・・・説得力に欠けるなぁと
作品の話は重いのに、画面に重厚感があまり感じられず
最後まで緊張感が持続出来なかった
全体的には良く出来てはいるが、惜しい作品
岡田将生は良かった
思っているよりも
ある日撮った映像の一部に写り込んでしまった。それは、殺人をしている姿だった。殺人を犯した犯人を脅して、隠蔽工作を図ろうとお金を譲りにかける。
前半から後半へかけてするりと展開が変わっていく所が見応えがある。
主人公のが弱そうなすかたからは、想像がつかないような悪魔の表情を浮かべる姿が印象的に残っていた。
中国の脚本も捨てがたいくらいに面白い作品でした。それぞれの子役の演技も迫真の迫るものがあって良かったです
賢い人は強い
最後あの少年が母親までも殺そうとするのがびっくりした。サイコパスの思考は分からないから怖い
少年が仲間を裏切るんやろなと思ってたけど、
仲間に犯罪をやらせるのが強制的じゃないのに恋心を利用して動かしているのが怖いしあんなに純粋に自分の事を信じて裏切られても良いと思っている女の子を利用するなんて私には到底出来ない
最後なんの躊躇いも無くその子からの手紙を燃やすのもこの人には人の心が無いんだなと
こんな人だから成功するんだなと思った。
私もこんなに人の気持ちを考えない人間になりたい
生きてるの楽そう
賢い人は周りに協力させる力があるからやはり強い
面白かった
Amazonプライムで観た
子供と大人
子供、大人、虐待、相続、進学、復讐、恋愛。
いろんなものが絡み合っている。
皆、愛し合って、憎み合って、裏切り合って、殺し合う。
観てて、どこか爽快感もあり、悲しい物語。
せめて子供たちの恋だけは本物であってほしかった。
僕にとってはつらいストーリーだ。
良い子は真似しない様に。無理だから。
あえて、共感させていただきます。
脚本!?
何なんだこの脚本!
ぶっ壊れすぎ。
何故?完全犯罪ぽく見えるか?
それは脚本、若しくは原作がぶっ壊れているから。こんな話で緊張感を持続させるべきでは無い。
火曜日なんて程遠い「日曜サスペンス劇場」まだ、55分。
民事不介入!?
この話の展開は『地獄の黙示録』
複雑怪奇!
魑魅魍魎!
トラウマになりそうなイカれた話だ。
マーラーの5番はなかろう!
あり得ない。逆転劇。何となく結末は分かった。
犯罪に動機が無い。だから、完全犯罪が成立する。
ガメラが日本演劇界を焦土に焼き尽くす。
終わった。見なけりゃ良かった。
あの「原⭕️アイドル」か!なるほど。
仮面の下…
朝陽が全て仕組んでいるのは分かってはいたが羊の皮を被った狼とは当にこのこと。あまりにも爽やかな好青年でギャップが恐ろしい。全てを分かっていた夏月の気持ちが可哀想でならない。しかし、東昇にしても少年少女達にしても人を簡単に殺し過ぎて、無感情。敢えて過剰な演出をしていないのが逆に恐ろしい。
ちょっと出来すぎ、、?
原作中国だからなのか、とにかく子供の描写に違和感がある、がいちばんの感想。
主人公の子供はギフテッドだったわけで、あの両親から?????あの家庭環境からああなるの??中学生ってあんなにほったらかしで平気なの?日本はそうじゃないよ?というのが単純な感想。デスノートのキラみたいに少しだけでもいいから「本当にテストがずっとずば抜けて1位だった」「同級生から異質だと思われていた」みたいな描写が欲しかったな。トロフィーとか問題解いちゃうシーンあったけど、何かの作戦かと思ったししっくりこなかった。
あと、なつきちゃん達は行方不明者として探されていないのか、せめて母親は届け出すでしょ、、よく分からん。。
最後の手紙やら電話やらもまーよく全部詳しく説明するな〜としらけちゃった。
話の展開やテンポはすごく良いんだけど、なんとなくあれ?上手く出来すぎてない?が多すぎた気がする。
岡田将生がオジサン・・・・
原作未読
二転三転する欺し合い。日記までは想像出来たけど、最後の手紙は想像して無かったな。
と言うのも、手紙着くの遅くね?等、細かい部分は色々とツッコミ有るんだけど、まぁ面白かったかな。
しかし、あの抜け目ない朝陽が14歳の誕生日まで行動しないのは?
岡田将生が、中学生からとは言え「オジサン」呼びされる時代になったかぁ。
その深い闇夜は明けるのか…?
ほとんどどういう内容なのか知らずに鑑賞。
監督が金子修介で岡田将生主演のサスペンスってくらい。基が中国の小説(中国ではTVドラマ化も)なのも知らなかった。
金子監督の作品は『ガメラ』や『デスノート』以来見ておらず。規模もジャンルも様々な作品を手掛け、海外の映画祭に出品されたり評価もされていたようだが。
本作は何となく鑑賞。
これが面白かった!
多少陳腐な演出や演技もあるが、金子監督の手堅いエンタメ職人手腕が冴える。
沖縄に舞台を映して翻案映画化。青い海や空の下で描かれるのは、ハラハラドキドキやスリリングどころではない戦慄の人間模様であった…。
見る直前に簡単にあらすじに目を通したので戸惑う事なく作品世界に入っていけたが、全く何も知らずに見たら最初は何が起こったかと思うだろう。
崖の上で殺人を犯す男。場面が変わり、沖縄で暮らす3人の少年少女。
何の関わりが…? 何故その道を選んでしまったのかと胸重くなるほど、関わってしまうのだ…。
東昇は義理の両親と夫妻の思い出の場所である崖の上を訪れる。記念撮影のフリして夫妻を突き落とす。通報もし、不運な事故とされる。
昇の目的は…?
義父は沖縄随一の大企業の会長。婿養子である昇の目的は容易に予想付く。
完璧な完全犯罪と思われたが…。
母親・香と貧しい二人暮らしの朝陽。
クラスで同級生の自殺があったばかり。自殺した少女・アキは朝陽の父とアキの母親の再婚で血の繋がりの無い兄妹でもあった。
ある日、以前近所に住んでいた浩と再会。夏月という血の繋がりの無い妹を連れて。浩の父親と夏月の母親が再婚。
二人の様子がおかしい。夏月が浩の父親から性的暴行を受けており、堪えられなくなってナイフで刺し、逃げてきたのだ。
ニュースになってはいなかったが、二人は施設に入る事を決める。3人は思い出作り。
夏月は今も慕う実の父宛に浜辺で写真撮影。朝陽はうっかり動画に。
それに映っていたのは…
ニュースを騒がしている大企業会長夫妻の転落死。
が、動画をよくよく見ると…
何者かが夫妻を崖から突き落とす決定的瞬間が…。
ニュースなどでその場に一緒にいたのが昇であると知る。この男が犯人。
警察に言えば良かったのに、3人はしなかった。この時もししていたら…。
朝陽がある案を思い付く。それは…
3人は昇に接触。6000万円を要求する。
昇は両親の転落死に不審を抱く妻・静から疑惑…いや、確信を持たれていた。両親を事故に見せ掛けて殺したのは夫だと。
離婚の切り出しや静の不倫で夫婦仲は最悪。
静は従兄弟で刑事の厳に訴えるが、信じて貰えない。もし私に何かあったらきっとあいつに…。
その言葉通りになった。不倫相手と同乗中に事故死。原因は覚醒剤。
続く不審死に厳は担当外ながらも独自に捜査。
この事件を知り、再び3人は昇に接触。
朝陽の新たな要求は衝撃的なものだった…。
殺人の決定的証拠を握られ、3人の子供に脅迫される大人。
妻や刑事にも疑われ…。
窮地に陥る男と一緒になって見る側もハラハラドキドキ…に非ず。
開幕シーンからも分かる通り、昇はサイコパス。
柔和そうな表向きと悲劇の婿養子/夫で世間の同情誘うが、人を殺すのに何の躊躇いもない。
冷静沈着さ、時折見せる冷酷さ、イカレっぷりにヒヤリ。
そんなヤベー大人を相手にして、3人こそ窮地…に非ず。3人も強か。
平凡そうな朝陽、いたいけそうな夏月、カツアゲや常にポケットナイフを持ち歩いている不良の浩…のように一見思えるが、
浩が一番ビビリ。夏月は度胸あり。そして朝陽は…
昇に引けを取らないほど冷静沈着。数学コンテストで優勝するほど優秀で、昇と対する際も策や案を巡らし用意周到。頭脳派であり交渉役でありリーダー格でもある。
昇と朝陽の対峙は緊迫感溢れる。
ただの大人vs子供じゃない。サイコパスvs天才少年の駆け引き。
相手の一歩先を行き、出し抜こうとする頭脳戦・心理戦は『デスノート』を彷彿。
あちらのスリリングなエンタメ風よりもっと人間の暗部を浮き彫りに。金子監督の手腕は衰えず。
岡田将生と羽村仁成の演技バトルは必見。
岡田将生のサイコっぷりは勿論だが、羽村仁成クンが特筆。
何処かで見た事ある…と思ったら、『リボルバー・リリー』の少年か。本作でも巧みな演技を見せ、将来有望!
平凡そうに見えて、内に秘めた凄みと…。それはさらに露になっていく。
朝陽は昇が妻も事故に見せ掛けて殺したと確信。
どういう風に殺したか執拗に聞く。
最初は否定していた昇だったが、遂に認める。朝陽には見破られてしまったが、完全犯罪を話したい昇は自分から得意気に。
義理の両親と妻の殺しの真相を握った朝陽は要求を変更。
お金は要らない。その代わり、人を殺して欲しい。
これにはさすがの昇も言葉を失う。お前、何なんだ…?
朝陽の意志は変わらない。主導権を握っているのはこっち。拒めば証拠も揃って警察へ。引き受けてくれたらこれっきりにする。
渋々引き受ける昇。
朝陽が殺して欲しい相手は、自分の父と再婚相手だった…。
母親思いの朝陽にとって、裏切った父親と再婚相手は許せない。
昇の脅迫には乗った夏月と浩だったが、異を唱える。
特に夏月は訴える。お父さんだよ!
実の父を慕う夏月にとって、血の繋がりある肉親を殺す事は…。
夏月とは事情が違う。夏月にとっては実の父はいつまでも父親だが、朝陽にとっては憎い赤の他人。
夏月たちは関わらなくていい。自分一人でやる。
が、夏月は協力を申し出る。朝陽は私たちの為に脅迫など危険な事をしてくれた。今度は私が朝陽の為にする。
キラキラ初々しさなど微塵も無く、闇深い青春の中でも、二人の若者は惹かれ合っていた…。
朝陽に疑いが掛からぬよう、朝陽はいつも通り学校に行きアリバイ作り。昇と夏月と浩で決行。
朝陽の父と再婚相手は亡き娘アキの命日に墓参り。偶然を装って接触。
火を貸してくれたお礼にと、食べ物をお裾分け。毒が含まれており、食べた朝陽の父と再婚相手は死亡。
その遺体を昇が掘った穴に。完璧に遺棄し、誰にも知られる事なくまたまた完全犯罪をやり遂げたに見えたが…。
犬が土を掘り起こし、遺体の一部が…。
昇は完璧に埋めた筈だが、嘘を付きわざと見つかるようにしたのか…?
これで謎の事故や事件で亡くなったのは5人。
東夫妻とその娘。中心にいるのは昇。
新たに2人。一見何の関わりもないように思えたが…、
相関図に並べた時、厳はある事に気付く。
以前昇のマンションを訪れた時、厳はそこで朝陽と会っていた。
何か関係ある。朝陽の周囲でも不審な事件が続いており、厳は朝陽についても調べ始める。
香は自慢の息子だと言うが、別の意見も。死んだ再婚相手は常々言っていた。娘は自殺じゃなく、朝陽に殺された、と…。
昇か朝陽か、巻き込まれたのか計画通りか、真相は…?
徐々に真相と確信に近付いていく厳。
その頃昇と朝陽らは昇のマンションで…
朝陽の父と再婚相手の殺しの瞬間を、昇は隠し撮り。互いの弱みを握り、対等に。
それぞれの証拠を隠滅。全ての終わりとこれっきり、朝陽の誕生日(13歳から14歳に)も祝ってささやかなパーティー。
突然朝陽たちが苦しみ出す。昇が用意した飲食の中に毒が…。
証拠も消し、真相を知る者も葬り、勝利に高笑う昇だったが…。
これがもし実際にあった事件だったら、人の暗部や愛憎複雑に絡む衝撃的過ぎる事件だったろう。
フィクションで良かった…。それでもこの鬱サスペンス。
中国の小説が基だが、スティーヴン・キング原作の『ゴールデンボーイ』にも似ている。大人の秘密の弱みを握り脅す少年だが、その危険な駆け引き。タイトルも似てるし。
フィクションと言ったが、沖縄で実際に似たような転落死事件もあったという。
不謹慎な言い方かもしれないが、ただの事故であった事を祈る。もし何か闇深い真相あったら、人間不審が募る…。
目の話せないサスペンスと展開。刹那的な青春も滲ませる。人間ドラマとしても見応えあり。
ダークな映像。クラシックの引用やオリジナルスコアなど音楽も聞きもの。沖縄文化や風習もさりげなく。
アンサンブルも充実。岡田将生と羽村仁成が圧巻だが、星乃あんな、黒木華、江口洋介の存在も大きくなってくる。
一命を取り留めた朝陽。昇の企みに気付き、毒を吐き出していた。
勝利に高笑う昇の首を刃物で刺す。
昇が逆転したかに思えて、再び朝陽が逆転。…いや、端から朝陽が全て仕組んでいたのだ。
朝陽の目的は父と再婚相手の殺害。夏月と浩と再会した時から、あの動画を映した時から。
夏月と浩に罪を被せ、昇をも利用。すぐに警察にバレるよう土を掘り起こしたのも朝陽。
朝陽の計画はこれだけじゃない。アキの自殺。母親の訴え通り自殺じゃなく、朝陽が本当に殺したのだ。
アキに想いを寄せていた朝陽だったが、フラれ逆上し、殺害。
その快感を知り、また殺人を画策。
サイコパスの昇を上回っていたのは、サイコパスの少年・朝陽だった…。
この場も昇に罪を着せ、自傷し擬装。
厳の疑いの目をかわし、再び穏やかな生活に戻ったかに思えたが…。
夏月が生前に出した手紙。香がそれを読んでしまう。それには…
事の顛末が全て。朝陽が黒幕である事、それを知りつつも朝陽に加担した事。朝陽が自分たちに罪を着せようとした事も知っていた。それでも朝陽に加担。何故…?
朝陽とだったら、例えその青春が地獄でも何処までも一緒に行く。
やがて死ぬ事になる破滅への道でも、夏月にとっては一生の青春と一途な想いであった。
息子の本性を知り、香はショックを…。
朝陽はそんな母親すら口封じしようとするが、香は命乞い。殺されるなら、せめて母子の幸せを過ごしてから…。
殺害は一旦お預け。外出する朝陽。
そのやり取りを香は、ポケットに隠していたスマホである人物に聞かせていた…。
朝陽の前に立ちはだかった厳。
これがラストシーン。その後は…?
色々考え膨らむ。
14歳となり、罪が立証されれば朝陽には刑事責任が問われる。
罪に問われたのか…?
それともこの天才サイコパス少年はまた言い逃れしたのか…?
朝陽の深い闇夜は続く。まだ明けない。
黄金世代
ズブズブにドス黒い人間犯罪の物語。
性善説なんて無いよねと思わせる裏切りと嘘と殺人の連続。極悪人たちの殺し合い。でもその中心にいるのが13歳の少年少女という恐ろしさ。そこが面白い!
純度100%の後味の悪さはあるけれど観る側も裏切られる展開は緊張感があって飽きない。
それにしても、朝陽がどうしてあそこまで極悪になってしまったのか。そこを描いて欲しかったなぁというのはある。でも分からないからこそ滲み出る不気味さもあるのかな。
少年少女の純朴な恋の萌芽を見せておきながら殺させるという筋書きには原作者の屈折した精神性が見事に反映されているなと思った。
こんな鬼畜の黄金世代が日本に誕生しないことを願うばかり。
2024年は岡田将生イヤー
評判が良いので観てみたいと思っていたのだけど、劇場公開には間に合わず配信にて鑑賞。
殺人鬼・岡田将生の魅力だけではなく、相対する少年・少女たちとの駆け引きが面白い。
善と悪の戦いかと思っていたら、悪と悪の戦いだった!ということの衝撃はかなり前半から察知できるのだが……だとすれば最後はどうなるのか?とどんどん突き進むのがこの映画の凄いところ。
殺意へのハードルが低い「悪」がこんなにも物語を牽引するとは……最後の最後まで油断できない展開がつまっていて満足度は高い。
沖縄という土地自体も、少なからずこの作品の力になっていた気がする。
あと、全編に渡って不気味な黒味をまとった画面が良い!
しかし、2024年は岡田将生イヤーだなぁ
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