ゴールド・ボーイのレビュー・感想・評価
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これはあくまでエンタメ映画、現実になったら絶対ダメな奴
ネタバレになるので、なかなか感想を書きづらいのですが、少しの違和感を持ちながら最後まで鑑賞しました。その違和感の正体をエンドロールで回収。なるほど、中国小説が原作なのか…。中国のベストセラー作家・紫金陳(ズー・ジンチェン)の 「坏小孩」 (悪童たち)が原作とのこと。国民性の違い?と言い切ることができるのかは分かりませんが、日本の映画でここまで少年少女の悪を全面に押し出したクライムサスペンスはなかったのではと思います。
主役は、岡田将生さん?と思いきや、はい、子どもたちです。特に羽村仁成くんのサイコパスな演技は素晴らしかった。というかリアルに怖かった…。あんな化け物を産んでしまった黒木華ちゃんの心中はいかに?です…。同じ年頃の息子を持つ母親なら背筋が一瞬で凍ります。少年少女の犯罪が時に世間を騒がせますが、知りたいのは彼らのココロ。なにが彼らをそこに導いてしまうのか?そこの描き方は少し弱かった気はします。
とはいえ、これはエンタメ映画だからこそ楽しめる作品。いい子のみんなは、こんなこと絶対に考えたらダメ〜〜〜!!!
映画はエンドロールの最後までじっくり、席を立たずにご覧くださいね♪
その美しさで冷血が際立つ、悪人岡田将生の魅力
登場人物の背景やら行動やら、どんどん人が死ぬ流れやらヘビーな要素が多い話だが、沖縄の風景の情緒と岡田将生の神がかった美しさに支えられて楽しめた。
ポスタービジュアルと、朝陽が知能の高い子であるという設定から、夏月と浩も朝陽に踊らされていて、朝陽は昇と悪知恵対決するんだろうというおおまかな流れは序盤で何となくわかった。父親と再婚相手の殺人において朝陽が自らの手を汚さない、というところでそれは確定的になった。
であれば、大人vs子供で大人が勝ってもエンタメ的に面白くないので朝陽が勝つだろうなどと、何とも野暮な視点でつい見てしまったのだが、展開が二転三転するので退屈はしなかった。
岡田将生の冷血漢ぶりが輝いている。魅力的な悪役は物語を引き締めるが、彼の演じた昇は身の毛のよだつような非情さと、つい引き込まれる美しさが共存して何とも蠱惑的だった。脚本の港氏が「岡田さんが女性俳優のように撮られていて見とれた」と言っているが、まさにそんな感じ。
ワルい岡田将生と言えば、古くは「悪人」の最低なプレイボーイ・増尾が印象的だ。また悪役以外でも、「告白」でのちょっと空気の読めない寺田先生、「ドライブ・マイ・カー」では主人公の妻を寝取る高槻など、一癖ある役がはまる。
一方で、コメディをこなす演技の幅広さも彼にはある。だが、無実の家族を装って人を殺しても眉ひとつ動かさない昇のような人間に、演技とビジュアルの両面で説得力を持たせ、なおかつ美しさでも観客を魅了するという個性は、今の邦画界では唯一無二ではないだろうか。私はこちらの岡田将生の方が好きだ。
朝陽の人物造形には、正直違和感を覚える部分もあった。一番ピンと来なかったのは、当初昇にふっかけた6千万円と引き換えに殺人テクニックを教授してもらった上で、再婚相手だけでなく実の父親まで殺したことだ。
娘の死に関して嫌がらせをしてきた再婚相手への殺意はまだわかる。しかし、父親を殺したいほど憎んでいるというのは唐突に見えた。
確かに、黒木華演じる温厚そうな母親が、息子に対して実の父親を悪く言っていたのは多少気にはなったし、母子家庭で寂しい思いや不自由もあっただろう。だが、父親もまるきり朝陽を捨てたわけではなくたまに顔を合わせている風情だったし、恨みはあれどそれが殺人の動機にまでなる経緯がよくわからなかった。
また、ラストで都合が悪くなると躊躇なく母親にナイフを向けたのも、あれっそういうキャラなの?という感じだった。確かに、親友のふりをして同級生を使い捨てる冷たさが朝陽にはあったが、一緒に暮らしてきた母親に対しては葛藤するとか、そういう多面性はないのだろうか。
そういった違和感を、彼はサイコパスだから、という万能フレーズで片付ける解釈には、あまり面白みを感じない。仮に生まれつきのサイコパスだとするなら、観客に対してはもうちょっと一貫した人物描写を見せるべきだろう。朝陽があのような人間になるまでのドラマをもう少し知りたかった。
中国を舞台にした原作は未読だが、もしかしたら原作の方ではそのあたりについての描写がもう少しあるのだろうか。舞台となる国の違いで登場人物の背景が変わり、見え方が違ってくるということもあるのかもしれない。
考え出すと他にもツッコミどころは多いのだが、それが物語の勢いに繋がっている面もあるので、犯行の段取りに関しては細かい粗は許容範囲。
あと、音楽の使い方が大仰なところがあり、ちょいちょい火サスのような安っぽい雰囲気が出てしまっているところが惜しかった。岡田将生に突然叫ばせることでサイコパスっぽさを出す、というのも邦画の悪癖。
とは言え、朝陽たち子供が、一筋縄ではいかなそうな大人の昇と駆け引きを繰り返す様子は、なんだかんだ言ってハラハラさせられた。
子供が大の大人とあそこまで渡り合うことは非現実的だと思いたくもなるが、そうも言っていられない世の中だ。最近、うちの近所でも中学生の美人局に引っかかって追い詰められた大学生が転落死する事件があったし、小学生が同級生から100万円近く騙しとるなんてニュースもあった。
子供は社会の映し鏡なのだ。
ウェルメイドでは収まらないミステリー映画の傑作
金子修介監督作をすべて観ているわけではないのだが、和製ドラキュラ映画の『噛みつきたい』みたいな危なげな企画を面白く仕上げてみせる手練れであり、平成ガメラ三部作や『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』のみごとさもあって、日本屈指の職人監督という印象を持っていた。なので、中国の犯罪小説を翻案した本作も、手堅く面白い映画に仕上がっているはず……なんて予想は、当たっていたと同時に、失礼でもあったと反省している。というのも、「職人監督が作るウェルメイドなジャンル映画」なて枠ではとても括れない、どこかハミ出し感のあるパワフルなシーンが矢継ぎ早に訪れるスリラーだったから。
二転三転する物語なのでネタバレなしに書くのは難しいので具体的な中身について書くことはやめておくが、ほとんどの登場人物の倫理観が当然のように歪んでいるのが実にいい。日本映画というより表現のひとつひとつに情け容赦がない韓国ミステリーの手触りに近いが、それでもなおどこに向かっているのかわからない強烈なオリジナリティがあり、ストーリーも面白いけれど、それよりもひとつひとつのシーンの不穏な空気に惹きつけられる。
人でなしのイケメンを演じさせたら相変わらず天下一品な岡田将生はもちろん、出演者はおしなべて素晴らしい。特に愛情深いが生活苦で余裕がない母親を演じた黒木華は、登場シーンのすべてに張り詰めた緊張感と現実感をもたらしていて、相変わらずの天才っぷりに震えました。
新しい座組で開けた可能性
中国原作でチームジョイが製作に加わっていて、日本のスタッフ・キャストで長編映画を作るという座組は新しいのでとても興味深く観た。座組が変わると新しい可能性も拓けるのだと改めて思う。少年少女が犯罪を目撃して大人から金を脅し取るという内容の、強烈な青春映画なのだが、なかなか日本の会社だけでは企画しづらそうな感じはある。とにかく3人の少年少女の危なそうで純真そうなたたずまいが素晴らしくて、イノセントさと狂気が薄皮一枚の差しかないことを思い知らされる名演技を見せてくれる。
岡田将生はこういう狡猾な男役が本当に上手。脚本の運びも秀逸で全く飽きないで見られる。沖縄を舞台に選んだのも良かったと思う。東京の郊外でも成り立つ話ではあるけど、風光明媚な風景の美しさと人間の狡さのミスマッチがいい。
こういう可能性が開けるなら、どんどんアジアで国際共同製作をやっていくべきだ。国内興行は苦戦気味のようだけど、海外市場でうまいこと活路を見出してほしい。
秀逸な中国発原作と、手練れの脚色、演出。日中の歴史が混ざり合う沖縄を舞台にした点も巧い
題名と概要を最初に見た時、スティーヴン・キングの小説「ゴールデンボーイ」を思い出した。資料によると脚本の港岳彦のアイデアで、キングへの敬意を込めて「ゴールド・ボーイ」としたのだそう。両作品は実際、世代は異なるがそれぞれ“悪の資質”を併せ持つ主要人物たちが邂逅し、年少者が年長者の弱みにつけこんで自らの要求を通していく、という序盤の筋が共通する。
それにしても、嫉妬してしまうくらいによくできた、先の読めないストーリーだ。1986年浙江省(せっこうしょう)生まれの紫金陳(ズー・ジンチェン)が2014年に発表した小説が原作で、2020年にはドラマ化された(現在日本でも複数の配信サービスで視聴可能)。
殺人という行為についての、ある種の突き放した感じというか、ドライなセンスが、日本人の肌感覚とは異なるような気もする。とはいえ、明・清時代の中国の影響が大きかった琉球王国から日本の県になった(さらには戦後の米占領下の時代も経験した)、歴史的・文化的レイヤーが複雑に混ざり合う沖縄を舞台にしたことで、日本人の登場人物たちが関わる物語なのにどこか異国の出来事のような、特別な映画世界が生まれたように感じる。
二枚目俳優にはサイコパスの殺人者がよく似合う。甘いマスクの明るい岡田将生が裏の顔に豹変する瞬間に震撼した。「悪の教典」の伊藤英明、「脳男」の生田斗真に匹敵するイケメンサイコパスではなかろうか。
怪獣映画だけでなく、子役や美少女アイドルの演出でも評価の高い金子修介監督は、羽村仁成、星乃あんな、前出燿志人の自然な演技を引き出しただけでなく、変化していく3人の関係性も効果的に描いてみせた。映画が陰惨にならず爽やかさと切なさを残しているのも、青春物語としての側面が活きているからだろう。特に星乃が演じた夏月の純粋さと、ある場面での震える手に、胸が締めつけられたことがずっと忘れられない。
観終わってストーリーなり出てくる人の心情なりを色々考えさせられるの...
かつあげ
序盤の、金髪の友達が街でかつあげし、そのお金で食事をする場面。
真面目そうな主人公が、かつあげを止めないのに違和感があった。そんな事はなんとも思わなかっただけなんだね。
女の子とのデート場面、何故か泣けた。
主人公は恋心を利用して女の子が自ら「あたしがやる」てなる方向にしむけた。女の子が自分の本心に気付いてもやってくれる、そこまで読んでいたのだろうか?
3人とも素晴らしかった。
完全犯罪
原作やTVドラマは知らないけど、ここまで完全犯罪におけるどんでん返しは初めての体験。東ホールディングス社長夫婦をその婿養子である東昇(岡田将生)が崖から突き落として殺すという犯罪。そして、離婚を迫ってくる妻への殺意もやがて現実のものとなる・・・この筋だけで見ると東昇の完全犯罪について語られるものであるが、実は中学生3人が目撃していたために予期せぬ方向に進む。
そう、前半は倒叙ミステリーぽく扱い、脅迫目的で近づく中学生たちをちょっと応援したくなるような展開なのに、最後には天才中学生・安室朝陽による完全犯罪だったというトリッキーな逆転プロットを構成していたわけだ。
ただ、納得いかない部分も多々あり。上間夏月(星乃あんな)が殺人事件を起こした父親の娘で自分も殺人犯になるに至った心理変化。その義兄にあたる上間浩(前出燿志)の夏月に対する想いとか。さすがに13歳では犯罪に問われないということだけでは説得力に欠ける。まぁ、浩の髪が金髪だったから彼がてっきりゴールドボーイなのだろうと想像していたほど知能の低い自分が言うのも何なのですが・・・
個人的には数学の天才対決というところが面白かったかな。準優勝のトロフィーを部屋に飾っている東昇に対して、「僕はその大会で優勝したよ」と軽口をたたく朝陽。江口洋介もたじたじ。
もう少し注文をつけるならば、警察内でも要職を固めているくらいだから東一族が沖縄の町を牛耳っているシーンがあっても良かったかなぁ~と。覚醒剤使用をもみ消す力もあるんだしね・・・
本当に恐ろしいのは誰か
殺人事件を目撃した少年たちが,犯人を脅してお金を取ろうとするところから始まり,話はどんどん過激にそして恐ろしくなっていく。
一見,悪そうな少年よりこの賢い男の子が壊れていた。
殺人を見られた男もかなりイカれてるけれど,それ以上の怪物が,子供の殻を被って普通に生きていたのだ。
これは最後まで面白かった。
女の子が可愛くて最後まで愛すべきキャラでした。
らしい浅はかさと、らしからぬ狡猾さ
主演の少年にはすっかり騙された。 殺人の証拠をネタに犯人の男を脅迫...
ドラマの方がいい❤️
あらすじを聞いて、以前wowowで放映されていた
華流ドラマ、『バッド•キッズ』のリメイクだとわかった。
最近また放映していた。原作未読。
舞台は沖縄。
シンママと暮らす真面目な少年朝陽と、
変態父親を刺した少女夏月と異母兄浩。
黒木華さん朝陽の母親役だ‼️
三人で海岸で写真の撮りあいをしてたまたま動画で、
絶壁から何か落ちるのを映してしまう。これが冒頭、
東昇が義両親を突き落とすシーンだ。
カメラからその落ちる様子をパソコンで確認する三人。
“あの動画をあの人に売れば1,000万はいけると思う。”
と朝陽が言う。
東昇の妻静、つまり殺された夫婦の娘は、
夫昇を疑い、一族で信頼できる刑事の巌に相談する。
“いつか私が事故で死んだら今日の話思い出して。”
東昇の妻静が言う。
東昇に三人が交渉。
しかし、動機がわからない、と思っていたら、
夏月が説明してくれた。
義父が性暴力して来たので刺したから人殺しだから、
こんな脅迫もするんだ、と。
夏月の家に様子を見に行くと父が帰って来た。
また暴力を振るうのでナイフで脅して逃げる。
静が昇に離婚を切り出しても
冷静に欲のない受け答えをする。
静が事故死。
警察が公表しないが、覚醒剤のオーバードーズ。
不信感を抱く従兄弟の巌。
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途中までは華流ドラマと似ているが、
だんだんと三人が凶悪になって来る。
朝陽の依頼で朝陽抜きで朝陽の父と再婚妻を殺す。
昇も手を貸すし、チャッカリ録画。
昇に協力して貰ったことで昇の義両親のことはチャラ。
お互い様だと最後にピザで乾ぱ〜い、で、
浩と夏月が倒れる。← 私でも予想できた‼️
一人気づき難を逃れた朝陽は、
油断する昇の首にナイフを突き立てる。
自分にも抵抗したかのような傷をつけ被害者を装う。
巌だけが見逃さなかった。
わが子を大事に思う母が夏月からの手紙を見て決意したことは?
ドラマと違い、朝陽がサイコパスなんですが。
大人の東昇の上手をいく残忍さなんですが。
何でこんな後味の悪い作品にしたのか、と思います。
ドラマでは、子供達は誰も殺さないし、
朝陽は父親とは仲良くて慕っているし、
父親は息子朝陽の為に命を落とすし、
東昇は自身から警察に撃たせるし。
ちょっとワルしかけた子供達の話に収まっているのに。
実際、可能かとも思う。
演技だから上手くやっているが、実際できるのか。
してももっとボロが出る筈だし。
朝陽役や夏月役の俳優や岡田将生さんや黒木華さんが、
上手かったけれど。
気味が悪い
やたら丁寧な物言いの中学生。
誰に対しても良い子だし。
それがまず気味悪い。
岡田将生があっさり子供達の脅しに屈するのがなぁ…残念。
もっと策があるのかと。
夫婦間が冷え切った理由がよくわからない。
最後母親にまで刃物を向けるのが意外だった。
手紙のおかげで悪事がバレたわけだけど、手紙がなければ死人に口なし。
朝陽が悲劇のヒーローを演じ切っていたわけか。
あそこまで人を簡単に殺すようになった経緯もわからない。
よく練られたサイコサスペンス
サイコの2人の駆け引きが、面白かった。
抜けてるように見せるのも、計算ずくで伏線回収されてる。
最後、14歳の、母親への心の甘さがでてしまったところも良い。
あらっぽ過ぎてついていかれへん
一言で言えば、ウエルメイドな「火サス」という感じ
中国のドラマのリメイクで、制作にも中国資本も加わっているよう。
金子修介監督作品と知って見に行った。
いわゆるクライムサスペンスで、一言で言えば、ウエルメイドな「火サス」という感じ。
出てくる役者は子役も含め上手いし。適材適所だし、金子修介の安定した緻密な演出も楽しめた。カット割がさすがで、とても滑らか。久々にまともな映画を見たような印象。
ただ、前記したようにとてもよく出来た「火曜サスペンス」という感じ。
なんていうか、映画的な広がりに欠ける気がする。悪い訳ではないけど。
それと、あのマーラーが音楽に使われている。「ベニスに死す」の。この音楽が効果的に使われていた。
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