劇場公開日 2024年4月19日

「クィアな蹉跌の苦悩」異人たち カール@山口三さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5クィアな蹉跌の苦悩

2024年4月27日
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鑑賞方法:映画館

難しい

前触れもなくいきなりゲイの世界が展開され正視できなかった。
中座したいところを山田太一とアンドリュー監督の作品だと言い聞かせ、
伏目しながら聴き耳を立てて鑑賞した。

残念ながら、英国はできないので卑猥な音声がなくなったらスクリーンを目を写しながらの鑑賞なので正確な鑑賞ではないことをお断りしておく。

幼少の頃からゲイと見破られるアダムが、12歳の頃、両親を交通事故で無くしてしまう。
その後は祖母に養育され、40歳となりロンドンの高層マンションに住むが、そこには殆ど住人は居なく近所付き合いもなく過ごしていたある日、6階の住人らしき青年が訪ねてきた。

二人とも髭面の四十過ぎの外人に見えるが、初老と青年と言う大事な設定には見えないのは私だけだろうか?

そんな中、クィアな世界は一瞬で見破られる。
そして、数日後には目を伏せるようなそんな関係となり、アダム大兄さんに幻影が出始める。

そして、生まれ故郷である実家に帰省したら、あのまま残っていて、家に入るとあの頃の両親が、年取ったアダム大兄さんを迎えて、事故以来の生活や一緒に住んでいた頃の話を沢山するのだ。

あの頃の両親と年取ったアダム大兄さんの対話で、
両親の自分へ思いや考え、自分がゲイで虐めにあっていたことや、こんな自分をどう思うか?

案外、両親は知らなかったり、少し気づいていたり、慰めて貰いたかったり、なかなかの本音での対話をしながら妄想の中で三人家族の交流を深めて行く解決案が提示されていたりする。

そうクィアな世界について、
死んだ両親との告解がアダムの好きなクリスマスを通して行われるのだ。

いや、勉強になりました。
この両親との対話は実に良かった。
特に、ゲイをよく思わない母親との対話とこの役者は最高に良かった。

当然のことなのだが、
原因には触れことなく、全ての結果に寛容だった。
何しろ自作自演なのだからだ。

また、この映画は、懺悔であり告解なのだから、生きとし生きるものには慈悲があるのだ。

死んでしまった両親にゲイであることを告白でき理解されたアダムはマンションに帰宅し、
パートナーの青年直ぐにこの喜びを伝えるべく部屋に入ると、
彼にもこの廃墟のような高層マンションでの出来事を告白しなければならない懺悔が待っていたクィアな世界が始まる。

( ̄▽ ̄)

異人たち
劇場公開日:2024年4月19日 105分

日本を代表する名脚本家・山田太一の長編小説「異人たちとの夏」を、「荒野にて」「さざなみ」のアンドリュー・ヘイ監督が映画化。
1988年に日本でも映画化された喪失と癒やしの物語を、現代イギリスに舞台を移してヘイ監督ならではの感性あふれる脚色と演出で描き出す。

12歳の時に交通事故で両親を亡くし、孤独な人生を歩んできた40歳の脚本家アダム。
ロンドンのタワーマンションに住む彼は、両親の思い出をもとにした脚本の執筆に取り組んでいる。

ある日、幼少期を過ごした郊外の家を訪れると、そこには30年前に他界した父と母が当時のままの姿で暮らしていた。
それ以来、アダムは足しげく実家に通っては両親のもとで安らぎの時を過ごし、心が解きほぐされていく。
その一方で、彼は同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちるが……。

「SHERLOCK シャーロック」のアンドリュー・スコットが主人公アダム、
「aftersun アフターサン」のポール・メスカルがハリー、
「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルと「ウーマン・トーキング 私たちの選択」のクレア・フォイがアダムの両親をそれぞれ演じた。

異人たち
劇場公開日:2024年4月19日 105分

カール@山口三