「息の詰まりそうな閉塞感と逃げ場のないやるせなさの現実」若き見知らぬ者たち Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
息の詰まりそうな閉塞感と逃げ場のないやるせなさの現実
なんなのだろう、岸井ゆきのが出ているというだけで、きっとハズレではないと思えるこの安心感は?
という訳で本作を選択。で、岸井ゆきのが出ている以上の知識は特になしに出かけたが、重かった……。
単純な若者の群像劇を期待しているとなかなか理解が追いついて行かないかも知れない。母親の介護というケアラーの物語と、格闘技選手の物語という2本のプロットが縦の糸として並行して描かれながら、それらを繋ぐ横の糸になるのが、日向や大和など身近で手を差し伸べてくれる人々の存在と、本来ならセイフティネットになるはずの政府や公権力の杜撰さと暴力性。これらの縦横の糸によって全体の物語が織られている。
息の詰まりそうな閉塞感と逃げ場のないやるせなさを2時間にわたって体験することになるのだが、これは決して絵空事ではなく、きっとそこいら中に転がっている現実なのであろう。でも、それを他人事として「見知らぬ若者の話」で済ませてしまって良いのであろうか?
そう言えば、まずは自助・共助で、公助は最後とか抜かしていた首相がいたよな、とか急に思い出した。その結果の現在の社会は……。やはり、自分ごととして考える想像力が必要なんだよな。
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