君の忘れ方のレビュー・感想・評価
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引きずる思い出
おいおいおい...お目当てが...。
西野七瀬目当てで行ったのに、速攻ではけていった。悲しい。悲しすぎる。このポスターでこれはずるい。騙されちゃうよ誰でも。坂東龍太カッコイイし演技上手いけど、流石に2時間は絵が持たん...。こういうテーマだからやり方は間違ってないと思うんだけど、もう少し構成や演出で上手いことできたんじゃないかなと思っちゃう。
ただまあ、お涙頂戴展開に持っていてなかったのは好印象。この手の映画にしては珍しく、スムーズな話運びで飽きることは無かった。退屈そうな映画だけど、退屈はしない。絶妙なバランス。なんか不思議。
大切な人を失った人たちのお話。
メインの男3人。三者三様、それぞれ先立たれた彼女や妻に対してどんな思いを抱いているのか、どんな考えの元生きているのか。この辺の人物背景がものすごくよく描けていて、意外にもちょっと感動しちゃう。死に向き合いながら生きることの難しさ。もしも...と考えるだけで結構苦しくなる。
特に岡田義徳演じる池内という人物がすごく考えさせられて。死を受け入れず、生きているものとして捉える行為には色んなことを思わせる。幸せに見えるけど、不幸せのようにも見える。彼を見ていると、死をしっかり受け入れている人以上に喪失感で溢れていて、心がぐちゃぐちゃになる。
正解のない問いとはまさにこのこと。
それぞれの価値観や考え方があって、生き方がある。否定したり治そうとしたりして、周りがとやかく言うことでは無い。特に愛する人の「死」を目の当たりにした人に対して無闇に背中を押すような言葉はかけられない。
津田寛治演じる牛丸さんの言葉が心に残っている。森下(坂東龍太)が「天国にいる人は生きている人の悲しんでいる姿を見たくないんじゃないんですか?」という問いに対して、「でももし森下さんがいま亡くなったとして、家族や周りの人が悲しんでいなかったらそれもちょっと悲しくないですか?」と牛丸さんが答える。ほんとそう。悲しむことは決して悪いことでない。彼のこんな言葉こそ、勇気づけられると思った。
映画的な面を話すと、かなり地味で湿っぽい雰囲気だから役者やセリフ以外で印象に残るものは少なく、津田・岡田・南果歩のおかげでかろうじて見ていられるものの、脚本だけで評価するとちょっと薄く微妙だなと。頼りっきりになっちゃっている。幽霊の召還という要素も最初は良かったけど、終盤になるとあんまり意味を成しておらず、少しの会話で消滅しちゃったのが勿体ない。もっとしつこくて良かった。
構成としても割とずっと同じことの繰り返しで、誰かしらと話す→過去に浸る→カレー食べる→現れるの反復作業で飽きはしなくとも見応えは無い。起承転結のバランスが悪いように思えた。
決して酷いとかそういうのではないし、テーマとそのテーマに対する解答は素晴らしかったと思う。なかなか言葉にしにくいことを上手に言葉にしていて、なんだか心が浄化されたような気持ちになれた。
ただ、フワーっとしていて捉えようがないし、テーマの割には重みがなくて心に響きずらく、演出と空気感のミスが作品全体に影響及ぼしてるなと思った。ちょい残念。でも嫌いじゃない。ラストの3人の会話とかめちゃくちゃ良かった。いいシーン多いだけに惜しいね。
たとえ忘れても思い出す
何とも不思議な映画である。
グリーフケアの話なのかと思ったら、恋人を亡くした主人公は、そうした集まりを取材するだけで、自ら参加することはない。
死んだ妻が見えるという男が出てきたり、主人公自身も恋人の姿が見えるようになるのだが、そのまま、オカルト的な話になるのかと思ったら、見えているのは死者の霊ではなく、生きている者の脳内現象であると分かってくる。
おそらく、ここで描かているのは、ベテランのカウンセラーがインタビューの中で語っていたような「死者との関係性」の話なのだろう。
例え幽霊であっても愛する人に会いたいという男の気持ちは分かるし、忘れられないことも、忘れていくことも辛いのであれば、いっそのこと、全て忘れてしまいたいと思う主人公の気持ちも理解できる。
通り魔事件で夫を殺された主人公の母親が、執拗に犯人を探そうとすることも、ある種の死者との向き合い方なのだろう。
「妻の姿が見える自分はおかしいのか?」と尋ねる男に、「出てきてくれるだけで羨ましい」とグリーフケアの担当者が答えるように、「死者との関係性」に正解はないのだろうし、それは、時間の経過とともに変わっていくものでもある。
それが、いつになるのかは分からないし、それこそ、人それぞれなのだろうが、やはり、「普段は忘れていて、時々思い出す」くらいになることが、一つの理想的な関係性であるに違いない。
そんなことを考えさせられた映画ではあったのだが、ただ、それだけだったところには、物足りなさが残った。
岡田義徳さんの独白と津田寛治さんの返しが最高に好きだし肯定って大事だなって教えてくれる作品
ひたすら退屈
森下昴は結婚間近の恋人・柏原美紀を突然の事故で失ってしまった。昴は茫然自失の日々を過ごし、見かねた母・洋子は実家のある飛騨に帰るよう連絡した。洋子も昴が7歳の頃に夫が通り魔により急死し、落ち込んでいたが、久しぶりに会った彼女は元気で、きっかけがあれば立ち直れるのではと思い、グリーフケアの会、つきあかりの会、に参加してみた。しかし、昴はうまく悲しみと向き合えず、池内武彦から、寂しくなった時、亡き人の幽霊を召喚する方法があると言われ、試してみる事にした。そして・・・そんな話。
あまり抑揚もなく、終始暗くて、退屈だった。
美紀役の西野七瀬を楽しみに観に行ったのに、すぐ死んで、幽霊としての出演は有っても全く喋らない。残念だった。
美紀は事故死らしいが、バスで老婆に席を譲った事と関係があったのか不明。すぐに葬儀会場になったし、何だったんだろう?
そして、美紀のお母さんから、美紀の事を忘れないでね、なんて言われ、そんな事を言ったら昴が次に進めなくなるとは思わなかったのか、おかしな事を言うな、と思った。
会えるものなら会いたいけれど
亡くなった人への想いは人それぞれで、絶対的な正解はない。
池内さんはおかしな人に見えるけど、受け入れられずにいても間違っているわけではない、妄想や空想でも。
牛丸さんが池内さんにかけた言葉が印象的。会を主宰してたって、どんなに乗り越えようとしていたって、やっぱりいつまで経っても会いたい気持ちは変わらない。
こういう役どころで津田さんの声は、優しくて心地よい。
全体的にいい内容だとは思うのだけど、お母さんのパートは結局のところ有耶無耶で、中途半端になってしまった感があるので、変にスリラー的にせず違った切り口の方が良かったかなぁ。
音楽がところどころオカルトに寄っていた箇所があったのも少々残念。
珍しく全話観たドラマが『ライオンの隠れ家』だったので、みっくんと小野寺さんがフツーに喋っていたのが、なんだか不思議。
亡くした人への向かいあい方
君の忘れ方、というよりは、亡くした人とどう向かいあうのか?が
ストーリーの骨格ですね。これがメッセージだと思いました。
亡くした人の霊っぽい表現があるのですが、
劇中、主人公昴(坂東龍汰)が「見えているフリ」と言い放つシーンがある通り
たぶん霊はいないと思うんですね。
そういうことではなく、自分の脳裏に焼きついている婚約者美紀(西野七瀬)の
姿の想像だと私は捉えました。
でもまあ何とも言えません。こればっかりは。
ただ、そこが大事なのではなくて、亡くした人とどう向かいあうのか?が
メッセージなんですよね。
昴の母(南果歩)も亡くした夫と向かいあうし、
昴が関わった人たち、みんなそう。
どうやって前に進んでいくのか、
前に進めない池内(岡田義徳)をその象徴的な存在として、
池内も前を向くことで昴も母も前を向いていく。
亡くした人を自分の体に取り込んでいく、自分の一部にしていく、
そういうメッセージでしたね。
本作で特筆すべきは、坂東龍汰の演技です。
ほぼ出ずっぱりだったんじゃないでしょうか。そのくらいの演技量ですし、実に自然。
それから南果歩の母親は盤石の演技で、本当の母子かのような雰囲気を出していたのは
すごいなと思った次第です。
西野七瀬はほぼセリフがなく、ちょっと寂しかったですが、役柄的に致し方ないですね。
劇伴がですね、ちょっとおどろおどろしいんですよね。そういう映画ではないのに。
ここはミスマッチに感じました。エンディングの坂本美雨の歌唱は良かったです。
せっかくの設定を活かしきれていない
断捨離
事故で婚約者を亡くした男が、グリーフケアを知り前を向いていく話。
東京でメディアの仕事に携わる青年が、結婚式の準備をしている段階の婚約者をバスの事故で突然亡くし、心を無くしたかの様な状態になる中、心配する母親に導かれ飛騨高山の実家に帰って巻き起こっていくストーリー。
幼い頃に通り魔に父親を殺され、母親も心を無くしゴミ屋敷で暮らしていたという話しだったけれど、家に帰ってみるとお片付け中?
そんな流れは良かったけれど、グリーフケアを通じて知り合った「フリ」の男とかなんだかね…実際にもこういう人たちは一定数いるんだろうけれど、この手の話しに持ち込んだ上にそういう絡め方ですか…。
しっとりした話しだからある程度は仕方ないけれど、回りくどくてテンポも悪く感じてしまったし、強メンタルな上にオカルトを信じない自分には合わなかった。
西野七瀬は少ししか観られない
【”見えなくても、近くにいてね。”今作は愛する人を亡くした男の生き様を描いた喪失と再生の物語である。名脇役津田寛治、岡田義徳、南果歩が脇をガッチリ固め、派手さはないが見応えある小品だと思います。】
■昴(坂東龍汰)は、結婚間際に恋人のミキ(西野七瀬)を事故で失う。平静を保っているが、仕事である雑誌のインタビューでも失礼な言動をしてしまい、一時郷里の飛騨に帰郷する。だが、そこにも愛する人を通り魔事件で失った母(南果歩)を始め、喪失感を抱える人達が生きて居た。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、映画の王道である”喪失からの再生”をテーマにしているが、哀しみを抱える夫々の人々の喪失のシーンは描かれない。敢えての演出だろうと思う。巧いと思う。
・昴はミキに教えて貰った日本酒を少し隠し味として入れたカレーを頻繁に作る。彼なりのミキへの想いが伺えるシーンである。
■飛騨にも、母を始め、妻を事故で失ったイケウチ(岡田義徳)やグリーフケアの会を開く温和な男(津田寛治)が住んでいる。
イケウチは、妻が傍にいるフリをして生きており、温和な男は自分と同じように心に傷を抱える人達のために、グリーフケアをしている。
ここで、見えるのは夫々の喪失を抱えた人たちの描き方であろう。特にイケウチの姿は痛々しいが、彼の妻に対する深い愛が伺えるのである。それは、温和な男もそうである。
・母が自分の家に、便利屋吉田&牧田(円井わん&小久保寿人)を呼んで、夫が亡くなってから溜まっていた荷物を片付けて貰っている理由が分かるシーンは哀しいが、母が牧田が持病の喘息を拗らせた時に注射を打つ振りをし男を病院に運ぶ車内で昴が”それでいいのか!”と言った際に、母は憑き物が落ちたかのように再生していくのである。
・イケウチも又、昴の問いかけにより、再生の一歩を歩んで行くのである。
<そして、昴も自分の傍に現れたミキを優しく抱きしめた後に、冷蔵庫に入れていたカレーを捨て、再生していくのである。
今作の映画タイトルは「君の忘れ方」であるが、私は時が過ぎれば忘れがちになる大切な人の「思い出し方」を描いた作品であるのではないかなと思ったな。
昴も、ミキの事を想い出すには、”日本酒を少し隠し味として入れたカレー”を作って食べれば良いのではないかな、と思った、派手さはないが佳き小品である。>
今年最初の
てっきり大切な人を亡くし心の傷を抱えながら忘れようとする方法を教え...
自分だったらと考えながら観てしまった
大切な人を亡くす経験は誰しもが避けて通れない。ただ、長期間治療していた病気や老衰といった理由の死と、事故や事件に巻き込まれた死、そして突然の病死は別物と言える。後者は自分も経験がない。結婚を控えていた恋人を事故で亡くした男性が主人公となる本作を観て、自分だったらどうするだろうかと考えてしまった。そんなことを考えた人は多いと思う。
最初に恋人・美紀が亡くなったことがわかるシーンや、亡くなる前のエピソードをほとんど出さない(見せるのは幸せそうな写真だけ)のはとてもさりげないのに切なくさせるいい演出だった。序盤ですでに泣きそうになってしまった。美紀を演じた西野七瀬にほとんどセリフがないことも驚いた。たしかにこれもアリだ。
残された者にしたら、初めの頃は慰めや励ましの言葉をかけられても全く響かないだろうし、そんな他人の心づかいも鬱陶しいと感じるかもしれない。ほっといてくれと。だから主人公の昴の気持ちに共感できる。それでも何かを求めてグリーフケアにたどり着くという流れはいい。孤立するのもよくない。
ただの再生物語ではなく、母親のエピソードを絡めることでエンタメ性が追加された。車内ですばるが母親に放った言葉に感動してしまった。最後は昴が立ち直ったことがハッキリわかるわけではないが、その演出もさりげなくてとてもいい。その方がリアルに感じられた。いい映画だった。
忘れる必要などないですよ
誰しも身近な人を亡くした経験はあると思います。
家族だったり友達だったり、又は今作のように恋人だったり。
自分のことを振り返り、あの時はどうだったのだろうと考えました。
悲しくて悲しくて涙が止まらない時もあったし、悲しくて仕方ないのに涙が出ない時もあった。
悲しみの種類は様々で、悲しみ方もまた人それぞれです。
悲しみの癒やし方も様々で、人の力を借りる事もあれば、そうはせずにずっと引きずる人もいる。
ひとつ思ったことは、忘れる必要は無いし、忘れるはずも無いと言うこと。
津田寛治さん演じたグリーフケアを主催する牛丸さんが言った「上の世界からこっちを見た時にアッケラカンとしてたら寂しいでしょ」
悲しみに暮れて日々過ごすと言うのでは無く、時と共に悲しみは薄れて行くでしょう。
昴が美紀に語りかけた「忘れても思い出すから」。
それでいいと思うのです。
いい映画を見ました
泣けるラブストーリーを期待したが・・・
彼女はどう死ぬのだろうと思ってたら、いきなり葬式に飛ぶパターンだった。彼女とのイチャイチャシーン無し、死んだときの泣き叫ぶシーンも無し。観客に敢えて感情移入させずに客観的立場に置こうという、製作者の意思を強く感じた。はたしてそれがうまくいってるのだろうか?(ただの手抜きではないはず!)
結論として失敗でしょう。ラブストーリーと言うよりサスペンスホラーだわこれ。泣けるラブストーリーを期待して見に行った人は多いと思うけど、肩透かし食らった感じだね。
サスペンスにしても泣かせるにして中途半端。どっちかに偏らせたほうが良かったね。客層を考えると、イチャイチャ多め&死んだときに泣き叫ぶシーンを入れる&思い出回想シーンを多く入れる等、これでもかってぐらい泣かせたほうが良かったかな。
タイトル程切なくない
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