「裸の精神」Ryuichi Sakamoto | Opus ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
裸の精神
全編モノクロで、ひたすら教授がピアノと対峙する姿を、複数のカメラで捉えている。亡くなる前に、NHKで放送した1時間ほどのものは観たが、それに曲数を足して、映画にしたらしい。テレビ版の時は、一曲ごとにタイトルが出たが、映画ではラストにまとめて表示される。
もう死ぬことがわかっているので、まるで遺言のようである。体の衰えを承知で、この状態で出せるものを全て出し切ろうとする。力もないし、スピードもないが、透明で、丁寧に音を置いていくような感じ。なんだか修行僧を見ている気分になった。だいぶ痩せてたし。後ろ姿の、服を着ていてもわかる、肩甲骨の浮き出し。若い頃を知っているだけに、泣けてしまった。特に「戦場のメリー・クリスマス」は、テレビ版でも落涙したが、映画版でまた観ても泣いた。
寂しいです、教授。
BSプレミアムの放送で。
コメントする