Ryuichi Sakamoto | Opusのレビュー・感想・評価
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一音の響き
20曲のいずれも「一音の響き」を大切にした曲。
派手さはない。超絶技巧も要らない。
その分、演者の繊細な感性が求められる。内面が表出する。
一音一音を如何に想いを込めて、音を慈しむように表現できるか。
(ピアノという楽器は人間的で繊細で本当に凄い。こわいほどに。)
教授の楽曲は、教授の演奏は、まさに「滴のような音色」。
ピアノも弦楽器なんだというのを強く感じる。弦の響きが包み込む。
・『Aqua』はその名の通り「滴」だった。熱いものが込み上げる。
・『The Sheltering Sky』のサビ部分の弦の響き。素晴らしい。
・『Tong Poo』では楽しげな口元も。(他の曲だったかも。)
・『MerryChristmas Mr.Lawrence』。空から降ってくるような音。。
途中で演奏を止めて、イメージと合うところを何度も探り出すシーンも。作品に妥協を許さない姿勢。
静寂な空間。座っている姿勢を変えることさえ憚れる。この映画を観に来ている人はその辺良く分かっていて、皆微動だにしない。静寂。 途中、お腹の音が鳴って焦った。(笑
あまりに静寂だからか演奏時のバックに微かに聞こえる「プシュー」という音が気になった。酸素ボンベ?教授の鼻息?館内の空調? いや多分「ペダル音」なんだろうな。
途中からは気にならなくなったけれど。静寂であるがうえの現象か。
教授の刈り上げられた細い後頭部、皺のある長い指先。モノクロであることも相まって死が迫っているのを感じさせる。
エンディングの曲。そうきたかの演出。
ああ、行ってしまった。。
教授のように生命を完全に燃やして生きているか?自問する。
ありがとう。教授。
Less is more. 死を前に教授がたどり着いた境地
そぎ落とすほどに豊か。まるで禅の公案のような一見矛盾した感慨を、「Ryuichi Sakamoto | Opus」の坂本龍一のパフォーマンスを鑑賞して覚える。
本作については当サイトの新作映画評論の枠に寄稿したので、よろしければそちらもご覧いただけるとありがたい。そこで「情報をそぎ落とした純度の高いモノクロ映像だからこそ、観客がそれぞれの記憶を重ねやすく、それが一層豊かな鑑賞体験につながるのだろう」と書いた。音数が少ないから、余韻にじっくり浸ることができる。余白があるからこそ、記憶が色鮮やかによみがえる。そんなふうに言い換えてもいいかもしれない。
演奏が片手になった時に空いているほうの手、あるいは最後の音をひき終えた後の両手を、虚空で優美に動かす仕草。想像上のオーケストラを指揮している弾き振りのようでもあるが、残響に触れているような手つきを見ているうち、空気を揺らすバイブレーションが弱まっていくのを指先で確かめ、コントロールさえするかのように思えてきた。空間を満たす音の粒と、まさに全身で一体化しているようなイメージ。
“教授”の愛称でも親しまれた坂本龍一は、新しい音楽に出会う喜び、演奏に向き合い没入する楽しさ、余韻をいつくしむ優しさを教えてくれた。評には「音楽と映画のファンに遺したラスト・ラブレター」と書いたが、教授からのラスト・レッスンとしても大切に記憶にとどめたい。
音のしずくを体全体で受け止め心を揺らす
坂本龍一が音響監修を務めた109シネマズプレミアム新宿で行われた試写会にて、本作に触れた。一年前に亡くなった坂本龍一がこのモノクロームの映像の中で確かに息づいている。映し出される彼の後ろ姿。鍵盤を押さえる指の動き。すっと息を吸って表現へと昇華させていく表情。本作に刻まれるのはピアノ一台を使った演奏シーンのみだ。インタビューや経歴紹介などのドキュメンタリー要素もない。セットリストには私が中学生の頃から何百回と聴き続けた楽曲も並ぶが、これほど体全体で一音一音を受け止め、荘厳に広がりゆく音色に心を揺らした経験は初めて。指先から繊細に生まれる音のしずくが、身と心をゆっくりと満たしていくのを感じた。観客のいないスタジオで収録されたコンサートゆえ、そこには拍手などの要素も一切ない。それゆえ教授の演奏が映画館の客席の私たち一人一人に深く親密に語りかけているように思えるのだ。これほど貴重な贈りものはない。
渾身の演奏を、最高の音響で
レビューが遅れましたが、今年の夏、東京•新宿の109シネマズプレミアム新宿で鑑賞しました。こちらの映画館は、最高の音響を備えた映画館を作ろうと、坂本龍一さんご自身が関わって建てられたそうです。
※半年近く経って今ごろレビューする個人的事情ですが、この2ヶ月間に2回、立て続けにすさまじい風邪をひいたたため、寝たり起きたりが続いて映画館に行くどころではなく、、、この間にレビューしていなかった作品のレビューを書いたり、未見のDVDでも見たりしようかな、と考えました。
この作品を鑑賞したきっかけは、昨年、故 坂本龍一さんに関するドキュメンタリー番組をテレビで観て、最近の坂本龍一さんの音楽活動に関心を持ったことでした。中学時代の友人がファンであったこともあり、戦場のメリークリスマスやラストエンペラーのテーマ曲くらいは知っていましたが、自分の中では長らく遠い存在でした。
作品中、坂本さんは、時には演奏の合間に休みを入れなければならない程すでにご体調が悪い状態でしたが、ピアノと一体となってモノクロの空間に向かって放つ音は深く重厚で、素晴らしかったです。まさに渾身の演奏でした。
途中、YMOの「東風」を弾かれたところがあったように記憶しているのですが、多分メロディーのせいかな、とは思うのですが、一心に弾かれる坂本さんの姿が一瞬、一生懸命にハノンの練習曲を弾いている少年のように見えて、ふとどきながらその時だけは坂本さんの病いが重いことを忘れて(また巨匠と言われるような方に対して、その表現は失礼かなとは思いますが)、少し口元が緩んでしまいました。日常生活の中で、男性の中に少年の純粋さを見てハッとすることがたまにありますが、そういう瞬間でした。
演奏•収録する場所は、坂本さんたっての希望で、NHKの509スタジオとなったそうです。最高のスタジオで収録された音を、最高の音響の映画館で聴いた訳ですが、その音は、外国の石造りの教会で聴く音のように澄んで、奥行きがありました。
観客全員が、物音一つたてずに静まり返って聴き入った映画でした(こういう鑑賞の仕方は、なかなか珍しいです。素晴らしい体験でしたが、実際には自分が何か物音をたててしまわないか、めちゃくちゃ緊張しました(^^;) )。
これからも、「この作品こそは音にこだわりたい」という映像作品がこの映画館で上映されて、坂本さんのご遺志が受け継がれてゆくとよいな、と思います。
個人的には、映画作品にこだわらず、様々なジャンルの音楽の映像作品を上映してもらえたら、すごく嬉しいですね。
ロックでもジャズでもコンサートのライブ映像とか、、、クラシックだったら、今は亡き名ピアニスト、ルービンシュタインのモノクロでのコンサート映像など、ぜひ聴いてみたいです。
今ネットで見たら、この作品は12月現在、まだこちらの映画館で上映されているようです。
そろそろ風邪も病み上げて来たので、また坂本さんの澄んだ音に触れに、もう一度見に行くのもいいな、と考え中です。
至福の午睡
歌舞伎町タワーで拝聴することができた
坂本龍一氏が音響監修し、冒頭の紹介画面で日本一の音響ですと紹介されていた。そこで本作品を聴くことができたのは幸運。東風、シェルタリングスカイ、ラストエンペラー、戦場のメリークリスマスのおなじみの楽曲が特に心に響いた。劇場はお高いのと公開佐連ていてかなりたっていることもあり、数名しかいない贅沢。当方は最近ユーチューブでこのフィルムを知り、劇場検索したらここしかなく、フィーにビビったが、フィルムコンサートに最も適した劇場で、しかも坂本氏監修の劇場ということで思い出に残った。
半端ない臨場感
教授プロデュースの歌舞伎町タワーで鑑賞
結果的に国内最高級の音響で見られて本当に良かった
映画ながらほぼPVみたいなものなのであれだがセリフなんてなく出てきた言葉は教授が二言三言業務的なことを言うだけ
その他は淡々とピアノを引く教授が映るだけ
最初から定期的にトスートスーという音があってなんだこれ?と思ってたらペダルを踏んだり戻したりしてる音
こんなのライブなら気づくはずもないぐらいの異常な至近距離で音を拾っていたということ
いかに静謐な空間でピアノの音を拾い上げたかということ
教授が死期を悟ってのこの作品だったと言われているが痩せて小さくなってしまっていて教授の手や指がこんなに枯れ枝のようだったろうか
モノクロなのと光の加減でさらにそれが強調された
改めて哀悼の意を捧げます
ビール、貸し切り。左斜め
坂本龍一ファン向け
22年9月、亡くなる約半年前に東京のNHK509スタジオで坂本龍一のソロコンサートが行われ、映像におさまった。闘病生活を続けていた坂本がヤマハのグランドピアノだけで演奏し、代表作のMerry Christmas Mr. Lawrence、YMO時代のTong Pooなど、自ら選曲した20曲で構成されたモノクロ映像の作品。
ピアノの白鍵と黒鍵、坂本の白い髪と黒い衣装、ピアノの黒と照明の白、など、水墨画のような白と黒の映像美に惹かれた。
手を見るとシワが多く、病気の影響でやつれてるのは明白。
それも有ってか、比較的スローな曲が多かった気がする。
よって、ファンじゃなかったら、暗くてスローな曲が多く退屈だったかもしれない。自分はそう感じた。
本作は、坂本龍一ファン向けだと思った。
お別れ
YMOの頃から
教授が大好きだ
教授のピアノ曲も大好きだ
音の重なりに感動する
和音の進行から
空間に空気感が生まれるのを感じる
耳に残る
メロディーも大好きだ
亡くなったときは
すごくショックだった
この映画は
お別れの会の一つなんだと思う
エンドで
演奏していたはずの
教授がいなくなり
自動演奏のピアノが演奏を続ける
さみしい
でも,音楽や
そこから生まれる空気感は
残っているのだなと思えた
芸術は長し、人生は短し
僕が坂本龍一の音楽に触れたのはもうだいぶ昔になる。
イエローマジックオーケストラ
衝撃的だった
当時から歌謡曲などには興味が持てず洋楽中心に聞いてきたが彼らの音楽はそのどれにも当てはまらなくとても新しい音楽が始まったとワクワクそして楽しみになった事を覚えている。
それから坂本龍一の音楽を聴き続けてきた。
そして去年、先に高橋幸宏さんが亡くなった。とてもショックだった。そして続いて坂本龍一さんの逝去の報を聞きああ僕の一つの時代が終わってしまったと思った。
そしてこの映画の公開。
雨の日に銀座で鑑賞。
涙が自然と流れ落ちてくる
神は神がいればの話だが全ての命に平等に死が訪れる
才能あふれるアーティストにも名も知らぬ人たちにも
彼は死ぬ間際まで音楽と向き合い死と向き合い最後まで生きて死んで行った
演奏中も何度も間違えてその都度引き直して
その姿は悲しくそして美しかった
「芸術は長し、人生は短し」
人が死ぬという事はいろんな事が起きる
残されたものは戸惑うし悲しみだけでなく怒りや疑問まで生まれてくる
死はいつも隣にあって気づかないうちにそばまで来てる
改めて死を意識したがその死の恐怖や葛藤を前に心が澄んでいく教授の音楽に対する思い。
もちろん無念な気持ちもあるだろう。
その本当の心は誰にも推しはかることは出来ない
でもここに、この映像の中に教授は生きていて見る者に色んな思いを伝えてくれる。
それは音楽だけでなく見る者それぞれの人生を鏡のように写してくれる
自分はどんな最後を迎えるのか。
答えはわからないがこの映画を通じて生きることと死ぬことを改めて考えさせられた
教授に感謝
YAMAHAグランドピアノで語りかける
昨年の追悼上映作品からずっと追いかけてきた 多分これが最後の作品
モノクロでライトが月光みたいで神秘的なソロコンサート ほぼ教授の演奏のみ
首の線が凄く細いのでかなり病状悪かったのではなかろうかと思ったけどピアノを前にするといつも通りの眼光に
教授の作品はピアノの高音メロディが美しくて魅了と思っていたが、低音の伴奏多いので意外だった
しかし海外の映画監督からご指名って改めて凄いことだなと聴きながら思った
亡くなったのは残念で仕方がないけれどもこうして映像や作品が残っていくのはやはり天才故である
静謐(せいひつ)な音楽
となりで泣いているおじさんがいた。
私自身も、「Aqua」「Merry Christmas,Mr.Lawrence」を聞きながら、もう坂本さんはいないんだよな、と考えてしまった。
あと、前日はしっかり睡眠をとっておきましょう。
-Set List-
Lack of Love
BB
Andata
Solitude
for Johann
Aubade 2020
Ichimei - small happiness
Mizu no Naka no Bagatelle
Bibo no Aozora
Aqua
Tong Poo
The Wuthering Heights
20220302 - sarabande
The Sheltering Sky
20180219(w/prepared piano)
The Last Emperor
Trioon
Happy End
Merry Christmas Mr. Lawrence
Opus - ending
素晴らしき映音美
教授、ありがとう
音楽って素晴らしい物である。
残してくれて、ありがとう。
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