私がやりましたのレビュー・感想・評価
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新聞に載っちゃうよ
TOHOシネマズシャンテでフランス映画「私がやりました」を。
1935年を舞台にしたコメディ!想像のパートをモノクロにしたり、真犯人が後から現れてバタバタしたり、ひねりが効いていてなかなか面白かった。現代なら弾道検査で犯行に使われた銃かどうかはすぐ判るもんね。
内容はネタバレになるから控えるが、このヒゲオヤジは見たコトがあるよなと思っていたら「パリタクシー」のドライバーだったダニー・ブーンで、主演女優は「悪なき殺人」のナディアでした。年を取ったせいか最近の仏俳優(フランスだけではない)の名前と顔が覚えられない。覚えられないだけではなく、昔の俳優の名前が出て来ないのは困ったもんだ。
クレジットでアメグラ風に出演者たちのその後が新聞で出る。文字でこうなりましたと出るのはよくあるが、新聞記事なのが面白い。
余談だが、フランス映画なのに字幕が松浦美奈だったのにビックリ。フランス語もやるんだ!
倫理観の違い?
おしゃれでユーモアがある。
女たちのたくましさも痛快でした。
セクハラを逆手にとって、のしあがるとは大したものです。
殺人をかえせという往年の女優が出てくるのは意外な展開で、その濃いキャラクターも面白かったです。
女優さんたちは皆美しく、迫力もありました。ただ、一応ろくでなしとはいえ人が殺されたのに、それをネタにみんながハッピーエンドになるという展開にいまいちのりきれませんでした。
フランス映画のコメディって、うーん、これ笑っていいのか?というモードになる時がありますが、このときもそうでした。
面白いけど、倫理観がちょっと違うのか、手放しで笑えなかったです。
金を払わないのに憎めないやつ
えらく昔の映画を観た感じ
女性の人権問題が根幹にある物語は手放しに好評しづらい
大好きな評論家が年間ベストに挙げていたため観賞しました。
バービーでも同じ様な感想を持ちましたが男性が無自覚に行っている女性軽視、役割の押し付けなどがギャグになっているので男性である僕が笑っていいのかギャグが入る度バツの悪い感覚がありました。
後半で真犯人が殺人で得た注目を我が物にしようと乗り込んできたり、共演女優が模倣犯になったり、主人公達も第二の犯行について冗談混じりに話合ったりと倫理観がどんどんヤバい方に暴走して行き悲劇的な結末になるのではとハラハラして観ていましたが結果的にはそうはならず前半の終わりと同じ様な着地点について終わってしまったため肩透かしを食らってしまいました。前半の終わり方がキレイだったため着地点が同じでは後半は蛇足に感じてしまいました。
とはいえテンポの良いストーリーと間抜けにデフォルメされたキャラクター達の掛け合いの面白さなど詰まらないと感じることは一度もありませんでした。
男性としての加害者意識が物語を楽しむ妨げになった感じですね。
被害者以外全員ハッピー
人がひとり殺されている「殺人事件」なのに、彼が被害にあったがゆえにそれ以外の全員ハッピーになったという、皮肉というかブラック気味だがとっても気持ちがいい良い、フランス映画らしいコメディ。
真犯人を明らかにしないところも粋な感じがする。
そもそも、真犯人の座を巡る争いという、通常とは逆転した発想が洒落てますね
逆転しているがゆえの可笑しみがミソで、「私の犯罪を盗まれた」と言われても、そんな窃盗はないわ、普通。
「Me Too」を思わせる、というかそのものずばりの事件を背景に、1930年代のフランスのごりごりの男尊女卑社会を描きつつ、ちょっぴりLGBTの描写があったり、とっても今風。
マドレーヌ、ポーリーヌ、オデット、3人がとってもチャーミング。
ルックスだけでなく、したたかで強く、頭も良い。これも今風です。
サイレント時代の名女優オデットが醜悪さを笑われるための存在ではなく、現在でもレストランでサービスされるほどのアイドルでリスペクトされており、ポーリーヌが言う通り「今でも美しい」、そして誇り高く人として可愛らしいのが良い。
私には女優のマドレーヌより、弁護士のポーリーヌのほうが美人に見えます。
で、真犯人は、彼だよね?
会話劇
殺人事件を踏み台に輝く女性達
なんという発想の転換か! オゾンにやられました。
先が読めないサスペンスに、オシャレでバカバカしい色づけをしたコメディー。
犯していない殺人を認め、正当防衛を主張して無罪を勝ち取る。女性の参政権が認められていない1935年のパリが舞台。(フランスで女性参政権が認められたのは意外と遅い)
突然無実の殺人罪に問われた無名の女優は、ルームメイトの新人弁護士と共謀してこの裁判で有名になることを目論み、狙いどおり一躍時の人となったが、本当は殺していないということが死守すべき秘密になる。そして、彼女らの前に現れたかつての名女優が自分が真犯人だと告げ、それを公表すると脅してくる…という破天荒なサスペンス。
発想のベースとなった戯曲があるらしい。
ミュージカルに合いそうな物語ではないかと思った。
無名の女優と新人弁護士の主人公コンビに真犯人である往年の名女優が加わって共犯関係となり、お互いのWin-Winのために世間を欺き通すドタバタ劇。
歌って踊って、愉快なミュージカルになりそう。
フランソワ・オゾンの映画に私が期待していたものとは異なっていたので★は辛めだか、女性を描く姿勢は一貫した、ある意味オゾンらしい作品ではある。
女優以上に弁護士が美しかった
1935年、パリの豪邸で有名映画プロデューサーが殺害され、三流女優マドレーヌが容疑者として取り調べを受けた。マドレーヌは正当防衛で無実になると言われ、プロデューサーに襲われて自分の身を守るために撃ったと供述し、親友で同居している弁護士ポーリーヌとともに法廷に立った。鮮やかな弁論と感動的なスピーチで正当防衛を訴え、陪審員や大衆の心をつかみ、マドレーヌは無罪を勝ち取った。そして、悲劇のヒロインとしてスターの座も手に入れた。そんな時、かつての大女優オデットが現れ、プロデューサー殺しの真犯人は自分だと主張した。さてどうなる、という話。
第二次世界大戦前のフランスが舞台なので、いい加減な捜査だったり、誘導尋問による自白の強要による裁判だったりと、今ではありえない事が行われていたのだろうと思った。
フランスに限らず、当時の日本はもっと酷かっただろうけど。
コメディ要素も有り面白かった。
女優マドレーヌより弁護士ポーリーヌ役のレベッカ・マルデールの方が美しいと思った。
フランソワ・オゾンの新境地!
こんなオゾン節が好き
フランソワ・オゾン監督らしいと言って良いのかは分かりませんが、『8人の女たち』を思い出さずにはいられない、オシャレで楽しいミステリーコメディ。観ていて、この感覚って三谷作品にも通じるものがあるのかなとも思います。
秀逸なのは舞台が1930年代となっていたこと。元ネタとなった戯曲が作られたのが1930年と言うこともあるでしょうが、芸能界でのし上がるために、自分を殺人犯にしてでも世間の話題を集めようとする発想は、今の世の中で自身のSNSをバズらせようとするのと全く同じ。当時は新聞が最大の広告メディアであり、裁判はエンターテイメントにもなり得たのでしょう。そうした空気感がとても良い感じなのです。
そして存在感があったのはやはりイザベル・ユペール。清純な役から艶かしい役、悪女、それから今回のような怪演まで、とにかく器用。つくづくフランスを代表する俳優さんなんだと思います。
フランス映画は通好みなのか、どうしても単館での上映が多いですが、気楽に楽しめて観れば確実にその面白さに気づける作品が多く(今年日本公開の仏作では他に『パリタクシー』や『ショータイム!』も秀作)、もっと多くの人に観てもらえればと思います。本作ももちろんそんなオススメできる作品です。ただその一方で、シネコンとは違うこじんまりした雰囲気に合うのもフランス映画だったりするのですが。
「これぞフランス映画」的な痛快さ
主役から端役まで、登場人物全員が「自分にとって都合がいいか」しか考えていない
「正しい人なんてこの世の中にはいないよね」と言われているような気分
結論もそれでいいのか?
まあ、いいのか、これで
「私の人生の歯車を回すのは私自身」みたいな女性たちのたくましさが気持ちいい
217 見ていて楽しいシャシン
お気に入りオゾン監督
戯曲のような構成。
コメディ風に弾むようなテンポでテイスト。
謎解きでありながら一方でワクワクさせる演出は
まさにオゾンスタンダード。
いつ見てもいいですね。
70点
京都シネマ 20231118
パンフ購入
楽しくて、したたかな作品
1年1作の割合で、充実した作品を世に送っているフランソワ・オゾンが、1930年代の米国の演劇を出発点として脚本・監督を担当した最新作。原作は、37年と46年、既に2回映画化されている。オゾン得意の本歌取りか。
舞台は1935年のパリ。狂乱の季節は過ぎて、恐慌を経験し、戦争がすぐそこに迫っている。30年代フランス映画の影響が、そこここに見られ、「巴里祭(32年)」が屋根の登った時の眺望に、「自由を我らに(31年)」が工場の風景に活かされている。
若くて美しいが仕事のない女優マドレーヌ(ナディア・テレスキウィッツ)が、有名な映画プロデューサー殺害の容疑で逮捕される。無職の弁護士だが、やはり仕事のない親友のポーリーヌ(レベッカ・マルデール)の助けで、彼女は正当防衛を理由に無罪を勝ち取り、街の皆の口に上るスターになる。ところがどっこい、サイレント時代の大女優オデット(イザベル・ユペール)が私こそ真犯人よと名乗り出る。何もお金目当て。一見、クライム仕立てのライト・コメディ。
オデットが登場した時、これは舞台演劇と思った。ほとんどの場面が、室内で進行し、最後も舞台で終わる。その後の登場人物の行く末は、新聞の記事で示されるだけ。
見どころはどこに。二人の若き女優、美しいナディアとセリフが心地よいレベッカ、しかし何と言っても、イザベル・ユペールを筆頭に、芸達者たちの演技が心に残る。
戦前のフランスは、日本も顔負けの家父長(男性)中心社会で、1944年になるまで、女性には参政権が与えられなかった。それどころか、ご主人の同意なしに、妻が銀行口座を開く(小切手帳を持つ)ことができるようになったのは1965年。オゾンは、この物語の設定を30年代にすることにより、さりげなくフェミニズムの根源を明らかにしている。当時、女性による連続殺人事件が起きていたが、それは女性による人権の主張だったのだ。
何と強かなオゾン。表面で、華やかなパリ、華麗な衣装に酔い、その裏では、女性たちの苦しみに思いを馳せることができる映画だ。もっと多くの人たちに。
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