私がやりましたのレビュー・感想・評価
全114件中、21~40件目を表示
女性の人権問題が根幹にある物語は手放しに好評しづらい
大好きな評論家が年間ベストに挙げていたため観賞しました。
バービーでも同じ様な感想を持ちましたが男性が無自覚に行っている女性軽視、役割の押し付けなどがギャグになっているので男性である僕が笑っていいのかギャグが入る度バツの悪い感覚がありました。
後半で真犯人が殺人で得た注目を我が物にしようと乗り込んできたり、共演女優が模倣犯になったり、主人公達も第二の犯行について冗談混じりに話合ったりと倫理観がどんどんヤバい方に暴走して行き悲劇的な結末になるのではとハラハラして観ていましたが結果的にはそうはならず前半の終わりと同じ様な着地点について終わってしまったため肩透かしを食らってしまいました。前半の終わり方がキレイだったため着地点が同じでは後半は蛇足に感じてしまいました。
とはいえテンポの良いストーリーと間抜けにデフォルメされたキャラクター達の掛け合いの面白さなど詰まらないと感じることは一度もありませんでした。
男性としての加害者意識が物語を楽しむ妨げになった感じですね。
被害者以外全員ハッピー
人がひとり殺されている「殺人事件」なのに、彼が被害にあったがゆえにそれ以外の全員ハッピーになったという、皮肉というかブラック気味だがとっても気持ちがいい良い、フランス映画らしいコメディ。
真犯人を明らかにしないところも粋な感じがする。
そもそも、真犯人の座を巡る争いという、通常とは逆転した発想が洒落てますね
逆転しているがゆえの可笑しみがミソで、「私の犯罪を盗まれた」と言われても、そんな窃盗はないわ、普通。
「Me Too」を思わせる、というかそのものずばりの事件を背景に、1930年代のフランスのごりごりの男尊女卑社会を描きつつ、ちょっぴりLGBTの描写があったり、とっても今風。
マドレーヌ、ポーリーヌ、オデット、3人がとってもチャーミング。
ルックスだけでなく、したたかで強く、頭も良い。これも今風です。
サイレント時代の名女優オデットが醜悪さを笑われるための存在ではなく、現在でもレストランでサービスされるほどのアイドルでリスペクトされており、ポーリーヌが言う通り「今でも美しい」、そして誇り高く人として可愛らしいのが良い。
私には女優のマドレーヌより、弁護士のポーリーヌのほうが美人に見えます。
で、真犯人は、彼だよね?
会話劇
殺人事件を踏み台に輝く女性達
なんという発想の転換か! オゾンにやられました。
先が読めないサスペンスに、オシャレでバカバカしい色づけをしたコメディー。
犯していない殺人を認め、正当防衛を主張して無罪を勝ち取る。女性の参政権が認められていない1935年のパリが舞台。(フランスで女性参政権が認められたのは意外と遅い)
突然無実の殺人罪に問われた無名の女優は、ルームメイトの新人弁護士と共謀してこの裁判で有名になることを目論み、狙いどおり一躍時の人となったが、本当は殺していないということが死守すべき秘密になる。そして、彼女らの前に現れたかつての名女優が自分が真犯人だと告げ、それを公表すると脅してくる…という破天荒なサスペンス。
発想のベースとなった戯曲があるらしい。
ミュージカルに合いそうな物語ではないかと思った。
無名の女優と新人弁護士の主人公コンビに真犯人である往年の名女優が加わって共犯関係となり、お互いのWin-Winのために世間を欺き通すドタバタ劇。
歌って踊って、愉快なミュージカルになりそう。
フランソワ・オゾンの映画に私が期待していたものとは異なっていたので★は辛めだか、女性を描く姿勢は一貫した、ある意味オゾンらしい作品ではある。
タイトルなし(ネタバレ)
アガサクリスティー的なサスペンススリラーかと
思いきや、コメディ要素多め、てかコメディ🤣
ユベールねえさんが出てくるまでの裁判劇は
フランス語が子守唄のように聞こえてきます(笑)
犯罪(殺人)を認めながらも(本当はやってない)
女性軽視バリバリ検察官や思い上がった
男たちを、その美貌と雄弁さとで丸め込み
世論(特に女性)を味方につけながら
無罪を勝ち取ったら、何故か仕事も増えて
裕福になった若き売れない女優と新米弁護士
それを妬んだ真犯人大ベテラン女優とのドタバタ劇
斬新なストーリー展開だけど
コメディ要素が強くてちょっと好みではなかった。
好みではないけれど面白かったのは面白かったのよ(笑)←どっちw
あざとくもキュートなマドレーヌと
かしこなポーリーヌ
母親役どころか祖母役でもおかしくないのに
姉役を強請るオデット🤣
3人の女性の魅力がそれぞれ光った作品でした🇫🇷
ムカつく男たちの末路が新聞沙汰になって
エンドロールで流れるのも愉快だね😆
言わせた者勝ち
知名度の高いプロデューサーが殺害された。
目撃証言から主人公で女優のマドレーヌが犯人として疑われた結果罪を認め逮捕されてしまう。
裁判では、わたしはプロデューサーに襲われそうになり自分の身を守るためには抵抗し撃つしか無かったという過剰防衛を主張することにより世間は彼女が自己防衛のための殺人だとわかり、いや寧ろ言い難い内容の筈なのによくぞ告白したというのもあって彼女は評価されスターダムの階段へまたマドレーヌの弁護を引き受けた友人で弁護士のポーリーヌも出世しました。
ここまでは、彼女達のサクセスストーリー。
しかし、彼女達の活躍を妬むのが、殺害事件当時に現場に居合わせながらも、犯人として疑われなかったオデットの告白により事態が覆そうになり大金を要求される。何とか大金を手に入れなければ立場がマズいマドレーヌは婚約者でボナールタイヤの社長、つまり義理の父に懇願する。
最後は義理の父が折れオデットに大金を支払い、事なきを得ることに成功。警察の捜査がずさんだったことや、判事の強い思い込みや瞑想さえなければマドレーヌは犯人にならなかったのかもしれない。当に言わせた者勝ちだと思う内容だった。
罪を盗んだ、っていうオデットの発言は笑えた。
女優以上に弁護士が美しかった
1935年、パリの豪邸で有名映画プロデューサーが殺害され、三流女優マドレーヌが容疑者として取り調べを受けた。マドレーヌは正当防衛で無実になると言われ、プロデューサーに襲われて自分の身を守るために撃ったと供述し、親友で同居している弁護士ポーリーヌとともに法廷に立った。鮮やかな弁論と感動的なスピーチで正当防衛を訴え、陪審員や大衆の心をつかみ、マドレーヌは無罪を勝ち取った。そして、悲劇のヒロインとしてスターの座も手に入れた。そんな時、かつての大女優オデットが現れ、プロデューサー殺しの真犯人は自分だと主張した。さてどうなる、という話。
第二次世界大戦前のフランスが舞台なので、いい加減な捜査だったり、誘導尋問による自白の強要による裁判だったりと、今ではありえない事が行われていたのだろうと思った。
フランスに限らず、当時の日本はもっと酷かっただろうけど。
コメディ要素も有り面白かった。
女優マドレーヌより弁護士ポーリーヌ役のレベッカ・マルデールの方が美しいと思った。
フランソワ・オゾンの新境地!
こんなオゾン節が好き
フランソワ・オゾン監督らしいと言って良いのかは分かりませんが、『8人の女たち』を思い出さずにはいられない、オシャレで楽しいミステリーコメディ。観ていて、この感覚って三谷作品にも通じるものがあるのかなとも思います。
秀逸なのは舞台が1930年代となっていたこと。元ネタとなった戯曲が作られたのが1930年と言うこともあるでしょうが、芸能界でのし上がるために、自分を殺人犯にしてでも世間の話題を集めようとする発想は、今の世の中で自身のSNSをバズらせようとするのと全く同じ。当時は新聞が最大の広告メディアであり、裁判はエンターテイメントにもなり得たのでしょう。そうした空気感がとても良い感じなのです。
そして存在感があったのはやはりイザベル・ユペール。清純な役から艶かしい役、悪女、それから今回のような怪演まで、とにかく器用。つくづくフランスを代表する俳優さんなんだと思います。
フランス映画は通好みなのか、どうしても単館での上映が多いですが、気楽に楽しめて観れば確実にその面白さに気づける作品が多く(今年日本公開の仏作では他に『パリタクシー』や『ショータイム!』も秀作)、もっと多くの人に観てもらえればと思います。本作ももちろんそんなオススメできる作品です。ただその一方で、シネコンとは違うこじんまりした雰囲気に合うのもフランス映画だったりするのですが。
鑑賞動機:あらすじ9割、オゾン1割。
オゾンだもの、普通の法廷ミステリで収まるわけもなく、明後日の方向へ展開していく。法治という観点ではどうかと思うけど、1935年という時代背景や(当時の)権威への冷ややかな目線、何よりコメディだし、ということで楽しく観ることができた。
ゲスいオヤジ代表みたいな検事のおかげで、主人公サイドに肩入れしやすかったし。
なかなか容赦ないエンディングのたたみかけ方もよかった。
ただ『8人の女たち』の驚きを期待していたので、その点では物足りなくもあり。
「これぞフランス映画」的な痛快さ
主役から端役まで、登場人物全員が「自分にとって都合がいいか」しか考えていない
「正しい人なんてこの世の中にはいないよね」と言われているような気分
結論もそれでいいのか?
まあ、いいのか、これで
「私の人生の歯車を回すのは私自身」みたいな女性たちのたくましさが気持ちいい
期待度◎鑑賞後の満足度◎ これぞフランス・コメディの佳作!先の読めないよく練られた脚本が巧い。そして戦前のフランス映画、それもサイレントの香りがする。後半から映画をさらうイザベル・ユペールに笑う。
①しかし、よくこれだけコンスタントに多彩で且つ質の高い映画を次々と生み出せるものだ。オゾン監督に乾杯🍸️
②前半はオゾン版『巴里の屋根の下』と思っていたら、後半はオゾン版『Wの悲劇』…ではなく『Wの喜劇』『Wの勝利』となる。
③二人の若手女優も魅力的だが(私はレベッカ・マルデールの方が好み)、やはりイザベル・ユペールは、登場前からスクリーンが華やぎ、出てくると“よっ、待ってました”と声を掛けたくなる当代随一の女優の一人だ。
最近、メリル・ストリープ化している、つまり出過ぎ(先日奈良を案内したフランス人の映画に詳しいご婦人も“素晴らしい女優だけど、最新映画に出過ぎね”と言っていた😄)な気がしているイザベル・ユペールだけど、ここでもサイレント映画の大スターだった貫禄と華やかさを残しつつ、トーキーに移行する時にコケた😄スターの零落感も漂わせるモンスター女優(『サンセット大通り』のグロリア・スワンソン+『イヴのすべて』のベティ・ディヴィスのパロディ?)を、可笑しみタップリ且つやり過ぎでもない軽みのあるコメディ演技で造形化してやはり巧い。
④コメディながらも男女格差問題を絡めてくるところもやはりオゾン監督。
法廷での「女は力と公平さを得るために犯罪という方法を取るのです」(だったかな?)とのマドレーヌの台詞は名台詞だと思うが、どうでしょう?
⑤パルマレード役の俳優さん、何処かで観た、と思ったら『パリ・タクシー』の運転手さんだった。
タイヤ会社のボナール社長役の俳優さんも、何処かで観たことがある、と思ったら『すべてうまくいきますように』のお父さんだった。
217 見ていて楽しいシャシン
お気に入りオゾン監督
戯曲のような構成。
コメディ風に弾むようなテンポでテイスト。
謎解きでありながら一方でワクワクさせる演出は
まさにオゾンスタンダード。
いつ見てもいいですね。
70点
京都シネマ 20231118
パンフ購入
【”夫々の女性達の大義”1935年の女性の人権が軽視される巴里を舞台に、愚かしき男達を出し抜き、未来を切り開こうとする女性達の奮闘をユーモラスに描いた作品。流石、F・オゾン監督と思った作品でもある。】
ー 今作は、良く出来たストーリー展開に没入した作品である。そして、美術、意匠も俳優陣達の演技も良き作品でもある。-
■有名プロデューサーが自宅で銃で殺される。容疑者は、彼の舞台出演が決まっていた女優マドレーヌ(ナディア・テレスキウィッツ)である。最初、彼女は否定するが途中で一転し、殺人を肯定する。
<感想>
・マドレーヌが愚かしき判事の前で、抗弁するがアッサリと殺人を肯定するシーン。
ー 脳内で”ん?”となるが、彼女はルームメイトの弁護士ポーリーヌ(レベッカ・マルデール)に弁護を頼み、二人で一計を案じるのである。-
・法廷に場所を移してからが爽快である。
ー マドレーヌは裁判で殺人犯を演じつつ、ポーリーヌが書いた草稿を暗記し、性的搾取をしようとしたプロデューサーの行為を糾弾し、且つ身勝手な男性支配の社会から自由を得ようとする想いを雄弁に語るのである。
流石、女優である。そして、彼女は正統防衛を主張し、見事に無罪判決を勝ち取るのである。-
・そして、多くの市民から花束などを貰い、二人はボロアパート生活から脱出するが、トーキー映画のスター女優だったショーメット(出た!イザベル・ユペール)が現れ、”自分がプロデューサーを殺した。”と言って彼女達を脅すのである。
ー だが、マドレーヌとポーリーヌはショーメットに”ある約束”をし、仲間に引き入れるのである。-
<ラストも爽快である。マドレーヌの姉役として舞台に立ったショーメットは、悪徳プロデューサーを銃で殺し、マドレーヌと共に拍手喝采を浴びるのである。
今作は、愚かしき男達を出し抜き、上手く利用し、自らの人生を切り開いた3人の女性達の姿をユーモア要素を絡めて描いた作品なのである。ブラボー!>
楽しくて、したたかな作品
1年1作の割合で、充実した作品を世に送っているフランソワ・オゾンが、1930年代の米国の演劇を出発点として脚本・監督を担当した最新作。原作は、37年と46年、既に2回映画化されている。オゾン得意の本歌取りか。
舞台は1935年のパリ。狂乱の季節は過ぎて、恐慌を経験し、戦争がすぐそこに迫っている。30年代フランス映画の影響が、そこここに見られ、「巴里祭(32年)」が屋根の登った時の眺望に、「自由を我らに(31年)」が工場の風景に活かされている。
若くて美しいが仕事のない女優マドレーヌ(ナディア・テレスキウィッツ)が、有名な映画プロデューサー殺害の容疑で逮捕される。無職の弁護士だが、やはり仕事のない親友のポーリーヌ(レベッカ・マルデール)の助けで、彼女は正当防衛を理由に無罪を勝ち取り、街の皆の口に上るスターになる。ところがどっこい、サイレント時代の大女優オデット(イザベル・ユペール)が私こそ真犯人よと名乗り出る。何もお金目当て。一見、クライム仕立てのライト・コメディ。
オデットが登場した時、これは舞台演劇と思った。ほとんどの場面が、室内で進行し、最後も舞台で終わる。その後の登場人物の行く末は、新聞の記事で示されるだけ。
見どころはどこに。二人の若き女優、美しいナディアとセリフが心地よいレベッカ、しかし何と言っても、イザベル・ユペールを筆頭に、芸達者たちの演技が心に残る。
戦前のフランスは、日本も顔負けの家父長(男性)中心社会で、1944年になるまで、女性には参政権が与えられなかった。それどころか、ご主人の同意なしに、妻が銀行口座を開く(小切手帳を持つ)ことができるようになったのは1965年。オゾンは、この物語の設定を30年代にすることにより、さりげなくフェミニズムの根源を明らかにしている。当時、女性による連続殺人事件が起きていたが、それは女性による人権の主張だったのだ。
何と強かなオゾン。表面で、華やかなパリ、華麗な衣装に酔い、その裏では、女性たちの苦しみに思いを馳せることができる映画だ。もっと多くの人たちに。
全114件中、21~40件目を表示