ブルーバック あの海を見ていたのレビュー・感想・評価
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【”人間は海から産まれた。”今作は、西オーストラリアの豊饒な入り江、ロバーズ・ヘッドを開発者から守る母娘の長きに亙る物語であり、水中の多くの魚の群れのショットが美しき作品でもある。】
ー オーストラリアで広く親しまれている作家、ティム・ウィントンのベストセラー「BLUE BACK」を映画化した作品。ー
■若き海洋生物学者のアビー・ジャクソン(ミア・ワシコウスカ)は、母親・ドラ(リズ・アレクサンダー)が脳卒中で倒れたとの知らせを受け、故郷である西オーストラリアの海辺の町、ロングボート・ベイに帰ってくる。
幸いにも症状は軽く、退院したドラは高台の自宅に戻るが、言葉を全く発しなくなっていた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・物語は、8歳の誕生日を迎えたアビー(アリエル・ドノヒュー)が若き母(ラダ・ミッチェル)からダイビングを手荒く教わるシーンから始まる。
そして、その時にアビーは70年生きるというグローパーと言うロバーズ・ヘッドに棲む巨大魚に出会い、”ブルーバック”と名付けるのである。
アビーが海に魅入られた瞬間が、美しく描かれている。この作品の一番の魅力は、水中の多くの魚群や鮑などの美しき撮り方であると思う。
・年頃に成長したアビー(イルサ・フォグ:スレンダーな身体で水中を泳ぐ姿が、実に美しい。)は、母がロバーズ・ヘッドに棲む固有種を守る活動を見ながら成長する。だが、コステロと言う男に率いられた開発業者達は、海を掘削し、固有種を底引き網で見境なく取ってしまう。
挙句に、ザトウ・クジラの群れは入り江に寄り付かなくなってしまうのである。
・母と共に、入江を守ろうとするアビー。開発業者達の水中銃から”ブルーバック”を守ろうとして、入江から出ない”ブルーバック”を守るために、殴りつけてしまう。
そして、アビー自身も神秘の世界に魅了され、海洋学者を目指すために、ロバーズ・ヘッドを守るために、家を離れない母と別れて暮らす様になるのである。
・だが、母が脳梗塞で倒れた時に、アビーは故郷の海に戻って来る。そこは、開発業者からアビーと母ドラが守ったために、昔のままであった。
アビーは、久しぶりに故郷の海へ潜り、ナント”ブルーバック”と久しぶりに再会するのである。
”ブルーバック”はアビーを見ても逃げずに、悠々と泳いでいるのである。
そして、ザトウ・クジラの群れも戻り、アビーと母ドラはそのジャンプを静に見ているのである。そして、母は、いつの間にか静に言葉を発するのである。
<今作は、故郷の海を守る母娘の長きに亙る物語である。
劇中のキャンプファイヤーのシーンと、ラストに流れるオーストラリアの人気ロックバンドで有った、”Crowded House"の名曲”Don't Dream It's Over"の歌詞も、作品内容にピタリと合っているセンスある作品でもある。>
ダイバー故のモヤモヤを楽しむ
海の環境保護活動を続けて来た老母のもとに海洋学者の娘が帰郷して思い出を語るお話です。静かな物語だけど、親子二代を通じて「海の生き物が大好き」の思いが滲み出ていてよかったなぁ。映画映りを気にしてという事もあるのかも知れませんが、母娘ともにいつも素潜りと言うのがカッコいい。そして、ダイバーとしては、映像の隅に出て来る魚一つ一つを同定したくて仕方ありません。リーフィー・シードラゴンが出て来た時は、隣席の我が家の妻も「あっ」と声をあげていました。
ブルーバックとはポスターに映っている魚に娘が付けた愛称の事で、見た所、ベラかブダイの様なのだがしっくり来ません。後に調べるとオーストラリア南部の固有種ブルー・グローパーAchoerodus viridis であると判明。ああ、漸くモヤモヤが晴れた。
息をのむほど圧倒的なオーストラリアの海に感動!
母親が脳卒中で倒れたことで、娘が母との関係性、母の想い、母への想い、
今の自分に至るまでの成長について丁寧に描いていて好感が持てました。
まずはオーストラリアの海の圧倒的な景色の素晴らしさと映像美。
これには息をのみましたし、魅入ってしまいますね。
ストーリーも、いろんな視点から母娘の物語に収斂されていくところが
好きですし、ラスト近くの海における母娘のシーンも素晴らしかったと思います。
主人公アビーを3人の俳優が演じていて、
ミア・ワシコウスカに焦点が当たりがちではあるものの、
青年期を演じているイルサ・フォグの演技が素晴らしかったです。
彼女の演技がこの映画のクオリティを高めていると思いました。
ブルーバックというタイトルも良いですね。
静かでありつつ心に沁み入り癒されました。
少し退屈だったが、終盤は見どころがあった
生態系の破壊を食い止めようとする人達のお話で、ヨーロッパではウケそうだけど日本ではどうかな?という印象を持った。
ブルーバックがたぶんCGだが、もしかして本物か?と思わせるようなリアルな動きを見せてくれて、単純にすごいと思った。
海の自然を守る事は立派な事だけれど、魚を取ることで生活している人達の主張もちゃんと聞きたかったかな。魚を取る側の人間と許可を出す側の人間が、利権のために動いている狡い大人としか描かれていなかったため、勧善懲悪ものを見た気分になり、あまり共感できなかった。
気の所為
かもしれませんが、序盤からカメラが遠いなぁと思いました。時系列の行ったり来たりも今ひとつ効果的でなくて・・開発への無力感も有ってあまり良くないなーと思ってました。
最早、怪獣? と和解出来て、湾もある程度は救われて正直ほっとしました。主人公「イノセントガーデン」以来でしたが、こんなに男顔でしたっけ。
人は海の中では生きられない
「人は海から生まれた」との言葉があったが、わずか2、3分でも水中にいれば、生きることは困難になる。
最後までアクアラング等も着けずに潜水する姿に、信念があるんだろうなと思いながら見た。
環境保護と母娘の絆
環境保護と母娘の絆を描いたオーストラリア映画。
海中シーンが美しく、ブルーバックの動きが素晴らしい。素潜りであんなに潜れる人たちがうらやましくなった。
静かな映画だが、見てよかったと思える映画だった。
ブルーバック あの動きはスゴイ
監督は見逃した評判作「渇きと偽り」のロバート・コノリー。
8歳時、15歳時、そして現在の娘(海洋生物学者)と母親(環境活動家)との物語が交差する。
海の見える家からの風景、夕陽、海上の風景、海の中等いつも画がキッチリしている。色合いも良い。
本当に驚いたのはブルーバック。あの魚との触れ合いをどうやって撮ったのかと思って家に帰ってメイキング映像を確認したら、なんとクリーチャー・テクノロジー社の作ったものだった。私は旅先でも水族館に行く程魚類は好きなのだが、水中でのエラや胸ビレの動きは本当の魚にしか見えなかった。水中で電動は使えないので4人がかりで操作して動かしているそうだ。
映画を観たら、ぜひメイキング映像を確認して欲しい。監督とスタッフのこだわりがこの映画を更に素晴らしいものにしている。
見逃した「渇きと偽り」を見なくては。
追記 メイキング動画は予告編・動画一覧にあります。
オーストラリアの海が主人公
海洋生物学者のアビーは、海でのフィールドワークの最中に母親ドラ危篤の知らせを受ける。アビーの回想で綴る、母娘の地元の海洋環境保護への情熱を描いた感動ドラマ。
兎にも角にも、水中撮影を駆使したオーストラリアの海の美しさに魅了された。
ブルーバックというタイトル(ネーミング)
アリス・イン・ワンダーランドやキッズ・オールライトのイメージが強いミア・ワシコウシカさん主演という事で、しばらくだなと思い鑑賞
海と共に育った母娘の現在と過去が入れ替わりで描かれます。娘の回想視点の進行となっており、当時大切にしていたもの守りたかったものに想いを馳せるストーリーです
海岸や海中の情景の美しさは登場人物の感情を伝えてくれている様で、見惚れました
ワシコウシカさんもその子供時代を演じた女優さんも優しい笑顔が印象的。あんなにがたいの良いエリック・バナさんにもびっくりで笑
ストーリーも優しく進んでいく感じで観易かったです
ところで『ブルーバック』にはどの様な意味が込められてるんですかね?『(海に)戻ってくる』とか?
示唆がありそうなので原作小説読みたくなりました
ありがとうございました
24-006
愛する海を守ろうとする母娘。
母は海を通じて娘に多くの学びを与え、
娘は海の尊さを理解していく。
自然からの学びや交流は人生の糧となる。
家族、友人、多くの魚たち。
生も死もありのままを伝えてくれる。
美しい海の映像に洗われました。
まばゆいターコイズブルーに彩られた海の美しさ といったらもう・・・オーストラリア
ブルーバック あの海を見ていた
神戸市内にある映画館「シネ・リーブル神戸」にて鑑賞 2024年1月1日
パンフレット入手
豊かな恵みをもたらすオーストラリアの海に育まれ、人生でいちばん大切なものを見つけた母と娘の物語
海洋生物学者の若い女性アピー、アピーの母親が脳卒中で倒れてしまい、西オーストラリアの海辺の町ロングボードウェイに帰ってくる。症状は軽く退院したドラは美しい海を一望できるが、ことばをまったく発しなくなっていた。
アピーはこの家で過ごした少女時代に、思いをはせていく。8歳の誕生日にロバースヘッドという入り江に初めて潜り、巨大な青い魚の”ブルーバック”に出会った宝物のような体験。環境活動家だったドラから、豊かな恵みをもたらしてくれる海の素晴らしさを教わったこと。それはかけがえのない日々を振り返って、自らの原点を見つめなおしたアピー。自然保護に人生をささげた母の意思を受け継ぐ決心をしたのだった。
アピー15歳のとき、ロングボードウェイの町ではリゾート開発の工事が進んめられていた。ドラは湾の生態系を破壊し兼ねないと猛反対し抗議活動の先頭に立った。アピーは都会への高校進学を希望していたのでドラと対立してしまう。和解した母娘はリゾート開発の是非を巡る町役場の懇親会に出席しその重要性を訴えた。ブルーバックに密猟者の悪手が迫っていることを察知したアピーは、ロバースヘッドの海へ潜り、身を挺してブルーバックの命を守るのだった。
現在 ドラは少しずつ回復し、アピーが語り掛けると笑顔でかえしている。しかし環境保護に並々ならぬ情熱を燃やし、生き急ぐ人生を送ってきたドラは、まもなく永遠の眠りにつこうとしている。
アピーは改めて見つめなおし、海のすばらしさをおしえてくれた母ドラの意志を継ぐ決心をし、かつてブルーバックと巡り合った思い出の入り江にむかうのだった。
ブルーバックとはこんな魚
正式名称は「ウエスタン・ブルーグローバー」
西オーストラリア州のハウトマンアブロルホス諸島からメルボルンまで、水深5~65メートルの海域に生息するベラ科の一種
サンゴ礁に生息する最大の硬骨魚類
体長約1.7メートル、体重は約40キロ
耳石とよばれる魚の耳の骨は平衡感覚をつかさどる組織で樹木の年輪のように輪紋(りんもん)が刻まれている。輪紋は1年に1本のため、これらを数えることで魚の年齢を推定することができる。
この種の魚は約70年も生きられることがわかっている。
産まれた時は皆メスで体の色はグリーン。グローパーが属するベラ科は雌雄同体が一般的と言われ、全てではないが30~35歳頃に体の色がブルーとなりオスへ変化するケースがある。
オスが群れからいなくなると(たとえば漁や捕食、老齢など)、群れの中のメスがオスへ変化し、いなくなったオスの代わりとなると言われている。
数日後、メスの体色はオスのものに変わり、約14日以内に性別は完全にオスに変わる。
この変化の結果、他のメスはハーレムの社会的順位がひとつ上がり、一番下には新しいメスのための空席ができると言われている。
まばゆいターコイズブルーに彩られた海の美しさといったら・・・・
この作品、おススメです。感動・・・
環境問題訴求映画としては弱いが、ネイチャー系映画と映画としてなら及第点
2024.1.2 字幕 アップリンク京都
2022年のオーストラリア映画(102分、G)
原作はティム・ウィルトンの『Blueback(1997年)』
脳卒中で倒れた母の元に帰る海洋学者が故郷の思い出を振り返るヒューマンドラマ
監督はロバート・コノリー
脚本はロバート・コノリー&ティム・ウィントン
原題の『Blueback』は、劇中で主人公が魚につける名前
物語の舞台は、オーストラリアの西オーストラリア州にあるロングボード・ベイ
海洋学者のアビー・ジャクソン(ミア・ワシコウスカ、15歳時:イルサ・フォグ、8歳時:アリエル・ドノヒュー)は、助手のギトゥンドゥ(Albert Mwangi)とともに海洋調査に出向いていた
珊瑚礁の実態を調査するために海に潜り、検体を採取してはそれを記録していくアビー
そんな折、幼馴染のブリッグス(クレランス・ライアン、15歳時:ペドレア・ジャクソン)から「母ドラ(ラダ・ミッチェル、老齢期:エリザベス・アレクサンダー)が脳卒中で倒れた」との連絡を受ける
慌てて故郷に帰るアビーだったが、母は脳卒中の影響で言葉を発することができないと聞かされる
アビーは母との思い出に耽り、自分が海洋学者になろうと決意した過去に思いを馳せていた
映画は、8歳時に初めて海洋でダイビングをした思い出から始まり、15歳時に海洋の専門学校にいく決意を固めるまでを描いていく
母は地元の海を守る環境活動家で、湾岸開発業者のテッド・コステロ(エリック・トムソン)と事あるごとに衝突していた
時には警察が鎮圧するデモに発展し、母は決定権を持つ評議会に訴えかけていく
その頃のアビーは母と距離を置き始め、8歳時に遭遇したブルーバックと名付けたウェスタングローバーという魚との日々を過ごしている
ブリッグスと良い感じになりながらも進展せず、魚の絵を描いては、より詳しくなるために勉強に励む日々を過ごしていた
さらに、漁師のマッカ(エリック・バナ)と仲良くなり、担任のカーライル先生(Dalip Sondhi)からたくさんのことを学んでいく
アビーは、母の活動から距離を置いていたが、ある時、自分が描いた絵を持って町役場へと向かった
固有種の絶滅危機を訴えるものの、評議会からは良い反応を得られない
だが、有権者の一人が心を変えたことで、母の活動は一歩前に進むことになっていた
映画は、ほぼ回想シーンで構成され、主にブルーバックとの日々が描かれていく
ヒーリングビデオにも似た映像美と魚たちとの交流が描かれ、物語としてはさほど奇妙な展開を迎えることはない
ロバースヘッドと呼ばれる湾の窪みに棲んでいたブルーバックを助けるために取った行動が決定機となって海は守られることになったのだが、環境汚染の背景に違法な経済活動があるというわかりやすい展開になっていた
これらは原作者の体験談に近いものと思われるが、環境系の訴求効果としては、広大な海の映像と自然との戯れを見せることで、これを壊す意味があるのか?を問うていく流れになっているように思える
湾岸開発の無許可状態での強硬とか、リアルに描かれる側面もあるものの、そのあたりが背景になっていることが本作の特徴的な部分だろうか
いずれにせよ、海洋ネーチャー系ドラマとしては淡々とした内容で、ドラマ部分に重きを置くと少し退屈な映画かもしれない
ブルーバックとの交流はどうやって撮ったのだろうかと思わせるほどの接近描写になっていて、助けるためとは言え「ブルーバックを殴るシーン」があったりするので、別の意味でハラハラしてしまう
これらの映像美に浸る映画になっているので、それを楽しめる人ならば問題ないと思う
環境問題への提起としては弱いものの、これ以上提案が強いとクドイと思うので、これぐらいがちょうど良いのかもしれません
ブルーバックにもう一度会いに行きます
主人公の幼少期から成人としての現在まで、回想シーンを含めとても丁寧にバランスよく描かれ、脚本、演出とても素晴らしい作品でした
鑑賞した後もホームページ、動画を見返すたびに日本から遠くはなれた、日々温暖化にさらされる西オーストラリアの風景が目に浮かびます
ブルーバックの命を守るために彼女が取った悲しみの行動から、月日を経て故郷の自然を守る事になってのエンディングでの再会、2023年末最後に出会えた素晴らしい作品でした
あそこに潜ればいつもブルーバックがいる、そんな素晴らしい環境で生活できたらどんなに幸せなことか、そしてそれを守るためなら、自分も何かの形で行動を起こすはず
今週またブルーバックに会いに行きます
これから行く道、これまで来た道
オーストラリアの小さな入り江を故郷とする娘・アビーと母・ドラの、過去と現在を描いた作品。
児童書原作のヒューマンドラマ映画ではあるのだが、過度な感動演出が少なく時に自然の摂理をドライに突き付けてくる場面もあり、「感動映画」「成長映画」が苦手な人にも無理のない距離感で観られる作品だと感じた。
ドラから海の豊かさ、儚さ、恐ろしさを教わり、彼女と同じように海を愛するようになるアビーが、成長するにつれドラとは異なる自分なりの海への貢献の方法を見つけていく点や、ドラが従事する環境保護活動が過激な1か0かの主張ではなく、人々の生活の糧である漁場の維持と本来の生態系の維持を両立させようとする共存のスタンスである点も良かった。
現在のドラとアビーが、セリフやカメラの誘導が無くとも表情や視線のわずかな動きだけで互いに注意を払い合っていることが伝わる重厚な演技が素晴らしかった。アビー役の俳優さんは年代別に3人いるのだが、それぞれダイビングの訓練を積んだそうで、見応えの有る水中シーンが出来上がっていた。
アビーという人物、ドラという人物、二人が築いた親子関係、二人が繋いだ襷……、様々な見方ができる物語で、何かと進路や人生を考える機会や、家族や家庭の歩みを振り返る機会の多い年末年始にぴったりの作品だった。
守りたいもの。
海洋生物学者である主人公アビーが、脳卒中で倒れた母の為帰郷。もう言葉を発せない母と過ごしながら、海で育った日々を思う物語。
2023年最終鑑賞作品!…1年早いなぁ…。
さておき、オーストラリアの美しき海の画は素晴らしいですね。しかし、その生態系を脅かす開発計画が進み…母親ドラとともに闘っていく。
僅かな力ながらも、この海を守るべく活動する姿には勇気をもらえますね。それだけでなく、母と娘の関係性もうまく絡め物語が彩られている印象。マッカの招待状の定義はオシャレすぎますねw
そして、最初は皆メスとか驚きですね。あとはリーフシードラゴンも見事過ぎる擬態!ストーリーもそうですが、何だかこっち方面を勉強してみたくもなった。
地元の事情も色々あるとは思いますが、確かにこの自然は守られ続けて欲しい…。
思いの外ヒヤッとさせられる場面もあるし、なんなら地元の海を守り続けたいドラと広い世界を見たいアビーの軋轢を主軸にしたストーリーも観てみたいとも思った。
ずっとここに居る…ドラの人生はブルーバックそのものだったんですね。
そして最後のBLUE BACKのタイトル、ここへ来て漸くタイトルに込められた二重(…三重?はたまた四重…もしかして5重⁉)の意味に気づいた。遅いですね(笑)
オーストラリアの海に沈む美しい夕日と終わりゆく年を重ねながら、今年最後を飾るに相応しい作品だった。
彼女が守った海
この映画に登場するブルーグローパーとは少し違うが、かつてYouTubeで観たダイバーと心を通わせ続けるコブダイの存在を真っ先に思い出した。
どちらも巨大で長寿な魚であることは同じで、そのいかつい見た目とは対照的な愛くるしさと、人と魚が交流することが出来るのだという驚きの事実に感動させられた。
しかしどちらも美味な魚であるという点も共通している。
観終わってから非常に複雑な気持ちにさせられる映画だった。
この映画は海洋学者であり環境活動家でもあるアビーの目線によって語られるのだが、彼女の生活が自分とは全く無縁の世界だと思っていたことに気づき、何とも言えない居心地の悪さを感じてしまった。
漁師が魚を獲ることによって我々はその恩恵を受けているわけだが、一方で乱獲によって環境が破壊されているという事実もある。
そして開発によって貴重な生き物の住処が奪われているという事実も。
アビーはオーストラリアの海でサンゴの生態を調査しているのだが、ほとんどのサンゴが白化してしまっている事実にショックを受ける。
そんな折、母親のドラが脳卒中で倒れてしまったと連絡が入る。
何とか一命は取り留めたものの、ドラは口がきけなくなってしまう。
彼女は母親の姿を見つめながら少女時代を回想する。
初めてのダイビング、そして初めてグローパーの「ブルーバック」と心を通わせた瞬間。
無骨だが憎めないはみだし者の漁師マッカとの出会い、そして突然の別れ。
彼の死によって故郷の海が荒らされ始めたこと。
熱心な環境活動家のドラが必死で故郷を海を守ることを訴えていたこと。
そして故郷の海を守りたいと願うドラと、世界の海を守りたいと願うアビーの間に亀裂が生じ始めたこと。
アビーの危険を顧みない行動によってブルーバックは救われたが、それ以降姿を見せなくなってしまったこと。
映画の終盤でドラの尽力によって故郷の海が環境保護区になっていたことが明らかになる。
アビーとドラは離れ離れになってしまったが、ドラはずっと故郷の海を守り続けてきたのだ。
誰かが声を上げなければ、失われてしまう自然はまだまだあるのだろう。
故郷の海にクジラが戻って来るクライマックスは感動的、そして久しぶりに故郷の海にダイビングしたアビーが目にしたものも。
海の青の美しさと対照的に、人間の行為がとても恐ろしく感じられる作品でもあった。
おすすめ枠。海が好きな方はぜひ&2023年よかった映画・映画館(終)
今年442本目(合計1,092本目/今月(2023年12月度)43本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
この映画は原作小説が存在するのですが、amazonでも購入できないようです(今時のキンドル版にもない)。古本屋さんに行ったらあるのかな?
テーマとしては海洋国であるオーストラリアを舞台に、海洋を守ることと、海洋地帯を何か工事してリゾートでも作るの?という会社との争いを描きつつ、海の多様性等について触れた環境法(行政法の一分野)に分類されうる映画です。といっても一般的な知識以上のことは求められないので大丈夫です(法律ワードはいくつか出るが、みなくても大丈夫)。
日本では趣旨は若干違いますが…。リアル日本ではリアルファイトと化していますが…「沖縄のサンゴを守る」というところと「部分的に」一致している点があり、この点では明確に海洋国である日本と重なる点があって、その「つかみ」の部分では島国であり海洋国である日本では共感を得やすいと思います。また、日本では見ることができない魚などもいっぱいでますし、日本の「汚い」海ではおよそ「エンジョイ」できそうにない海中シーンなどは見所といったところでしょう。
こうした活動にベクトルは違いながらも活動していく2人のもとに、そこで何かリゾートでも作るんだとかって言い張る会社との衝突に打ち勝って、海を守ることができるのはどちらでしょう…という趣旨の映画です。
ストーリーはこうした点に論点があたっているので展開の読み方が楽で、その「悪役」というか「謎の会社」(あの会社、そこで遊園地でも作るんでしょうか…)のやることもそんなに「ひねくれていない」ので、見やすい(換言すれば法律・裁判ネタをあまり意識しなくてもよい)という映画でおすすめです。
採点にあたっては以下を考慮しましたが、4.8以上あるのでフルスコアにしています。
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(減点0.1/エンディングロールが極端に早すぎる)
・ この映画が小説をテーマに持つことに始まり、この映画、実は「魚を殴る」という珍妙なシーン(タコやイカを殴るならまだ理解できるが…)がある割に、エンディングロールが極端に早すぎて、それらの断り書き(動物は傷つけていません、とか、著作権で守られているから勝手にコピーするなとか何とか)がほぼほぼ見えなかったのはちょっと残念でした(英検準1持ちでもきついので、多くの方には厳しいのではと思います。もっとも、一般指定のこの映画で「実は魚は殴っています」ということにはならないはず)。
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(参考/減点なし/2023年の映画館の変化)
・ 多くの方にとって大きな変化となったのが「鑑賞料金の値上げ」でしょうか。もっとも、余りに値上げすると映画離れが進むという悪循環を抱えるので、多くの映画館が追従はしつつも(100円値上げ)、映画館の会員になったりすると常に300円引きなど、「できるだけ従来の値段と変えない」ように「見せかける」ような工夫も見られます。
もっとも私は重度身障なので、常に1000円で見られる(アニメ等一部の作品除く)ので無関係なのかな…と思いきや、やはり映画館のサービスというのはどこも厳しいようで、ポイント制度がなくなったり(大阪ステーションシネマ)、ドリンクの一斉割引がなくなったり(シネマート)、少しずつ「サービス低下」があるように思います。
一方で映画館の客単価という観点では仮に重度身障等の方が入ってきて1000円で埋まりつくすということがまずもってないので誤差の範囲であって、映画館からよく言われるのは「帰りに関連グッズ等買ってもらえれば」「コンセッションでジュース、お菓子など買ってもらえれば」という点であるとよく聞きます。映画代は1000円にせよ2000円にせよ、「映画館の取り分」と「配給会社の取り分」があるところ、グッズ関係は映画館の「取り分」が多いとされるからで、グッズをお勧めすることで客単価をあげようとしているわけです。
ただこの点に関しても、パンフレットを数冊置いて「購入することは前提にしたうえで確認のために中をご覧ください」などとあるtohoシネマズ系と(ここは2022年にはなかった)、「購入するまでわからない」映画館(シネマート、シアターセブンなど)もあり、特にパンフレットは700~1500円くらいし、パンフレットなりの値段が積み重なると映画1本分の値段に匹敵するので、「ある程度は」緩く見て欲しいなぁ(非常識なことをする客はかえってもらうとして、常識的な範囲でパンフは立ち読みできるようにしてほしいな)といったところです。
私の今年の書き込みはこれで最後になります。
来年もよろしくお願いします。
青アザパンチ
母親が脳卒中で倒れたとの連絡を受けて、帰郷した海洋生物学者の娘が、言葉を話さなくなった母親と再会し過去を振り返る話。
9割は主人公が8歳から15歳の頃の話で、どうやら素潜りでアワビを採って暮らしていたらしき母親とのことをみせていく。
巨大グルーパーとの出会いから、環境活動家でもある母親との関係と乱獲やらリゾート開発やらとのエピソードをみせていく展開で、なんだか主人公の外観が某環境活動家にみえてきたwそんなに極端なことはしてませんがね。
オーストラリアだけあって、クジラがーとかはやっているけれど、まあそこに特化しているわけでもないし面白かった。
ただ、終盤母親が急に喋って、はぁ!?という感じはあったかな。
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