ジョージタウンのレビュー・感想・評価
全4件を表示
悪役商会ヨーロッパ支局長
久々のクリストフ・ヴァルツ(ドイツ系なんだかワルツじゃなくヴァルツと書きたい)出演、しかも監督・主演作。ほんとこの人、悪役を演じるとイキイキしてるね。悪役商会ヨーロッパ支局長に任命したい。
いや、もうあの物腰柔らかでにこやか、でも目が笑ってなくてコワいけどなんか哀愁もあるあの佇まいでスクリーンに映るとそれだけでワクワクしちゃいます。ヴァルツ本人に★4つ。
ドイツ生まれの無責任男
「イングロリアス・バスターズ」のラング大作役で知られるクリストファー・ヴァルツが主演・監督を務める。
イラク戦争で現代の「アラビアのロレンス」と呼ばれる活躍をしたと嘯くドイツ系の男モット。妻殺しの容疑者とされた彼の、虚飾に塗れた驚愕の足跡を追う犯罪サスペンス。
何ら実績もなかったドイツ系移民の男が、高名なジャーナリストで資産家でもある未亡人を口説いて、まんまと結婚に漕ぎつける。
彼女の名声とコネを使って、次々と政府機関や軍関係者に名前を売り込み上りつめていく様がただただ驚愕。アメリカもある種のコネ社会であることの皮肉だろうか。
調子良く立ち回り自分を尊大に演出してコネクションを築いてのし上がっていく様は、無責任シリーズの植木等をどこか彷彿とさせる。
驚くのはこの話が、ほぼほぼ実話に基づいているとのこと。エンドクレジットでは、モデルとなった男のその後も語られている。
ハリボテ武装
社交界の著名人である91歳の女性エルサが自宅で亡くなり、容疑者となった息子程歳の離れた再婚相手の話。
自宅パーティ後に深夜の葉巻き&散歩タイム、そしてエルサの死と始まって、エルサとモットの出会いに戻り今に至るまで見せていく。
エルサの人脈をフル活用し、政財界の代理人だか仲介人だかに成り上がっていくけれど、仕事、経歴、立ち居振る舞い、全てが胡散臭くて仕方ない。眼帯って…w
そしてNYのホテルからの出来事も、ここまで来ると火のないところに煙を立てるマッチポンプとしかと思っていたら…。
どこまで事実かわからないけれど、こんなことが出来る能力を上手く活用していたら凄い人だったのかなとも感じる。
映画としてはうまいこと時系列弄ってサスペンスに仕立てているものの、サスペンスとしては余り意外性がある感じでもなく、どこまで積み重なっていくのか?という面白さというか気色の悪さだよりという感じだし、法廷劇としての見どころは無くて盛り上がりには欠けた。
クリストフ・ヴァルツ様 ㊗️初監督💐おめでとうございます
すごく面白かったです。
役者としての自分を知り尽くし、俳優ヴァネッサのありとあらゆる表情、特に一筋縄ではいかない強さと怖さを引っ張り出したクリストフ、見事としか言いようがありません!映画館で見ることができて幸せです。
胡散臭さとよい滑舌、それにヨーロッパのいけずと優雅を振りかけてみんなをその気にさせてしまうペテン野郎=モット!この映画では英語以外の言語を封印してましたね、クリストフ。章立てがタランティーノ風であるのも好みでした。
クリストフをスクリーンの中で見続けながら彼の声に耳を傾け豊かな表情に魅入ることができました。国際レベルの知的セレブの世界へ、初めはおずおずと(うまい!かわいい!)そしてだんだんと自信を持って(嘘つき!図々しい!)食い込んでのし上がる様子はあっぱれでした。一方で、しずしずと妻のベッドまで朝食運搬、手慣れたディナー、美しい配膳、サプライズの乾杯挨拶とおもてなしも完璧、誰もが騙されてしまうでしょう。脳みそは批判が苦手で怠け者だから。
ヴァネッサ・レッドグレーブの知性的で好奇心たっぷりでかわいらしい表情と会話、美しいネイル、ドレス、笑顔。そしてきらきらと輝く瞳は、初めてあなたに出会った映画「ジュリア」の時と変わらない。今でも女優として働いているあなたは本当に素晴らしい。
大人の映画、会話を楽しむ映画でした。悪いことをしているのに正義感も憤慨も怒りもなく、たらーっと笑ってしまう。こういう映画をもっと見たいと心から思いました。
それにしても実話ベースとは!
全4件を表示