シチリア・サマーのレビュー・感想・評価
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美しいがそれだけではない。
事実を元にした映画だが、出来ればパンフレットの内容などの事前情報を入れないで先入観無しで観た方が良いかもしれない。 シチリアの風景がひたすら美しい。 そして二人の少年が友情を築いていく様がとても尊い。 反面、イタリアでも日本でも、ホモソーシャルがいわゆる「男らしくない男」を認めず馬鹿にし排除するえげつなさは同じ。現在でも「弱者男性」を自称する男性の殆どが、女を手に入れられる猿山のトップに立ちたいだけで、強い男だけが女を得られる構造そのものを変えたくなどないのに似ている。 キリスト教もイスラム教も、保守的になればなるほど家族を大事にすべきと思う反面、彼らの考える「家族」の枠にはまらない同性愛者や子供を産まない(産めない)女性を差別する。家父長制と保守性は近い関係にある。ニーノの家族はとても「良い家族」である反面、家族を脅かすと思った相手には誰より残酷なのだ。 主人公2人のように、互いへの尊重なくして健全なパートナーシップなどありえない、それは同性でも異性でも同じだ。
シチリアの影
シチリアを舞台にしている映画はフライヤーやポスターの時点でキラキラしている。 行った事ないけど地中海性気候の爽やかな天気から、陽気で明るい人たち、青い海、イタ飯、朝からワイン!のイメージが強く刷り込まれており本作も画はとても綺麗だった。 主人公2人もシチリアのイメージに負けないくらい綺麗な容姿なのだが、その綺麗さが後々展開される胸くそ悪いストーリー(しかも実話がベース)と相反し、余計に胸くそ悪さを増幅させている。 変わらない文化や伝統の影に「変えなければならないこと」が蔑ろにされてきたことを教わった。光あれば影ありだ。 こういう映画を見ると思うのだが、まともな性教育が出来ないのならせめて質の高い映画を観せてはどうだろうかと。中学生なら十分理解できる内容だし。
イタリアで実際に起きたヘイトクライム事件を描いている。ゲイと言うだ...
イタリアで実際に起きたヘイトクライム事件を描いている。ゲイと言うだけで、親でさえも拒絶されると言う…とても良い作品ですが、胸が痛くなります。殺された2人が天国で仲良くしてる事を願うばかりです。一言言いたいのは、マジョリティが、マイノリティをいいんじゃないかと決めるものではない、ただただ普通に存在する事に尽きると思う。
ジャンニがニーノへ向ける視線。ニーノがジャンニを見る視線。それぞれ...
ジャンニがニーノへ向ける視線。ニーノがジャンニを見る視線。それぞれの母親が息子を見る視線。トトの視線。周囲の人達の視線。視線が雄弁な映画でした。
過渡期
いまではようやくLGBTQなんて言葉も一般に知られるようになってきて、当事者の人たちが街中でデモ行進したり、法制化を訴えたりと声を上げれる時代にはなってきた。でもまだまだ課題は山積してるけど。 本作はいまから40年以上前のシチリア。見るからに閉鎖的な田舎町となれば、当時同性愛者の人たちの苦悩はひとしおだったろう。今みたいに自己主張できるどころかそんな兆候が少しでもあれば矯正施設に入れられるくらいなのだから。本作のジャンニみたいに。 前半は結構緩い展開が続いて少々退屈だったけど、ジャンニのことがニーノの家族に知れてからが怒涛の展開で一気に物語は重くなる。ここまで周囲の人が同性愛者に対して拒絶反応示すんだとあらためて思い知らされた。まるで魔女裁判のごとく、一家の恥さらしであるかのように責められるニーノ。 こういうのを見せられるとやはり当事者の方のつらさがどれほどであったかが痛いほどわかる。結局二人の犠牲がきっかけで同性愛者に対する対応が改善されることになったんだけど、犠牲者が出ないとやっぱり変われないのかな。 固定観念に縛られた人々の意識を変えるにはやはりすぐには無理で徐々に変えていくしかないのかも。古い世代がまるまる新しい世代にそっくり入れ替わるくらいの時間が必要なのかもしれない。それでも性的マイノリティーの人々にとって良い方向に進めばいい。 一人一人の人権は尊重されるべきなんだから、個人の性的嗜好などで差別されるなんて絶対あってはならない。 ちなみにジャンニ役の子、錦戸君に似てたなあ。さわやかな笑顔が素敵だった。
決して腐女子向けのボーイズラブ映画ではない。恋愛の対象が男性だというだけで殺された実話らしい。
最初のほうで、ジャンニが同性愛であることを揶揄される場面がある。だけど上映時間2時間15分のうち1時間30分はキスはおろか手さえつながない。事故のときは人工呼吸だ。僕には2人が恋人というよりは、気が合うティーンエイジャーがつるんで遊んでるようにしか見えなかった。 予告編では2人が恋人だと言っている。特に前半は、イタリア美青年(少年?)2人のラブストーリーでもあり、風景明媚な夏のシチリアを背景に2人がとても楽しそうだった。 とにかく、前半2人は余りにも幸せだ。それが後半、恋愛、性の対象が同性だから許せないという理不尽な理由で否定され殺される。 かなり後半、ニーノの家族が2人が恋人であることを知る。そこからの同性愛憎悪の描写が凄まじい。同性愛は存在自体が許されない悪で、殺しても構わない、いや殺さなけれならないという考えだ。存在が否定される。ジャンニに嫌がらせをしていた奴らが立ちすくんで呆然としてしまうほどの憎しみと暴力だ。結局2人は殺されてしまう。 殺してしまうほどの憎悪は、宗教の教えが人生と密着してて生きる指針になってるからなのか? 僕は無宗教の人が多い日本のことしか知らないので、人生と宗教が不可分というのがサッパリ分からない。 イタリアはカトリックの総本山バチカン・ローマ教皇庁がある。ローマ教皇のお膝元、地元だ。カトリック教徒が多く、ローマ・カトリック教会は同性愛を罪としている。 モーゼさんは10Fで 「殺っちゃダメよ」とも言ってるのに。
内容にもう少し深みが欲しい
ニーノとジャンニの関係性があまりにもあっさり描かれ過ぎてるように思いました。ニーノがジャンニに興味を持っていく過程が薄い気がします。お互いのバイクがぶつかってしまうきっかけはいいのですがそれだけでそうなる?と思ってしまいます。
イメージですがイタリア南部の方が保守的で昔ながらの考えが多い気がします。故に同性愛に対して偏見が見られるのかと思いますしそこに家族愛が乗っかってくるとどうしても同性愛者には厳しく当たってしまうのでしょうか。それが度を越えると最悪死なせてしまうということもあるのかと。同性愛だと気づいた時の家族の反応が地獄の底まで突き落とされたかのように見えました。
全編にずっと家族愛というテーマがあったような気がします。ジャンニの母の恋人(継父?)がずっと同性愛者であるジャンニにきつく当たるのですが最後町の輩に痛めつけられている時に咄嗟に助けに入るあたりそこにはいかなる事情が絡もうともそれを超越した家族愛を感じます。逆にニーノに温かい愛情で接していた家族がジャンニに恋愛感情を抱いていることに気づくとそれまでの態度が嘘かのようにニーノに対して厳しくなってしまうことが善と悪の逆転現象にも見え根深い愛と憎悪が一瞬にして変わってしまうんだなと考えさせられました。
結局のところ二人はまた愛し合うことになるのですが物事の成り行きに深みがあればもっと良かったのにと思ってしまいます。
絶句
実際の事件を元にしているからか妙な生々しさがある。終始美しいのに時折ドロっとした現実性を感じる様な。観終わった瞬間はどう考えてもバッドエンドだと思ったけど、もしかしたらハッピーエンドだったのかもしれない。
時代もあるよね...
はぁ... 彼らは、どうしたら良かったんだろうね... 40年前だから、余計に難しかっただろうな... ふたりで、どこかに逃げてしまえば良かったのに... 実話ということで、彼らを悼み慈しみ、 とても丁寧に、優しい目で撮られた作品だなーと思いました。 シチリアの風景、街並みが非常に美しく、 さらに少年ふたりの美しさも重なって、 視覚的に眼福で魅力的で、音楽もとても良く、 気持ちは高まるのですが... だから、余計にこの結末は、やるせない気持ちになります...。 母親ふたりの息子を大切に思う感情の演技が素晴らしかったです。
同性愛がダメな理由
何故同性愛がダメなのか。 政治家が言うには生産性が無いかららしい、子供出来ないでしょ、人口増えないから国家の生産下がるでしょ。 って理由らしい。 じゃ性的不能な人とか子供作れない体の人も不要なんじゃん、俺の親とかもうそれ出来ないし、知人とかゲイと子宮摘出者居るし、俺も未婚で一生独身やるつもりだけど。 政治的には全員ガス室送りですかね? 一部のキリスト教信者に言わせると聖書に居ないかららしい、男アダムと女イブ以外は間違いらしい。 え?聖書読み方フリー過ぎかよ。 じゃあアメリカ南部に多く見られる聖書そのまま信じる原理主義が正しいんか、聖書にゃ黒人も居ませんけど?家畜の後に人間生まれたて書いてますけどw 人居ないのに家畜てww なんすよ、根拠探しても出て来ないんすよ。 冷静に思えば同性愛を否定する理由なんか世界の何処にも無いんすよ。 昔、上岡龍太郎が、そんなもんコーヒー好きか紅茶好きかみたいなモンやん、個人の自由やんほっといたれよ、て言っててカッコよかったな。 この子の性別はこのこが決めます、って言った神田伯山の嫁カッコいいぞ! この映画ラストテロップで表示されるけど、70年代イタリアの田舎の出来事らしい。 日本じゃその頃、左利きの子供を無理矢理右利きに矯正してたなあ、世界中全員幼稚でアホだったんだなあ。 シチリアサマーから50年近く過ぎたぞ、ちょっとづつだけど世界は理解を示してるぞ、日本じゃ左利きローカルルールも無くなりつつ有るぞ。 でもまだアホが世界中に居て差別は無くなって無いぞ。 シチリアサマーの2人なんか優しくてキラキラしててステキだったのになあ。 世界はまだ着いて行けて無いよゴメンね。
予告に騙された感
君の名前で僕を呼んでくらいから同じような一見すると古きよき時代のオシャレな感じのゲイ映画が増えたけど、本作は割と酷い出来だと思う。実話を元にしているようだけど、脚本、演出、音楽のどれもが良くない。ストーリーはありきたりで、結末も大体想像通り。ジャンルというより、映画そのものが面白くないのでオススメしません。
友情のような愛情
実話だったんですね。2人は友情から発展したのか、元々がそうだったのか、そこが知りたい。
少なからずニノは元はノーマルだったのでは?
昔だからLGBTQには勿論理解がない時代。こんなにも差別を受けるとは、、、
分かるような、悲しいような、複雑な気持ちになる。
もう少し純愛ラブストーリーかと思ったが、割とシリアスな内容だった。
面白かったような、そうじゃなかっような、、、
ラストはちょっと衝撃
誰が、、、
得点者はロッシ 、タルデッリ 、アルトベッリ
扱っているテーマから『怪物』や『CLOSE』を思い出してしまうのだが、カトリック圏の保守的な地方が舞台であるだけに主人公達に向ける「普通の」人々の嫌悪感が最も露骨だ。 貧しさ故に身を寄せ合わなければならない閉鎖社会ではその結束が容易に排他性に結びつき、排他的行動によって団結を強める。こういう悪循環は教育現場でのある種の問題と通底するのではないか。 問題は、迫害される理由が同性愛である事ではなく、迫害する理由が弱者虐めの邪心である事でもなく、いわば無知に基づくある種の善意みたいなもの(コミュニティを守りたい!という意思)が彼らを殺したのではないか?という事だ。 理解者がちゃんといるよ、と見せかけておいてのあのエンディングは、母の愛も神様も助けにならない、救いのなさ、というイタリア映画のお家芸全開。
シチリアだった
ジャンニとニーノ二人がキラキラ輝いていた。ジャンニは辛いこと抱えている分、ニーノはまっすぐで素直で大家族に愛されて賢くて本当に優しくていい子だ。ジャンニがママを大切に思い一緒にダンスする場面がとても好きだ。まだ若くてできないことばかりだけれど、ママを救い出して二人で自由に過ごそうというジャンニの思いが純粋だった。ママはジャンニを愛しているからこそ、ニーノ、ニーノのママや家族のことを思ってしまう。 バールの前でうろついている奴らには本当にむかついた。ああいうホモソーシャル不良というか半グレ(?)というのは本当に苦手だ。サッカーWMの老若男女のあの反応も苦手。 まだ10代の二人の恋は可愛い。一緒にいるだけで嬉しい。にこにこと微笑みあって手をつないでいるだけで幸せ。こういう気持ちは男女、女女、男男、どの組み合わせでもあると私は思う。 シチリアのいろんな所で撮影したんだろう。少ししかわからないけれど言葉も含めてあちこちにシチリアを感じた。そして事後、周りと社会が変わった、ということに私はそうか、変わるのかと思った。80年代、ソーシャルメディアもまだない頃、イタリアでも保守的な地域でその事件をきっかけに「彼ら」を守る意識、そしてグループができたことに驚きと感動を覚えた。 日本で可能だろうか?どんなに悲惨なことが起きても日本でそういったムーヴメントは起きるんだろうか?私はとても悲観的だ。イタリアはカトリックだからと言う人はいるけれど、そのイタリアの同性パートナーシップは日本のよりも正式な婚姻にずっとずっと近い。フランスもスペインもカトリックだけれど同性結婚をとっくに可能にした。日本は男色という歴史的文化的背景があるからなのか、それを犯罪にできなかったんだろう。(だから?)その後、60年代以降であれ、80年代、90年代以降であれ、皆が幸せになる権利がある、に日本は目を背け今に至る。隠しておけば百年だって続けられるなんて考え、もうやめろよ!
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