「怒りと暴力のなかで、ひっそりと芽生えた“自由な愛”」シチリア・サマー 月乃さんの映画レビュー(感想・評価)
怒りと暴力のなかで、ひっそりと芽生えた“自由な愛”
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気性の荒い人々、怒鳴り声、支配、暴力。
この映画の世界は、愛を育むにはあまりにも過酷だった。
ジャンニとニーノは、決して「社会から理解されないから不幸だった」わけじゃない。
あの世界では、そもそも感情を静かに育てる余地がなかった。
サッカーの試合で怒鳴り散らす家族、支配する母親、黙認する大人たち。
そんな中で出会った二人の繊細な感情は、最初から「壊される運命」にあったようにすら思える。
銃声のあとに残ったのは、自由を求めた少年たちの残響だけ。
こんなにも切なく、やるせない結末はない。
「君の名前で僕を呼んで」や「Summer of 85」と違い、
これは**“環境”が愛を殺す話**だった。
そしてそれは、今の世界のどこにでも起こりうる現実かもしれない。
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