「【”君の隣に居られるのは、僕しかいない。”1980年代の一夏、シチリア島でバイクの事故をきっかけに出会った二人の男子の友情から恋が芽生える様を描いた、哀しくも美しい作品。】」シチリア・サマー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”君の隣に居られるのは、僕しかいない。”1980年代の一夏、シチリア島でバイクの事故をきっかけに出会った二人の男子の友情から恋が芽生える様を描いた、哀しくも美しい作品。】
ー クイアの資質を持つジャンニと、バイク同士の事故で知り合ったニーノ。気を失っていたジャンニの口からニーノが息を吹き込んだ時から、二人の友情は始まり、徐々に恋心に変わって行く。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ジャンニとニーノの10代の二人の美しい顔と、彼らを取り巻く環境が実に鮮やかに描かれている。
・ニーノは咳が酷い花火師の父を気遣い、彼の代わりに祭りの際に見事に花火を打ち上げ、父から認められるシーンの夜空の美しい花火と彼の嬉しそうな顔。そして、ニーノは、バイク事故で知り合ったジャンニを家族に紹介する。
・そして、ニーノは採掘場の仕事を彼に嫌がらせをしていた若者が来たことで辞めていたジャンニの為に、一緒に花火の仕事を始めるのである。
■だが、二人の関係が親密になるにつれ、人の噂が広まって、ニーノの母カルメラにジャンニの性癖が伝わり、ニーノの母がジャンニの母リーナに電話をするシーンから不穏な空気が漂い始めるが、物語はあくまで二人の仲を焦点に描いて行く。
・Wカップサッカー、イタリア優勝シーン。ニーノの弟トトが、冒頭は臆病な子供だったのが、教えられながらウサギを撃ち殺すシーン。
■だが、私の記憶だとイタリア南部は封建的な土地であり、同性愛者に不寛容な土地柄であり、名誉殺人も許容されていた・・。
<ジャンニは、母や一部の街の人達から手荒い扱いを受け部屋で過ごしているが、イタリアの優勝で歓喜に湧く人達の中、久しぶりにいつも二人で遊んでいた秘密の湖で遊び、大岩の上に二人並んで寝転がり・・、乾いた銃の音が二発鳴り、暗転する。
今作は、美しきイタリアの風景、そこで生きる人々を背景に、偶然に出会い友情を育み、その思いが恋に変遷していく過程を美しくも哀しみを持って描いた恋物語なのである。>