劇場公開日 2024年3月8日

「余りにドンデン返しの描き方が強引なところも多々ありますが、娘が父と和解するシーンはなかなか感動的でした。」映画 マイホームヒーロー 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5余りにドンデン返しの描き方が強引なところも多々ありますが、娘が父と和解するシーンはなかなか感動的でした。

2024年3月14日
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映画『マイホームヒーロー』作品レビュー

 講談社「週刊ヤングマガジン」連載の人気コミックを原作とする、2023年放送のテレビドラマ「マイホームヒーロー」の完結編となる劇場版。
ドラマでは、どこにでもいる普通の父親が娘の彼氏を殺してしまう衝撃の幕開けから、彼氏が所属する半グレ犯罪組織との【命がけの騙し合い】が繰り広げられました。

●ストーリー
 愛娘・零花(齋藤飛鳥)に危害を加えようとした彼氏である麻取延人(内藤秀一郎)を殺害し、彼が所属していた半グレ犯罪組織・間野会と命がけのだまし合いを繰り広げたサラリーマン・鳥栖哲雄(佐々木蔵之介)。彼は延人を殺しただけでなく、息子の行方を間野会を使って執拗に追い回していた延人の父親の義辰を自殺に追い込み、遺体を山中に埋めたのです。
 7年後、哲雄が山中に埋めた義辰の遺体が土砂崩れによって発見され、警察官となった零花は哲雄に疑いの目を向け始めます。一方、死体とともに消えた10億円の行方を追う間野会のボス・志野寛治(津田健次郎)は、再び哲雄に狙いを定めます。さらに、かつて哲雄の罠にはまって延人殺しや組織の金の持ち逃げの罪を着せられた間島恭一(高橋恭平・なにわ男子)も姿を現します。
 再び標的&容疑者になった父。そして、父の罪を知らずに刑事になった娘は、事件の真相に迫っていくのでした…。

●解説
 おそらく数分おきにやってくる主人公哲雄におこる絶体絶命のピンチ!しかも哲雄はスーパーマンでも格闘家でもなく、一介のサラリーマンなのです。そんな彼の武器は、普段趣味で書いているミステリー小説の知識。それを駆使して、自分に降りかかる火の粉を、アッと言うドンデン返しで、切りぬけていく展開が痛快でした。ドンデン返しのクライムサスペンスがお好きな方には、まさにうってつけの作品です。
 但し、余りにドンデン返しの描き方が強引なところも多々あります。例えば、さっきまで敵対していた人物が、ドンデン返し後のネタバレシーンでは、実は内々に哲雄の協力者に変わっていたなんてことが朝飯前のように描かれるのです。そんなところを深く考えずに、何度も哲雄が追い込まれて、アタフタする状況とあっと驚く切りぬけ方を楽しむのが本作の正しい見方となるでしょう。

 それにしても劇場版では娘が父親を容疑者として追い込むことが喧伝されています。しかし実際は、そんなシーンは少なめでした。そもそも事件の発端は娘・零花が捲いた種であることは本人もよく自覚しています。
 なので哲雄を犯罪者に追い込んでしまったことを零花が心から詫びて、和解するシーンは、なかなか感動的でした。
 ところで原作と違って、ドラマ・劇場版ではなぜ間野会が零花と鳥栖家に目をつけたのかが伏せられたままなのです。
 原作によれば、鳥栖家には秘密があり、妻の歌仙(木村多江)は、群馬県のとある山の中に存在し、予言や託宣などを行うことができる巫女「オガミメ」を信仰している神道系カルト教団の跡継ぎだったのです。そして教団の莫大な遺産が相続されるという情報をキャッチした間野会が零花に接近したことが本当の事件のきっかけだったのです。
 間野会のNo.2で殺し屋の窪(音尾琢真)は、原作では零花を追い回したあげく、教団に匿われた彼女を巡って、教団本部のある山中で教団員と激しい戦闘状態となります。
 傭兵経験を活かした窪は驚異的な身体能力と教団関係者から奪った銃や斧を使い、たった一人で村の教団関係者ら180名以上を殺傷したのですが、それは原作でのお話し。こんな大迫力シーンは、ぜひ劇場版でぜひ触れて欲しかったです。

 ところで本作を鑑賞する前に、ドラマ版の予習をお勧めします。全10話を95分にまとめたスペシャルドラマは、17日までTverで見ることができます。圧縮されている分、展開のスピード感が強調されて面白かったです。
【前半】ドラマ「マイホームヒーロー」スペシャル
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【後半】ドラマ「マイホームヒーロー」スペシャル
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公開日 :2024年3月8日
上映時間:117分

流山の小地蔵