52ヘルツのクジラたちのレビュー・感想・評価
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☆☆☆☆ 原作読了済み。 これは先日に観た『夜明けのすべて』と同様...
☆☆☆☆
原作読了済み。
これは先日に観た『夜明けのすべて』と同様に、原作を補完した脚色部分で、「なるほど!そう来るか〜!」…と思わさせる、なかなかの脚色が秀逸な作品でした。
原作を読み始めた際に。中盤までに描かれていた主人公の過去の苦悩と共に、偶然に知り合った《少年》との出会いが。実は、お互いに発していた【周波数】が一致した事による必然の《52ヘルツ》だった…との辺りは、読みながら引き込まれて行きました。
この辺りの筆力は、流石に本屋大賞に選出されただけの内容だと思いました。
特に、主人公で有る《キナコ》が、《アンさん》とゆう《男性》と出会い、その苦悩を氷解して行く辺り。
…が、しかし。主悦とゆう〝 王子様 〟が現れ、《キナコ》はシンデレラとなり、、、と行った展開への移行は。如何にも、この後に起こるであろう〝 悲劇的な予感 〟 を感じさせ。この中盤辺りまでは一気に読み進めてしまった程でした。
映画は、そんな前半から中盤にあたる部分を一気に走り抜ける。
その為に、原作の前半から、中盤に至る《キナコ》が回想する。《アンさん》や、《美晴》が《キナコ》の発する【52ヘルツ】を、キャッチしてくれた時の楽しい想い出は。《主悦》によって、ドンドンと壊されて行く辛い記憶となり。映画本編では、後半に向けて少しずつ明らかになって行く展開へと改定されていました。
実は、原作の中盤辺りまでは↑で記した様に、とても面白く読んではいたのですが。それが後半にかけて少しずつ興味を失くして行ってしまったのでした。
(原作では)それは、《美晴》が再登場し。或る人探しを始める展開へとなるのですが。《少年》の名前が解らないから(原作では)「52」と呼び始めるのです。
元々原作では、直ぐにこの少年の名前は《愛=いとし》とゆう名前で有るのは描かれているのですが。原作では《キナコ》と《美晴》はずーっと「52」と呼び続けるのです。
この辺りから感じ始めた、ちょっとした違和感が。《少年》にとって、とても大事な人探し旅行の展開へと進んで行くに従い、その違和感が少しずつ拭えなくなってしまったのでした。
それだけに、映画本編では。原作の前半から中盤にあたる《キナコ》の〝 過去の出来事 〟を、じっくりと描く映像化の流れは。観ていて、とてもしっくりと来る展開に思えました。
何しろ、その流れによってはっきりと分かるのが。実はもう1人(孤独な)【52ヘルツ】を発していた人物が居た…とゆう事実。
それを、磁石のプラスとマイナスの様に。両極が惹きつけ合う事に繋がったのだ…と。
この辺りで何度もウルウルとさせられたのには、脚色の優秀さも勿論なのですが。何よりも、成島監督による演出力の力も大きかったのだと思えます。
とは言え。それによって、原作が描いていた《少年》の置かれた立場の弱さで有り。【児童虐待】や【育児放棄】と言った問題提起を示す部分が。若干薄まってしまっている感が、少なからず有るのは、痛し痒しと行ったところでしようか。
出演者の中では何と言っても杉咲花の素晴らしさでしよう。
思えば、初めて『トイレのピエタ』を観た時に。「凄い子が現れた!」と思ったのでしたが。その後の成長力が、もうちょっと半端ない!
今日現在で、評判の高い『市子』は未見なんですが。明らかに、同世代の女優さんの中ては、頭1つ抜きん出ている気がします。
…と書き込みつつ、正直に言うと。思わず号泣してしまったのは余貴美子の演技でした。
原作では、この《アンさん》の母親にあたる人物像は、ほんの少ししか描かれてはいません。
そんな人物像を、映像化に於いて肉付けしているのですが。この余貴美子の存在感によって、《アンさん》と《キナコ》の間に訪れる悲劇が、何十倍にも増幅されていた…と感じられるのです。
ちょっと間違えてしまうと、単なる下世話な展開では有るのですが。余貴美子の深みの有る演技力によって、決して下世話にはならず。《キナコ》と《アンさん》との間に存在した【周波数の合致】
更には、それにより。一度ならず二度も失意の底に沈んでいた《キナコ》が。《愛》とゆう新たな【周波数】をキャッチした事で。3人による孤独な叫びは、強固なトライアングルの絆によって救われる、、、それをしっかりと描き切る。この成島監督の確かな演出力を始めとして、脚色で有り、編集のリズム感や撮影等、、、
「いい映画を作ろう!」
…とゆう、スタッフみんなの気持ちが、充分にスクリーンから伝わって来る。その素晴らしさ等に感動させられてしまったのだと思います。
(実際に、ベランダ等での静謐なカメラワークで有ったり…と。ファンタジー的な演出等は本当に良かった)
出演者についてもう少し。
育児放棄する母親役に西野七瀬。
『孤狼の血』の頃からこの手の悪女役をやる様になった印象。
ちょっと前にはこのポジションには【菜々緒】とゆうちょっと高い壁が有った。
その菜々緒が、最近ではその強めのキャラを封印しつつ有る現在。今こそ、このポジションでの存在感を上げておけば、単なる可愛子ちゃんキャラでは無く、息長く活躍出来る可能性が有ると思える。
志尊淳は見てる内に段々と〝 らしく 〟 見えて来た。
ググったら、以前にも似たような役を演じていたのだとか…成る程。
宮沢氷魚の演技は、この手の悪役タイプとしてはやや類型的だっただろうか。その辺りがちょっと残念。
(関係ないのだけれど、数年前の『流浪の月』での横浜流星はとても良かった)
原作を読みながら、村中のお祖母さん役に賠償美津子をイメージして読んでいたら。まさかの本人登場でビックリした。
やっぱりそう感じるキャラクターだよなあ〜…と。
ちょっと残念だったのは、このお祖母さんは(原作だと)もの凄い男勝りでガンガン悪口を言うお祖母さん。
勿論、悪気は無いのだけど、ついつい言ってしまうタイプの人。
その様に、原作に描かれていた雰囲気では。当初は、若者の意見は〝 聞く振り 〟をするだけ…な感じだったのだが。タバコに火をつけた瞬間、一瞬《少年=愛》が恐怖に怯える。それを瞬時に察する事で、全てを飲み込む人物に描かれていた。
それによって、元々村八分的な扱いを受けていた(気がしていた)《キナコ》の孤独な周波数の叫びが、このお祖母さんの存在で《この排他的な地域で)受け入れられる。
それくらいに重要な描写だと思っていただけに。そのタバコに火をつける描写は是非とも入れて欲しかったところ。
(まあ、無いモノねだりでは有りますが)
それともう1つ、残念だったのは。原作には存在していた、品城祖父の存在。
元学校の先生だけに、一見して人格者に見えながらも、本質的には下衆なクソオヤジ!
こちらも原作を読みながら、柄本明をイメージして読んでいました。
映画本編では完全にカットされていたのですが。ウサギの皮を被った悪魔の顔そのもので微妙にボケている…とゆう複雑なキャラクターを。柄本明ならば巧みに演じてくれたのでは?…と、ついつい想いを馳せてしまう。
(最早、柄本明と決め付けてますが💧)
2024年 3月17日 TOHOシネマズ西新井/スクリーン1
貴瑚の過去といま
観終わって思ったのは、キナコとアンコの物語で良かったんじゃないかと感じた。
過去を振り返る形で物語は進むのだが、時間軸を振り返るのではなく、時間の流れるまま描いた方がよりアンコとの関係がより際立ったんじゃないのかなと思った。
その方がアンコの選択がより心に響く様に感じ、その後キナコが少年と出会うことで新たな物語へと。
「52ヘルツの鯨たち」 映画化された本屋大賞受賞作 原作と映画との...
「52ヘルツの鯨たち」
映画化された本屋大賞受賞作
原作と映画とのギャップにアレレと思うことが少なくない日本の映画ですが・・。
これは、なんの違和感もなく、ひたすら、泣かされました。
人寄せパンダキャスティングで、場違いなアイドルや俳優に頼りがちな邦画界(私だけの認識かも)ですが・・。
TVをほとんど見ない私には、倍賞美津子と余貴美子以外は全員初見のキャスティングだったことが幸いしたかも♪
とにかく、俳優陣の演技力に引き込まれました。
52ヘルツの叫びを受け取ることはできませんが・・劇中の美晴さんの様に・・救いを求める人の声には真摯に耳を傾けられる様にしたいものです。
※あの男の子は、いつから髪を伸ばし始めたのだろう?
あの長さだと、この映画を想定していたとは思えないのだけど・・。ウイックだったのかなぁ・・そうは見えないが・・。
※公開から2週間、もう、ナイトショーなどでの一日一本程度の上映になってしまっているのが残念。
興行主は、数字、単なる来場者数での上映判断をしないで、映画を観て判断を下して欲しいものだ。
52ヘルツのクジラたちの鳴き声‼️
説得力がない
本屋大賞の作品に説得力がないという評価は申し訳ないが。
親の暴力、そういう親への相互依存。
そこからの脱却が、どうなんだろう。
簡単すぎ。
依存からの脱却プロセスにもっと焦点を当ててもよかった
それは男の子についても同じ。
2人の毒親が単純な感じで設定してある。
2人の脱却プロセスもある種単純。
そして志尊淳の役を女性にさせるべきだった。
彼の肉体は男性。
LGBTQとわかってから、
回想の中の二人の姿に説得力がない。
テーマてんこ盛りでお腹いっぱい
虐待とトランスジェンダーを扱った作品。作品として大変見応えがあったのだが、それぞれもテーマとしてかなり重めな上に、両方というのはてんこ盛り過ぎてお腹いっぱい。自分としては少し消化不良に陥りました。
原作は読んだことがありませんが本屋大賞受賞作品?もう少しエンタメ寄りな印象が強い本屋大賞ですが、こういった重い作品も受賞しているのですね。
宮沢氷魚さん、こういうクソな役が本当に上手いです。役とは分かっていても本当に嫌いになりそう😠笑
舞台の九州(大分?)は素敵でした。
泣き要素ありですね😭
ここ最近で久しぶりに当たりました😆いや〜良かったな〜眠くならずに物語に集中できた。
最初はキコと愛(いとし)の物語なのかな〜っと思ってたらキコの過去が中心のお話しでした。
父親の介護と母からの扱いに疲れきって車に無意識に飛び込みそうな所を安吾が助けてくれた所から過去の話がスタート。
介護の生活からキコを助け出す安吾、キコはそんな安吾に惹かれ遠回しに告白するが…。
展開に引き込まれ「えー😱」と思いながら最後まで面白かったです。
後半から出てきた新名は最初は良かったが後半からは豹変し最低男に😢(キコがすごく可哀想でした)。
現代の時間の展開も愛(いとし)くんのために(過去の自分とも重ねていたのかもしれないが)行動してるのも最後まで気になるような流れで現代と過去の話が交互に進みながらも観やすかったです。
演者さんの方々も、元々志尊さんはお顔立ちが美しく役柄にも良い人選でしたね😌。
杉咲さんの演技はとても良かったです😭介護疲れの時代と自由になって表情が豊かになった所などキコに感情移入しやすかったです😆。
お友達の子もこんな親友いたら良いな〜と思いながら見てました。
最後に出てきた倍賞美津子さんは最初お姉さん❓(倍賞千恵子さん)と勘違いして姉妹なのを初めて知りました😳。
とま〜少し日が経ってからのレビューなので、まだ書きたい事があったかもですがこれぐらいであげておきます。
きなこ(キコ)は凄く可愛かったな〜😌。
髭を生やしている意味に納得
少しでも多くの方に観てもらいたい。迷っている人は観に行きましょう!
原作未読での鑑賞です。
話題になった原作小説、舞台が大分、主演が杉咲花さん、気になってましたが自分には苦手なタイプの映画化も...と迷っているうちに上映回数なども減っていき、都合が合うのが今日しかないかもと思い観に行きました。
結果、観に来てよかった!
虐待、ヤングケアラー、DV等々、重めのテーマ満載で過去と現在を行き来する流れですが、散らからずに分かりやすく纏まっており、入り込みやすかったですし、心が揺さぶられました。
また、役者さんたちが皆さん素晴らしい。特に主演の杉咲さんは本当にすごい方ですね。見るたびに思うのですが、杉咲さんの演技は、それだけでお金払う価値があると思います。
ただ、平日の夕方という時間帯だったとはいえ、とても客入りが少なく残念です。
本作はワクワクするような楽しい映画でも、キュンキュンするような恋愛映画でもなく、重いテーマが何重にも詰まった映画です。
苦手な方もいるでしょう。わかりやすく目を引く映画でもないでしょう。それでももっと多くの方に観てもらいたい。そんな良作です。
声を聞きたい
「夜明けのすべて」に引き続き、泣けると評判の本作。人生に絶望した人たちが再起していく物語。「市子」同様、今回も杉咲花の怪演が見れるので、それだけで大いに価値のある作品だと思う。今年の日本アカデミー主演女優賞は絶対彼女にあげるべきだったよね。
成島出監督の映画は結構苦手なんだけど、ここ5本くらいの中では好きなテイストだった。でも、社会的な問題を扱い、多くの映画がこれらをテーマにしているにも関わらず、この作品ならではの要素が無かったし、作りが荒くて無駄にハッピーエンドに終わらせる感じは、「いのちの停車場」や「ファミリア」と全く同じで好きになれなかった。別に、全部が全部お涙頂戴とか心温まる映画にしなくてもいいんだよ?
役者パワーはすごい。余貴美子の崩れるような泣き方には、心えぐられる。。。実力派俳優を集めているため、頼りにし過ぎている感はすごいするけど、現在→3年前→現在→2年前…といった時間を行き来する構成は秀逸で、おかげで登場人物に感情移入しやすかった。馴染みのある大分弁・長崎弁が出てくるってのもあるだろうけど笑 淡い青色の映像もものすごく心地がいい。
ただ、要素が多いがために尺が足りず、結局解決してないよね?と思う所が多々あるから、映画向きの作品ではないかも。映画にするにあたって、多少は削って欲しい。色々詰め込もうとすると、どれもこれも中途半端に終わってしまうからさ。その反面、市子ってすごくよく出来てたなぁ。1人主軸を決めて、そこから物語を展開していけば、造り手としても見る側としても気持ちのいい作品になるもんね。
杉咲花は「孤狼の血」の柚月裕子の小説を原作とする「朽ちないサクラ」、坂元裕二脚本の「片思い世界」への出演が決まってるので、楽しみで仕方ない。今年こそアカデミー頼む!
想像よりも。。
原作と比べると厳しいか
間違いない。最高傑作!
原作は2020年に発表されいるが、この映画の現在はいつを想定しているのだろう。本作のテーマはたった数年でも、世界はもちろん自分自身でも問題の捉え方が大きく変わっている。
それによっても映画の印象も変わる。
素晴らしい俳優陣・製作陣のおかげで、むずかしいテーマにも関わらず、押し付けがましくなく、不快感もなく映画の世界に入り込むことができた。
過去に辛い運命にあった不幸な人が、自ら不幸を呼び込んでしまうのではない。辛い運命を知っているが故、他人の辛い運命に手を差し伸ばしたくなるだけ。しかし、その解決方法が分からないから更なる不幸も呼んでしまうことも。
安吾にあとほんの少しだけ自身の本質を貴瑚に告白する勇気を持てたら…。その時点でも貴瑚に受け入れる準備はできていたと思う。
今は貴湖には花梨という親友がいる。一度は全てから逃げ出し関係を絶ってしまった。しかし間違いなく見守ってくれる親友がここに居る。その強い結びつきこそが「魂のつがい」。
そして貴瑚は少年に対してもそれを求めている。困難も乗り越えられることを願う。
…………
安吾の最期の場面はつらい。せめて直接的な表現は避けてほしかった。
本屋大賞は鉄板なんだが、、、、
本屋大賞は流石に外さない。
ひとりぼっちのクジラに掛けたマイノリティの話です。登場人物全員ある種のマイノリティ。
まあ人間どうせ死ぬ時は1人なわけです、あんまり魂の繋がりとか求めるとかえって孤立しますよ。
私親友とか居ませんが楽しく生きてます。
役者陣も素晴らしい。
子供より顔の小さい杉咲や志尊、宮沢、七瀬、皆んな全力で気持ちよかった。
絵も素晴らしい!初めの山を背負って自転車で駆けてくる絵とかほんと素敵。
しかしなんだろ脚本だろうか?原作だろうか?
クジラの話の入れ込みがこれみよがしで強調し過ぎだったり、こんな会話するかなと思うところがところどころあった。
まあ役者の頑張りと撮影部がそこらへんカバーしてたが、終わり方にしても全体に分かりやすくし過ぎかも、、と思った。
アンさんのあごひげ
不自然なあごひげにずっと目がいってて、メイクのレベルが低いな〜スタッフ〜スタッフ〜って思いながら見てて、不自然なあごひげの理由がわかった時に自分の考えが浅い事を痛感させられました、わざと不自然にしてるなんてスタッフ〜やりますな!。
多様な社会感、現在の悩みかなぁ
原作をさらに超える見事な映画化!
凄い映画でした!
町田そのこの傑作小説をさらに超える見事な映画化!
終わった後、ボーゼンとしてしばらく席を立てませんでした。これでもかと追い討ちをかけられるストーリーですが最後に希望があって良かった🐋
記者会見で志尊淳が杉咲花を日本の宝と言ってましたがまさにそれ。彼女の出演作にハズレなしですね。
余談ですが52ヘルツのクジラは実際に存在すると言われているクジラです。
アメリカ西海岸で1990年頃から10年以上にわたって観察されていた52ヘルツで鳴くクジラの声。
クジラの音域は1番広いシロナガスクジラで10〜39ヘルツ。なのでこのクジラの声は誰にも届かず「世界一孤独なクジラ」と呼ばれています。
(声は録音されているものの見た人は誰もいません)
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