ディズニー、AI企業に著作権侵害で警告書 スタジオのIP保護が本格化
2025年10月1日 18:30
写真:AP/アフロ米ウォルト・ディズニーが、AIスタートアップ「Character.AI」に対し著作権侵害を理由とする警告書を送付したと、米Deadlineが報じている。無許可でのキャラクター使用を問題視したもので、ハリウッドによるAI企業への知的財産権保護の動きが新たな段階に入ったことを示す事例として注目される。
Character.AIは、ユーザーがカスタマイズ可能なAIコンパニオンを作成できる「パーソナライズされた超知能プラットフォーム」を提供している。ユーザーはオリジナルのキャラクターを作成できるほか、既存キャラクターからインスピレーションを得たものも制作可能だ。その中には、スパイダーマン、ダース・ベイダー、モアナ、エルサといったディズニーの人気キャラクターも含まれていた。
Deadlineが入手したディズニーの弁護士からの書簡によれば、「Character Technologies, Inc.が、ディズニーの著作権で保護されたキャラクターを、許可なく商用のCharacter.AIサービスでインタラクティブなチャットボットとして使用している」と指摘。「明らかにディズニーの著作物で無許可に訓練されたCharacter.AIサービスには、ディズニーの著作物と商標を悪用し、ディズニーの有名で愛されるキャラクターの没入型バージョンを提示する無数のチャットボットが存在している」としている。
書簡はさらに、「これらの行為は、消費者、特に脆弱な若者を誤解させ混乱させ、ディズニーのキャラクターと交流していると信じ込ませ、ディズニーがこれらのキャラクターをCharacter.AIにライセンス供与し、その使用を承認していると誤って信じさせている」と指摘した。侵害しているチャットボットは、ディズニーのクラシックアニメ映画、ピクサー作品、「スター・ウォーズ」フランチャイズ、マーベル・シネマティック・ユニバース、その他の作品群の象徴的なキャラクターになりすましているという。
これに対しCharacter.AIの広報担当者はDeadlineに、問題のキャラクターは削除されたとし、「権利者から報告されたコンテンツの削除要請には迅速に対応している」と述べた。
Character.AIは、AI研究者のNoam ShazeerとDaniel De Freitasによって2021年に設立された。2023年には、Andreessen Horowitz主導で1億5000万ドルのシリーズA資金調達ラウンドを完了し、企業価値は10億ドルと評価されている。
今回の警告書は、ハリウッドがAIに対する法的措置を強化する最新の動きである。ディズニーはAI企業Midjourneyに対しても、ディズニー映画のAI生成キャラクターの不適切な使用と配布を理由に訴訟を起こしている。さらに今月、ディズニー、ワーナー・ブラザース、ユニバーサル・ピクチャーズは、中国のAI企業MiniMaxを著作権侵害で提訴。スタジオによる知的財産権保護の動きは、本格化の様相を呈している。
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