コラム:LiLiCoのHappy eiga ダイニング - 第11回
2011年1月28日更新
第11回:小泉今日子が永瀬正敏を説得した口説き文句
対談ゲスト:「毎日かあさん」小泉今日子
TBS「王様のブランチ」の映画コメンテーターとして人気のLiLiCoが、旬の俳優・女優から映画に対する思い、プライベートな素顔に至るまでを多角的に展開する対談連載「LiLiCoのhappy eiga ダイニング」。第11回のゲストは、「毎日かあさん」に主演の小泉今日子。漫画家・西原理恵子の代表作を実写化するに際し、かつてのパートナーだった永瀬正敏との共演でも話題の同作で、主人公サイバラに扮した小泉にLiLiCoが迫った。
LiLiCo(以下、リリコ):すっごく面白かったです!
小泉今日子(以下、小泉):本当? 良かったあ。
リリコ:もともと西原さんのファンなんですってね。
小泉:そうですね、西原作品はほとんど読んでいます。まさか「毎日かあさん」が映画化されるとは思っていなかったし、誰かが西原さんを演じるとも思っていなかったんですよ。だから、お話をいただいたときは「ああ、私かあ」って感じでしたね。
原作は、2002年10月から毎日新聞の朝刊に週1回連載されている人気漫画。実際に西原家で起こったエピソードをもとに、主人公の漫画家・サイバラリエコと元カメラマンの夫カモシダユタカ(故鴨志田穣さん)、6歳の息子、4歳の娘が繰り広げる笑いあり、涙ありの日常生活を描く。
リリコ:じゃあ、撮影までにお会いして、いろいろとお話をされたりしたんですか?
小泉:ううん、私はあえて会わなかったんですよ。小林聖太郎監督は西原さんの家へ行ってご飯を食べたり、お酒を飲んだり、仕事場を見せてもらったりっていうのを重ねていたみたいなんですけどね。私は、「会ったら出来ない!」と思っちゃうと感じたんです。撮影中に一度、陣中見舞いにいらしてくださって、そのときに初めてお話しました。
リリコ:そのときはどんなお話をされたんですか?
小泉:鴨志田さんの話をしてくださいました。永瀬くんはすごく参考になったみたいですね。たとえばなにか悪さをして、酔っ払って帰ってくるんだけど、そういうときは玄関からリビングまででんぐり返しで入ってくるらしいんですね(笑)。漫画で読むよりも、すごくかわいい人だったんだろうなって感じました。
リリコ:西原さんは、現場にいるお二人の演技に対して何かおっしゃっていましたか?
小泉:私については気を遣ってくださったんでしょうね。あえて何も言わず、永瀬くんがよく似ていると。お嬢さんも一緒にいらしていたんだけど、すごく似ているってビックリしていましたよ。
昨年7月、主演の西原役を小泉、夫のカモシダ役を永瀬が演じることが発表された際は、メディアのみならずファンをも騒然とさせた。2人は95年2月に結婚したが、04年2月に離婚。土屋アンナ主演作「さくらん」(07)で共演こそしているが、直接の絡みはなかったため、本格的な共演はテレビドラマ「私立探偵 濱マイク」(02)以来約9年ぶり。永瀬は、抗がん剤によって毛髪が抜け落ちてしまうシーンの撮影に際し、体重を2週間で12キロ減量したほか、頭髪をそり落とし、まゆ毛をすべて抜くこん身の役づくりで臨んだ。
リリコ:永瀬さんとの共演がすごくサプライズですよね。
小泉:そうでしょうねえ(笑)。世の中的には。私たち的にはなんでもないことなんですけど。
リリコ:久しぶりに共演されてみて、どうでした? 撮影前、撮影中、撮影後、どんなお話をされたんですか?
小泉:最初から監督、プロデューサーと、鴨志田さんの役をどなただったらしっくりくるか、いろいろと考えていたんですよ。で、しばらく放っておいたら、監督から「永瀬くんはどうだろう?」って。で、私もそこでピンときちゃったんですよ。「あ、鴨志田さんの役は永瀬くんだ。これは有りだ!」と思ったんです。ただ、私はそういうことを気にしていなかったけれど、先方がどう思っているか分からないじゃないですか。だから、「永瀬くんがやるっていうんだったら、とっても良いキャスティングだと思います」って答えて、あとは監督に任せたんです。
リリコ:そうしたら?
小泉:そうしたら、永瀬くんから「こういうオファーがきたんだけれど、自分にできるんだろうか?」ってメールが届いたんです。「ああ、面倒くさい!」と思って直接電話をしちゃいました。そうしたら、永瀬くんも「すごく本が面白かったし興味もある」と言っていたので、私も「永瀬くんがやったらとっても素敵な役だと思う。最初は面倒くさいことは言われると思う。そりゃ世間的には、離婚した夫婦が夫婦役をやるんですから『なんだそれ?』って思われるのは仕方のないこと。そこを突破してしまったら、私たちは今後、俳優の仲間としてずっとやっていけるんじゃない?」と言いました。
リリコ:永瀬さんは何ておっしゃっていましたか?
小泉:「そうだねえ。じゃあ、もうちょっと考えて自分から監督に返事をする」っていうことで、会話が終わったんです。結局、演じてくれることになって、「じゃあ、ともに戦いましょう!」ということになったんです。必要なコミュニケーションや信頼関係はもともとあったので、お互いにとって、とっても力になりましたね。
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