コラム:細野真宏の試写室日記 - 第246回

2024年7月18日更新

細野真宏の試写室日記

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。

また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。

更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)


試写室日記 第245回 「怪盗グルーのミニオン超変身」で日本の映画市場はどのくらい“変身”するのか?

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今週末2024年7月19日(金)から、大ヒットアニメ「怪盗グルー」シリーズ第4弾となる「怪盗グルーのミニオン超変身」が公開されます。

ここしばらく日本の映画市場は冷え込んでいましたが、やはり先週末から様相が変化してきました。

先週末は「キングダム 大将軍の帰還」の公開によって映画市場は、だいぶ見通しが好転してきたのです。

要は、「見たい!」と思えるようなパワーのある作品が少なすぎただけで、その「ポテンシャルのある作品群」が夏休み映画に集中していた面があると思います。

キングダム 大将軍の帰還」は、これまでの3作品のような興行収入50億円台から、60億円を余裕で突破し、90億円まで一気に到達しそうな勢いがあります。

そして、今週末から多くの小学校などで夏休み期間になるため、ファミリー層の動向が大きな焦点になります。

まさに、本作「怪盗グルーのミニオン超変身」はファミリー層に向けた最適な作品となるわけです!

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そこで、「怪盗グルー」シリーズの状況を確認しておきましょう。

第1弾「怪盗グルーの月泥棒」(2010年):興収12億円
第2弾「怪盗グルーのミニオン危機一発」(2013年):興収25億円
第3弾「怪盗グルーのミニオン大脱走」(2017年):興収73.1億円

「怪盗グルー」シリーズが上り調子であることが分かると思いますが、そこに以下のスピンオフ「ミニオンズ」シリーズが関わってきます。

第1弾「ミニオンズ」(2015年):興収52.1億円
第2弾「ミニオンズ フィーバー」(2022年):興収44.4億円

つまり、トータルの時間軸として、興収は12億円→25億円→52.1億円→73.1億円→44.4億円のようになっているわけです。

一度は73.1億円まで記録したシリーズですが、直近では44.4億円となっています。

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果たして、どのくらいが「怪盗グルー」「ミニオンズ」シリーズのポテンシャルなのでしょうか?

ミニオンズ フィーバー」(2022年)が興行収入44.4億円であることを踏まえると、興行収入40億円台は必達の目標と言えると思います。

その時点で一般的には十分すぎる成績とも言えます。ただ、50億円台に乗せることができると今後の見通しが良くなります。

さて、「怪盗グルーのミニオン超変身」を見た感想としては、「よくもまあ、これだけ考えたな」と思えるくらい「目まぐるしく展開していく作品」で、単純に面白かったです。

批評家によっては「まとまりがない」といった感想になるのかもしれないですが、そもそも「一発芸」が本シリーズの醍醐味なので、私は楽しめました。

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では、字幕版と吹替版について。日本では圧倒的に吹替版での上映が多くなりそうですが、私は字幕版も良かったと思いました。

字幕版は、やはりグルー役としてスティーヴ・カレルが有名ですが、「有名なだけはある」と言える存在感があります。

ただ、吹替版は、画面の上でも日本語バージョンに“超変身”しています。

字幕版では、冒頭のアクションシーンと共に声優陣がカッコイイ文字で紹介されています。吹替版においては、そのシーンが吹替版の声優陣の紹介に“変身”しているのです!

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その他にも、細かいところで“日本語化”されているなど、ビジュアル面でもこだわりを感じられる吹替版になっていました。

夏休みの到来で、果たしてファミリー層がどれだけ動くのか――先週末に続き「反転攻勢の2週目」も大いに注目したいと思います!

筆者紹介

細野真宏のコラム

細野真宏(ほその・まさひろ)。経済のニュースをわかりやすく解説した「経済のニュースがよくわかる本『日本経済編』」(小学館)が経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」(日販調べ)を記録。

首相直轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、「『未納が増えると年金が破綻する』って誰が言った?」(扶桑社新書) はAmazon.co.jpの年間ベストセラーランキング新書部門1位を獲得。映画と興行収入の関係を解説した「『ONE PIECE』と『相棒』でわかる!細野真宏の世界一わかりやすい投資講座」(文春新書)など累計800万部突破。エンタメ業界に造詣も深く「年間300本以上の試写を見る」を10年以上続けている。

発売以来15年連続で完売を記録している『家計ノート2025』(小学館)がバージョンアップし遂に発売! 2025年版では「全世代の年金額を初公開し、老後資金問題」を徹底解説!

Twitter:@masahi_hosono

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