「ボヘミアン・ラプソディ」。音楽映画の場合は、映画評論家と一般層の評価は一体どっちが参考になるのか? : 細野真宏の試写室日記

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コラム:細野真宏の試写室日記 - 第14回

2018年11月7日更新

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。

また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。

更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)

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第14回 「ボヘミアン・ラプソディ」。音楽映画の場合は、映画評論家と一般層の評価は一体どっちが参考になるのか?

2018年10月26日@FOX試写室

今年は期待通り、夏休み映画は盛り上がりましたが、その反動もあってか、そのあとは落ち着いた興行がしばらく続いていました。

ただ、そろそろ再び盛り上がっていきそうな雰囲気があります。

特に「12月14日公開週末は、日本の映画館の座席が足りなくなるんじゃないのか?」という危惧さえしています(笑)。

(まだ現時点では全作品を見たわけではないですが、「ある映画」が結構、破壊力を持つような気がしています)

まずは「音楽」に関係して、これからの作品で注目しておきたい2作品があります。

1つは今週に公開される「ボヘミアン・ラプソディ」。そして、もう1つは冬休み映画で来月に公開される「アリー スター誕生」です。

この2作品に共通するのは「本格的な音楽をベースとしたハリウッド映画」です。

(アカデミー賞でも注目されそうな「アリー スター誕生」については、また別の機会に紹介したいと思っています)

さて、今回、紹介する「ボヘミアン・ラプソディ」については、個人的には最初に2つの心配がありました。

1つ目は、この作品は「クイーン」という伝説的なイギリスのバンドに関する映画なのですが、正直に言うと、私はほとんど「クイーン」については知らないですし、曲もぼんやりと2、3曲くらいしか知らないので、作品に入り込みことができるのだろうか、という点です。

そして、2つ目が、Rotten Tomatoesという「割と辛口な批評家の評価サイト」があるのですが、ここでの批評家の評価が決して高くなかったから、です(11月6日時点では少し上がっていて60%に。満点は100%)。

(C)2018 Twentieth Century Fox (C)2018 Twentieth Century Fox

私は、傾向としては、見終わった後に結果的にRotten Tomatoesの評価と不思議と一致することが多いので、見る前は少し心配になっていました。

そして実際に見てみましたが、見終わった感想は、「あれ? 結構、面白いんですけど」でした。

ここで思い出したのが、今年の春に公開された「グレイテスト・ショーマン」のことです。

実は、この時も試写を見る前にRotten Tomatoesの批評家の評価を見てみたら結構、低かったのです。

ただ、「グレイテスト・ショーマン」についても実際に作品を見てみたら、「あれ?」な感じで、どうも釈然としなかったのです。

アメリカでは当初、評論家の評価が影響してか「グレイテスト・ショーマン」は、あまり「大ヒット」というスタートではありませんでしたが、その後、観客の声が長い興行を支え、最終的には「大ヒット映画」となりました!

そして、日本でも「グレイテスト・ショーマン」は、興行収入が50億円を突破するという、サプライズ的な「大ヒット映画」となりました!

これらの傾向を見ると、どうも音楽映画の場合は、批評家の評価と一般層の評価は、やや乖離する傾向があるように思えます。

(まぁ強いて言えば、「グレイテスト・ショーマン」は、「音楽」を除けばシンプルな作品ではあったので、評論家の評価も分からなくはないですが)

(C)2018 Twentieth Century Fox (C)2018 Twentieth Century Fox

この「ボヘミアン・ラプソディ」は、実際のバンドのメンバーが「事実に忠実な映画」になるように関わっているため、最初のレコーディングのシーンなどは、「クリエイターとしての天才的な面」をかなり的確に描き出すことに成功しています。

結局、「クイーン」についての知識は全くなくても作品に入り込めますし、曲も大して知らなくても、十分に楽しめると思います。

そもそも「グレイテスト・ショーマン」などの一般的な映画の場合は、最初は誰も1曲も知らないものなので、その意味では「ボヘミアン・ラプソディ」のほうがアドバンテージがあるのかもしれません。

やはり、「音楽映画の楽しさは、2回目でしみる」ので、この「ボヘミアン・ラプソディ」は結構リピーターが出るような気がします。

ちなみに、Rotten Tomatoesには、批評家の評価だけではなく、AUDIENCE SCOREという一般層の評価もあります。

グレイテスト・ショーマン」は、批評家の評価は56%で、一般層の評価は87%となっています。

そして、「ボヘミアン・ラプソディ」については、批評家の評価は60%で、一般層の評価は94%となっているのです。(すべて11月6日時点)

日本では果たしてどういう結果になるのか非常に興味深いです。

最後に、ちょっと知っておきたいマメ知識を。

私は、このクイーンというバンドで知っていたのは、ボーカルの「フレディ・マーキュリー」がAIDSで45歳という若さで亡くなってしまったことです。

そのため死後に、クイーンのイギリス国内で一番売れた曲である「ボヘミアン・ラプソディ」の印税がエイズ基金に寄付されるなど、AIDSという不治の病への克服に貢献していました。

実は、こうした試みなどから始まり、近年ではHIVに感染しても、キチンと対処すれば、対症療法により普通の人とほとんど変わらない寿命になれるまで世界の医学は進歩してきたのです。

こういうことも知っておくと、さらにこの作品の見方が深くなるのかもしれませんね。

[筆者紹介]

細野真宏

細野真宏(ほその・まさひろ)。経済のニュースをわかりやすく解説した「経済のニュースがよくわかる本『日本経済編』」(小学館)が経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」(日販調べ)を記録。

 発売以来9年連続完売となっている2019年版の「家計ノート 2019」(小学館)が発売中!

 首相直轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、「『未納が増えると年金が破綻する』って誰が言った?」(扶桑社新書) はAmazon.co.jpの年間ベストセラーランキング新書部門1位を獲得。映画と興行収入の関係を解説した「『ONE PIECE』と『相棒』でわかる!細野真宏の世界一わかりやすい投資講座」(文春新書)など累計800万部突破。エンタメ業界に造詣も深く「年間300本以上の試写を見る」を10年以上続けている。

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