コラム:人間食べ食べカエル テラー小屋 - 第18回
2020年7月17日更新
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「プライマル・レイジ」完璧なビッグフット。ビッグフットが実在するよ!!と思わず興奮
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(C)2017 Primal Rage Oh Mah LLC. All Rights Reserved.
刑務所から出所したマックス(アンドリュー・ジョセフ・モンゴメリー)と彼を迎えに来た妻アシュリー(キャシー・ガリアルディ)が色々あって深い森に迷い込み、ビッグフットに襲われる!!!
これまで様々なビッグフット映画が作られてきたが、本作はその中でも出色の出来だ。何が素晴らしいかって、それは勿論ビッグフットである。この映画に出てくるビッグフットは、とにかく造形のクオリティが半端ない。極力CGを使わずに着ぐるみメインで描かれているのだが、その体つきや毛並み、肌の質感に至るまで徹底して作り込まれており、真っ昼間の明るいところで見ても安っぽさを感じない。中でも一番驚いたのが顔部分で、上方向に剥ける唇や細かい表情の動きなどが本当に生きているかのようだ。顔がアップで映っても完璧なビッグフット。すげーよ。ビッグフットが実在するよ!!と思わず興奮してしまう。
造形だけでなく、その設定も最高だ。なんとこのビッグフットは、お手製の装備で全身を武装するのだ。これまで色んなビッグフットを見てきたが武装するヤツは初めて見た。もう、この設定を思いついた時点で勝ちである。木製の仮面を被り、手作りの武器で人間を狩りまくる姿は猿人版プレデターだ。ゴリゴリのドデカい図体で弓を構え、遠くの人間を正確に射貫く様はメチャクチャ格好良い。これだけでも十分に見る価値はある。それだけでなく、ちゃんとビッグフットらしくその腕力を活かして、素手でも人間を抹殺しまくる。単純にプレデターの模倣をするのではなく、ビッグフットのキャラを壊さずにプレデター要素を上乗せするという描き方を最後まで崩さないところに拘りを感じる。
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(C)2017 Primal Rage Oh Mah LLC. All Rights Reserved.
また、単純にビッグフットが出て「はい、おしまい」ではなく、出し惜しみなく暴れまわり、こちらが満足するまで殺戮を繰り広げてくれるのも嬉しい。一見、当たり前のことだと思うが、予算不足とか色々な要因でこれが出来ている作品は少ない。とにかく死亡要員が多く、人間が次々と襲われて死ぬ。その死に様も、顎を縦に裂かれたり、引き千切られたりとバリエーションに富んでいる。ちゃんとゴア度が高いのも評価ポイントだ。何においてもビッグフットの暴れっぷりで観客を楽しませる!!という作り手の思いが伝わってくる。
本作の監督・脚本を手掛けたのは、パトリック・マギーという男である。彼はもともと特殊効果畑出身で、本作で監督デビューを果たしている。「メン・イン・ブラック3」「ジュラシック・パーク3」「エイリアンVSプレデター」等ハイクオリティな造形、特殊効果が拝める作品に関わってきた監督が自身でビッグフットの造形を手掛け、更には自らスーツの中に入って演じている。どうりでビッグフットの出来がやたらと良いわけですね。ちなみに、彼が本作を作るきっかけとなった最初の動機は「ハリーとヘンダスン一家」の邪悪バージョンを作りたかったからというもので、プレデターをやりたいからではなかったらしい。
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(C)2017 Primal Rage Oh Mah LLC. All Rights Reserved.
さて、ここまでベタ褒めしてきたが、実は1つだけ残念なところがある。途中で明らかに余計な展開が入ってしまっているのだ。後半に入ると、特に必然性もなく人外の見た目をしたお婆ちゃんが出てくるのだが、ここのくだりはどう見ても浮いている。多分このパートは監督の気合と造形欲がスパークしすぎた結果入ったものだとは思うが、ここは我慢して削ってほしかった。クライマックスに突入すると再び猿人VS人間のバトル構成に戻って、激アツな展開が連続するだけにもったいない。ここさえ無ければ、本作は完璧なビッグフット映画になっていたことだろう。
とはいえ、本作が面白い作品であることに間違いはない。何度も言うがビッグフットの造形は本当に神がかっているし、これでもかと暴れて見せ場を作ってくれる。「監督!?どんだけ作ってるんすか!?」と驚愕するラストまで見どころたっぷりで、大満足すること間違いなしのモンスタームービーである。
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最後に余談ですが、遂にOSOREZONEがChromeCastに対応したので、こちらのサービスで配信中の本作もテレビで観られます。大きいテレビがある人は、大画面でビッグフットが人を引き裂く様子を堪能してみてはいかがでしょうか。
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筆者紹介
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人間食べ食べカエル(にんげんたべたべかえる)。人間食べ食べカエルです。X(旧Twitter)で人喰いツイッタラーをやっています。ID @TABECHAUYOで検索してみてください。WEBや誌面で不定期に寄稿をするほか、新作へのコメントなどを書いています。好きなジャンルはホラーとアクションで、特にモンスターに人が食べられるタイプの映画に目がありません。「ザ・グリード」に出てくる怪物を目指して日々精進しています。どうぞよろしくお願いします。
Twitter:@TABECHAUYO