コラム:韓国の人がぶっちゃける、made in KOREA - 第10回
2011年10月23日更新
「私が死んだら何人泣くだろう」という、乙女妄想がドラマになったら
漠然と“神”の存在を信じている私ですが、冷静に考えると「この世を支配しているのは、どうやら“神”ではなく“金”である」ということを感じずにいられません。金は、時に人の心までも変えてしまうほどの巨大なパワーを持っているのです。日々のステーキ代に苦しむ庶民としては、非常に悔しい現実であります。
しかし、唯一金の力でもどうにもならないものがあります。それは「人の命」です。世界有数の金持ちであっても、健康を損なってしまったり運が悪ければ、いつ死んでしまうかわかりません。ましてや死んだ人間は、どれほどの大金があろうとも生き返らせることはできません。
そんな大事な自分の命を失ったときに、「はたして何人泣いてくれるだろう」という乙女な疑問は、誰しもが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。この疑問に対して、皆さんが今、思い浮かぶのは誰でしょうか。家族、親戚、同情の涙ではなく、心から流される涙を考えてみてください。もし涙を流してくれる人が3人いれば、あなたは生き返ります!
ドラマ「私の期限は49日」は、このようなストーリーなのです。ファンタジーで幼稚なストーリーだと思いつつも、心から愛されていると信じていた婚約者と一番の親友と信じて疑わなかった友人に裏切られる様子は、ありきたりな中にも「リアルな人間の内面」が垣間見え、考えさせられました。「単純明快に考えにふけり、純粋に感動を覚えたい!」という10~20代の層に好評だったおかげで、視聴率でもまずまずの成功を収めたました。
しかし、「死んでいるけれど、孤独な女性の体を借りる」というファンタジーなストーリーは、韓国でチャンネル権を主に握る中年層には、なかなか受け入れがたい設定でもあります。マクチャンドラマのように、身近な現実世界に起こる事件が大好きなのでしょう。滅茶苦茶な環境で苦しむ主人公に心から同情し、苦しみを与えた相手に復しゅうすることで、代理満足のカタルシスを抱く。この要素が、今の韓国ドラマのトレンドなのです。
ただ、いくら楽しくてもこのように刺激の強いドラマばかりを見すぎると、精神的に疲れてくるものです。たまには、韓国ドラマのトレンドから離れファンタジーな漫画系ドラマを見ながら、自分の交友関係について少し考えてみるものよいのではないでしょうか。ただし、考えすぎると“ブルー”になるのでご注意を。