コラム:映画食べ歩き日記 - 第3回
2020年1月22日更新
アメリカンフードを中心にしたメニューも充実。人気メニューはベーコン入りマカロニチーズ(マッケンチーズ)、チリ、マッシュポテト味わえる「MCMプレート」(税別899円)。アメリカのマッケンチーズは家庭ごとにレシピが違うそうで、「cafe & DINE in nope」でもオリジナルの「うちの味」を目指している。マッケンチーズにチリをつけたり、マッシュと組み合わせたりと“味変”も自在。まさにアメリカンな印象の、豪快な一皿だ。さらに、「ジュラシック・パーク」のT-REXを彷ふつとさせる恐竜形の容器に載ったタコス「TACO-REX」(税別1099円)。ひき肉とキャベツとトマトにチーズがたっぷりかかった具だくさんのタコスにかぶりつけば、スパイシーな味わいが口いっぱいに広がる。
さらに、個性豊かなドリンク類もラインナップ。まずは、キャラメルポップコーン味のシェイクに、本物のキャラメルポップコーンとチュロスがこぼれんばかりの勢いで盛りつけられた「CONCESSION AT MOVIE THEATER」(税別999円)。その名の通り、映画館のコンセッションで販売されているおなじみの食べ物が奇跡のコラボレーションを遂げている。ポップコーンとチュロスを頬張りシェイクでゆっくりと流し込むというハイカロリーの多幸感に、辛抱たまらず胃が踊り出す! 続く「JERRY POP 3D」(税別799円)は青色のゼリーと赤色のザクロソーダが、3Dメガネをイメージさせるドリンク。ゼリーとソーダを紫色になるまでクラッシュすると、レモンのような爽やかな口当たりに。グラスに乗っている3Dメガネには店名が入っており、来店記念のおみやげとして持ち帰ることができるのも嬉しいポイントだ。
アメリカのお菓子をコンセプトにしたドリンクも提供している。Moyaさんが「奇跡の味」といい、Kenさんも「1番好き」とおすすめする「YOU ARE NOT YOU, WHEN YOU’RE HUNGRY」(税別899円)は、スニッカーズの甘さを再現した「飲むスニッカーズ」。本物のスニッカーズも、グラスにしっかりと添えられている。さらに、映画や海外ドラマによく登場する赤色の細長いお菓子「レッドバインズ」をイメージした「BERRY VERY RED VINES」(税別829円)。「日本人はグミなんかガムなのか判断できないけど、映画の中で登場人物がこの赤いお菓子をひたすら食べている光景を見たことないですか? 『ウェインズ・ワールド』や、ドラマ『フラッシュ』でシスコがずっと食べていたり……。知っている方は、『激アメリカンだね』とおっしゃって、オーダーしてくださいます(笑)」(Kenさん)。
店名にも、映画ファンが喜ぶ胸熱エピソードが。「No」のスラング的な表現「nope」の響きが気に入り、ネガティブなワードで肩の力を抜いてお店を始めたいという思いも伴い、ワードを決定したと明かすKenさん。ロゴは「店全体がおもちゃ」というイメージで、「トイ・ストーリー」のウッディの靴の裏に持ち主の名前が書いてあるように、子どもの手書き文字のような無邪気なものにしたいと考えた。
「『スター・ウォーズ フォースの覚醒』でライトセーバーを振り回して大暴れするカイロ・レンに、『Nope(やばい)』と言って引き返すストームトルーパーの二人組(デヴィッド・M・サンタナ、サンディープ・モーハン)がいましたよね。ファンの間では『ノップ・トルーパーズ』と呼ばれているんですが、このふたりに『nope』を手書きしてもらえたら、すごくしゃれが利いていいなと思いました。もともと知り合いだったので、(意識して丁寧に書くことを避けるため)理由を伝えずにさらっと書いてもらい、一発採用しました。後で『お店をやることになったので、書いてもらった字をロゴにしてもいい?』と確認したら喜んでくれて。開店初日はふたりが揃って来日し、オープニングイベントにも参加してくれたので、大盛況でしたね」
最後に、映画人生の中で印象的だった「映画の中の食」エピソードを聞いてみた。
Kenさん「『未知との遭遇』のマッシュポテト。主人公ロイ(リチャード・ドレイファス)がデビルズタワーにとり憑かれて、夕食のマッシュポテトとフォークでタワーを作るシーンですね。あのポテトが本当においしそうに見えて……、ゆるさとクリーミーさがパーフェクト。ゆる過ぎても崩れちゃうので、あのタワーを作ることができる固さのマッシュポテトが理想的。うちの店のマッシュも同じくらいの柔らかさにしているので、タワーを作って頂けると思います(笑)」
Moyaさん「『ジュラシック・パーク』の緑色のライムゼリー。私がゼリーマニアなので、これからもゼリーを使ったフードやドリンクを開発したいと思います。おいしいものが出せると思いますよ」
圧巻のディスプレイに加え、“シャイニングトイレ”やアメリカンフード&ドリンクなど、マニアックな映画ファンの期待をはるかに上回る、クレイジーなほどのこだわりが感じられる「cafe & DINE in nope」。映画への情熱を燃やすオーナーと濃厚なトークを繰り広げながら、店内の至るところに目を向けてみてほしい。自分の映画人生を一瞬にしてよみがえらせノスタルジーに浸らせてくれる、“宝物”のようなおもちゃと出会えるはずだ。
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