コラム:シネマ映画.comコラム - 第22回

2022年11月25日更新

シネマ映画.comコラム

ココロ、オドル」から企画スタート! デジタル・プレイスメント広告って何?

第22回目となる本コラムでは、11月22日からスタートした「デジタル・プレイスメント広告企画」の第1弾作品「ココロ、オドル」をピックアップして、作品の見どころや「デジタル・プレイスメント広告企画」について紹介します。

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【作品概要】

沖縄・慶良間諸島の座間味島でオールロケを敢行し、慶良間の美しい自然を背景に不器用ながらも愛を求めて生きる3組の家族の姿を描いたオムニバス映画。沖縄県出身の映像ディレクターで、「琉神マブヤー」「沖縄を変えた男」など沖縄を舞台にした作品づくりを続ける岸本司監督が、2015年に手がけた短編「こころ、おどる」を自ら長編化した。出演は、尚玄吉田妙子ダニエル・ロペス仲宗根梨乃仁科貴池間夏海加藤雅也

2019年製作/96分/日本

【あらすじ】

座間味島の民宿「満月荘」にやってきた外国人カップルと、民宿のおばぁと孫が、言葉が通じない中で、時にすれ違いが生じながらも交流していく姿を描いた第1話「夫婦になれない男と女」。兄夫婦に息子を任せたまま島を飛び出し音沙汰のなかった男が5年ぶりに帰郷し、人生をやり直そうとする様子を描く第2話「心の通じない親子」。そして、妻が不倫相手と島を出てしまい、残された娘とぎこちない生活を続けるサバニ職人の男のもとに、妻の不倫相手が現れたことで起こる事件を描いた第3話「家族になれない父と娘」。


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■不器用な人間を包み込んでくれる沖縄の美しい自然と愛

この3話の舞台が沖縄ではなく、ほかの都市部であれば物語展開や観客の受け止め方は違ってくるでしょう。第1話「夫婦になれない男と女」の主人公の男女(ロペスと仲宗根)は外国語しか話せないので、民宿のおばぁ(吉田)とその孫(尚玄)・雄飛には言葉が通じないのですが、おばぁと孫はそんなことはお構いなし。すれ違いが生じながらも次第に交流していく姿に、言葉とは何だろう、他者との関係とはなんだろうと考えさせられます。都会の生活によるストレスやプレッシャー、悩みや不安を、沖縄の青い海や美しい風景、島民の人柄が包み込み、溶かしてくれるようです。

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第2話「心の通じない親子」は、兄夫婦に息子を任せたまま島を飛び出し音沙汰のなかった男(仁科)が、息子を引き取ろうと5年ぶりに帰郷してきますが、なんと会社の金を横領してきたという設定。れっきとした犯罪者なわけですが、兄夫婦や顔見知りのおばぁと雄飛、お巡りさんに至るまで、男の心中を慮ってか、息子と触れ合う猶予を与えます。コメディタッチということもありますが、そんな展開でも違和感なく、故郷の心に久しぶりに触れた男がちゃんと生き直そうと決意する姿になぜか胸が熱くなります。

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そして、第3話「家族になれない父と娘」では、妻が不倫相手と島を出てしまい、残された娘とぎこちない生活を続けるサバニ職人の男が主人公。強面の男を演じることの多い加藤が、過去に島に流れ着き、南西諸島で古くから使われていた漁船サバニの職人となって家族を築くも、自分を受け入れてくれた女に愛想をつかされる悲哀と、それでもたったひとりの娘(池間)と生きていこうとする男を好演。男の過去や娘との関係を、島の自然が包み込んでくれているようです。クスッと笑えて、ほろりとさせられる、まさに癒しの作品と言えるでしょう。

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■「プロダクトプレイスメント」と「デジタル・プレイスメント」の違い

それではこのような作品の中に、どのように広告が掲出されるのでしょうか。テレビドラマや映画の劇中で、小道具や背景に企業の商品やロゴを映り込ませることでPRする広告手法が「プロダクトプレイスメント」です。この方法は、テレビドラマや映画の撮影時にPRしたい商品を入れ込まなければならないため、撮影後にテレビドラマや映画が公開されるまでの期間中に新しい商品が出てしまうという問題が発生する点など、いろいろとスケジュール面の調整作業や懸念点がありました。

この課題を解決するのが「デジタル・プレイスメント広告」です。日本初のサービスである日本映画・映像専門の海外向けオンラインマーケットを展開するフィルミネーションが、日本人の若手映画監督や海外進出を目指す日本映画支援しています。今回、「デジタル・プレイスメント広告」を日本で推進している、カカクコムグループのガイエ協力のもと、デジタル・プレイスメント専門会社の英Mirriad社の特許技術を活用し、実現困難とされてきた「本編完成後に、ロゴ、商品をオンデマンドで映像に入れ込むデジタル・プレイスメント」という新しい手法によるプロジェクトをスタートさせたのです。


■「デジタル・プレイスメント広告」の可能性とは

「デジタル・プレイスメント」の技術によって、映像収録後でも商品画像さえあれば、後付けで映像内に入れ込むことができます。また、AIの活用によりカメラの動き・背景・露出時間などを自動解析することで最適なプレイスメント箇所が提案され、プロダクトプレイスメント作業を数日間という短期間で行うことが可能。視聴者、ユーザーの属性に合わせて、入れ込む商材を出し分ける、といったターゲットに合わせた配信もできます。

この技術を活用することで、視聴者はあからさまな広告に煩わされることなく映像を視聴することができ、広告主は自然な流れで自社の商品情報を露出することが可能です。最近では、有料動画配信サービスにおいて広告により新たな収益を得る取り組みも話題となっていますが、この手法を取り入れることで収益面も含め、若手映画監督や、海外進出を目指す日本映画支援を具現化することができます。今回は、北海道札幌市中央区に本社を置く、日本の航空会社「AIR DO」が協賛しています。


■映画の自然な流れの中での商品情報露出

ココロ、オドル」では、下記のほか数シーンで「AIR DO」の広告が露出しますが、掲出の看板には適度な「汚し」も見られ、物語の流れや内容を損なうような露出にはなっていません。今回の企画に参加する作品は「ココロ、オドル」のほか、亀山睦実監督の「マイライフ、ママライフ」などの3作品で、いずれもフィルミネーションが厳選した、海外進出を目指す有望な若手映画監督作品が予定されています。

「ココロ、オドル」の広告掲出シーン
「ココロ、オドル」の広告掲出シーン

「デジタル・プレイスメント広告」が映画作品の中で広がり、どれくらいの広告効果を発揮していくのか注目されます。そして、それによって日本人の若手映画監督や海外進出の支援につながっていくことが期待されます。11月22日から2023年3月末まで、「シネマ映画.com」上で順次公開(配信)していきます。「ココロ、オドル」の通常版と「デジタル・プレイスメント広告版」を配信していますので、見比べてみてください。「デジタル・プレイスメント広告版」は通常版よりお安く視聴できます。(執筆/編集 和田隆

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>>【デジタル・プレイスメント広告版「ココロ、オドル」】

筆者紹介

シネマ映画.comスタッフのコラム

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