師と仰ぐS・マーティンのコメディで川平慈英が19年ぶりに「僕を認めて!」 : 若林ゆり 舞台.com (2)

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コラム:若林ゆり 舞台.com - 第78回

2019年4月24日更新

第78回:師と仰ぐS・マーティンのコメディで川平慈英が19年ぶりに「僕を認めて!」

この作品も、一風変わったマーティンらしさが満載の異色作だ。

エディ・マーフィみたいな王道じゃなくて、シュールなんですよ。読んでいてキョトンとしちゃうところもあるけど(笑)。よくできてる。『脳がハッピーになる』っていうコピーは、実は僕が発案者なんですよ。脳が刺激されるような作品で、心を打つというより、脳を打つ感じがユニークなんです」

そんな作品で、19年ぶりに若きアインシュタインをまたやれると知ったときは「そりゃあ嬉しかった!」と拳を振る。

撮影:若林ゆり 撮影:若林ゆり

「でもね、僕もこの19年、多くの舞台に立ってきて。これだけやってれば『お茶の子さいさいだぜ』ってなるかと思いきや、全然できない(笑)。(ピカソ役の岡本)健一とも言ってたんです、『変わらないんだね』って。取り組み方も、焦り方も。少し力が抜けたような気もするけど、大人になったというより、むしろどんどん子供に戻ってる感がある。だから『56歳になって25歳の役なんて大丈夫か!?』って最初は思ったけど、大丈夫でしょう!(笑) しかし僕が25歳のとき、56歳の先輩なんて本当に大人でしたからね。自分が56歳になったら大人になるかと思ったら、まったく中2(笑)。人の話を聞かないし、ギャーギャーうるさいし落ち着かないし。でも役者をやっている上では、好奇心や興味の対象をたくさん持っているということが大事だとは思います。子供っぽいのがいいわけじゃないけど、変に大人になってしまってはダメ、というところがあるのかな。何かにワクワクしたり、恐れずに体当たりしていく気持ちはなくしたくないと思うんです」

時代背景は20世紀の初め。「自分の才能で未来を変えるぞ」と意気込むピカソとアインシュタインは、この公演中に新しい元号を迎える日本の観客にも訴えるものがある。

「僕のセリフで『今世紀はよくなりますよ』というのがあったんですけど、僕のアイデアで『新しい時代はよくなりますよ』に変えてもらったんです。『令和の時代は』という意味を込めて、日本バージョンでね。そのセリフを言うときは、実に心躍る瞬間です。いま日本が迎える新時代の始まり、未来につながっていくという物語とピッタリ合致して。いま、いい話がないじゃないですか。政界も経済も犯罪も悪くなる一方で。でもこれは『未来は明るいよ』ということを感じられる作品。前向きパワーを発せられることが嬉しいんです」

では、新役シュメンディマンについては?

「こっちは、もう1人の(村井)良大を稽古場で見て『うわ、面白いじゃん!』ってところは、完全にパクってます(笑)。彼は、僕のベルが鳴る芝居をするんですよ。僕はアインシュタインなら3回目ですから、いいサンプルが出せているのではないかと思いますけど。キャラ的に似たところもあるのでね。僕は『これってすごいんだよ!』って伝えるのが好きみたい。たとえばサッカーで『このバナナシュートがどれっだけすごいか! 教えてあげるよ!』というのと同じで (笑)。だからアインシュタインとは肌感覚的に合いました(笑)」

稽古場でアインシュタインを演じる川平慈英 稽古場でアインシュタインを演じる川平慈英

初演・再演のときからすれば、いまは彼らが思いを馳せていた未来。作中に出てくる“未来からの訪問者”よろしく、過去の自分に何かを伝えるとしたら?

「『大人になるって悪くないよ』と言いたいですね。20代、30代のときは50代なんて『片足を棺桶に突っ込んで、衰えて暗い老人』みたいなイメージだったんですよ。でも50歳を過ぎて、いまめちゃくちゃ楽しい。最近、僕には『ジェイのクゥーッ! 三原則ゥー!』という座右の銘がありましてね(笑)。まず、「気づクゥー」。自分の興味がどこに向いているのか。『これがしたい』とか『この才能や技術が得たい』と、自分の欲求に気づくこと。次が「動クゥー」。気づいた欲求に対して、具体的に行動を起こす。歌いたいと思ったらレッスンに行くとか。最後が「継続ゥー」。続けることね。いまはこれに則って、自分で書いた台本を上演したいという欲求をなんとか実現させたいと思っているんです。僕の少年時代に出会った友だちの話で、ミュージカル化して、映画にもしたいし、英語にしてアメリカに持っていきたい。夢を叶える過程をエンジョイして、やりたいことに情熱を注いで、いい意味でワガママに生きたいんです。それで60歳になったら『60代もいいもんだぜ』って言いたいな」

「ピカソとアインシュタイン~星降る夜の奇跡~」は4月25日~5月9日 よみうり大手町ホール、5月12日 大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。詳しい情報は公式サイトへ。
  https://horipro-stage.jp/stage/picassoeinstein2019/

[筆者紹介]

若林ゆり

若林ゆり(わかばやし・ゆり)。映画ジャーナリスト。タランティーノとはマブダチ。「ブラピ」の通称を発明した張本人でもある。「BRUTUS」「GINZA」「ぴあ」等で執筆中。

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