コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第28回
2014年11月12日更新
第28回:話題のオリジナル劇場アニメ「楽園追放」がついに公開 その見どころは
企画発表から約2年半、当時から注目していた人たちにとっては待ちに待った「楽園追放 Expelled from Paradise」が、いよいよ11月15日から劇場公開されます。
2012年3月に開催された東京国際アニメフェアで、「Original Cinema Project」と銘打たれ、作品タイトルと監督:水島精二×脚本:虚淵玄×原作:ニトロプラス&東映アニメーションというメインスタッフのみが発表された同作。「ドラゴンボール」や「ONE PEACE」「プリキュア」といった少年少女漫画原作のアニメ作品の印象が強い老舗の東映アニメーションが、気鋭の監督&脚本家とのタッグで送り出すオリジナルの劇場作品で、同社が完全オリジナルの劇場アニメを製作するのは、およそ40年ぶりとのこと。
ようやく全ぼうを現す作品の舞台は、人類が多くの地上を捨て、「ディーヴァ」と呼ばれる電脳空間で暮らす西暦2400年。フロンティアセッターと名乗る何者かが、地上(現実)世界からディーヴァに対してハッキングを仕かけてくる。ディーヴァの電脳捜査官アンジェラは、生身の身体=マテリアル・ボディを身にまとい、機動外骨格スーツ「アーハン」を駆使して地上に降り立つ。そして、地上に残った数少ない人類のひとりで、ディーヴァの地上調査員として働くディンゴとともに、どこかに潜んでいるフロンティアセッターを追う。
脚本を手がけた虚淵氏は、本作の発表当時、前年に手がけた「魔法少女まどか☆マギカ」が巻き起こしたムーブメントによって知名度が飛躍的に上昇した頃で、その後、現在までに「PSYCHO-PASS サイコパス」(ストーリー原案・脚本)、「翠星のガルガンティア」(原案・シリーズ構成・脚本)といったヒット作を連発。「まどか☆マギカ」を含めて代表作にはSF作品が並びますが、本作もやはりSF。電脳空間ディーヴァの設定など、まさにサイバーパンクなSF世界ですが、そこに西部劇(ディンゴたちの暮らす地上世界の様子は西部劇そのもの)や聖書(「楽園追放」というタイトル)といった非SF的な要素も散りばめられ、その世界観は見る者を飽きさせないでしょう。
全編3DCGで作られつつも、日本の伝統的な手描き2Dアニメのルックスを持つ、いわゆるセルルックアニメの一種。同様の手法で作られた作品としては、2年前に公開された映画「009 RE:CYBORG」があったほか、最近では「蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァ」「シドニアの騎士」や宮崎吾朗監督の「山賊の娘ローニャ」などテレビアニメでも増えてきたスタイル。それでも、まだまだ前例の少ない中で、本作のキャラクターやメカの動きは従来の2Dアニメとも遜色なく、特に後半戦でヒートアップしていくメカアクションは、「機動戦士ガンダム00」でも発揮された水島監督のハイスピード感あふれる展開(演出には「交響詩篇エウレカセブン」の京田知己も参加)とあわせて目を見張るはず。
世界観や作画にも注目ですが、声優陣も豪華。主人公アンジェラはなかなかのツンデレキャラなのですが、その声を担当しているのは、ツンデレキャラを演じさせればピカイチと評判の釘宮理恵。そしてディンゴ役に三木眞一郎、フロンティアセッター役に神谷浩史と、この3人はいずれも水島監督の「機動戦士ガンダム00」でも共演した人気声優たち。同じく「ガンダム00」にも出演していた古谷徹(「ガンダム00」では蒼月昇名義)が、意外な役どころで登場し、林原めぐみ、高山みなみ、三石琴乃とベテラン女性陣も加わっています。
オリジナルストーリーであるゆえ、誰もが初めて触れる物語であり、世界観や作画、演出、声優など、さまざまな切り口から楽しめる贅沢な作品に仕上がっていると思います。
■「楽園追放 Expelled from Paradise」
2014年/日本
監督:水島精二/脚本:虚淵玄
声の出演:釘宮理恵、三木眞一郎、神谷浩史
11月15日から、新宿バルト9ほかにて劇場上映
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