コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第26回

2014年9月3日更新

編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番

第26回:「攻殻機動隊ARISE」完結 黄瀬和哉総監督×シリーズ構成・冲方丁氏が語る

今月は、いよいよ完結する「攻殻機動隊ARISE」について、トーキョーアニメニュースが総監督の黄瀬和哉氏とシリーズ構成・脚本を担当した作家の冲方丁氏に行ったインタビューの模様をお届けします。

取材・文・写真:トーキョーアニメニュース

「攻殻機動隊」設立の物語が描かれた新シリーズが完結
「攻殻機動隊」設立の物語が描かれた新シリーズが完結

9月6日に劇場上映が開始される「攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone」。全身義体のサイボーグ・草薙素子と、後に彼女が所属することになる公安9課のメンバーとの出会いを描く「攻殻機動隊ARISE」シリーズ4部作の完結編だ。本作の上映を記念し、総監督・キャラクターデザインの黄瀬和哉氏と、シリーズ構成・脚本の冲方丁氏にインタビューを敢行。「border:4」ひいては「攻殻機動隊ARISE」シリーズ全体の見どころや制作秘話、作品に託されたテーマなどを語っていただいた。

黄瀬和哉総監督(左)と冲方丁氏
黄瀬和哉総監督(左)と冲方丁氏

「攻殻機動隊ARISE」は黄瀬総監督の下、各話ごとに監督が異なるため、ある種のオムニバスシリーズとも言える。本来各話のカラーを強烈に押し出すのがオムニバスだが、冲方氏が務めるシリーズ構成とは各話をひとつにまとめるという役割で、そのふたつは相反している。それだけに、「オムニバスのシリーズ構成」という、矛盾をはらむ作業に挑んだ冲方氏の苦心は並々ならぬものだったという。しかし苦労の甲斐あって「“公安9課の仲間集め”という最大のテーマを描きつつ、ひとつの大きな話にまとめることができたのでホッとしています」と、安堵の声を漏らす。

上映時間の都合で、やむなく削られたシーンもわずかながらあったそうだ。だが冲方氏は、「削られたシーンは、“絵の中で説明しているからいらない”といったもの。セリフで語らずとも、表情やお芝居、立ち位置などの視覚的な効果を用いて説明を盛り込んである。僕が脚本で表現したかったことはすべて取り入れてもらっている」と、黄瀬総監督はじめ監督陣の手腕を絶賛した。

また、本シリーズには劇場版「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」やテレビアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」など従来の「攻殻機動隊」シリーズに対するオマージュもふんだんに盛り込まれている。たとえば、本シリーズでは、従来作品における名シーンとほぼ同じシチュエーションが描かれているが、その結果はすべて失敗に終わっていたりするのだ。冲方氏いわく「新規のお客さんが本作の鑑賞後に、従来シリーズを見れば、ストーリーや設定につながりを発見できるようにしている」とのこと。「border:4」鑑賞後は、シリーズ間を往来し、オマージュ元になったシーンを探すのもおもしろそうだ。

従来のシリーズの名場面を思わせるシーンも
従来のシリーズの名場面を思わせるシーンも

従来シリーズとのつながりは、黄瀬総監督も強く意識していた。そのため「border:4」では、主人公である素子の前髪を伸ばし、時系列的に後の時代に当たる従来作品のキャラクターデザインに近づける、という案もあったのだそうだ。このアイデイアは素子がサイボーグということでボツとなったが、では、どうして従来作品では素子の前髪が伸びているのか……? 冲方氏は「お客さんに想像していただく余地を残した」と笑みを見せていた。

「素子が完全に独立したことを、素子自身に宣言させる」(冲方氏)ことをストーリーの柱とした「border:4」。黄瀬総監督はフィルムの出来栄えについて「もう一度映画を見たいくらいおもしろい」と豪語し、冲方氏も「本作は『攻殻機動隊』のオイシイところを詰め込んだ攻殻特盛り。『攻殻機動隊ARISE』シリーズの総決算にふさわしい作品に仕上がっている」と自信のほどを覗かせた。

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■「攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone
2014年/日本
総監督:黄瀬和哉/監督:工藤進
声の出演:坂本真綾、塾一久、松田健一郎
9月6日から、新宿バルト9ほかにて劇場上映
作品情報

筆者紹介

映画.com編集部のコラム

映画.com編集部・あさかよしあき。編集部のアニメ好き。若手女優やアイドルのチェックにも余念がない。もちろん普通に映画も好き。

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