コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第14回
2013年8月15日更新
第14回:劇場版「あの花」で夏の思い出作りを
夏休みシーズンに入った日本の映画興行界は、宮崎駿監督の「風立ちぬ」が7月20日の公開から4週連続で余裕の1位を獲得。これまでのジブリ作品、宮崎作品に比べれば大人向けで異質な作品でもありますが、それゆえに賛否両論を呼んでネット上でもさまざまな論評が飛び交い、盛り上がっているように見えます。映画.comのレビューもあっという間に200件を超えました。ご覧になった方はぜひレビュー投稿をしてみてください。
「風立ちぬ」公開にあわせて日本テレビが金曜ロードSHOWで「天空の城のラピュタ」を放送したところ、ネット上ではすっかり伝統になった「バルス!」の瞬間ツイート数が世界記録を樹立するなど、さすがのジブリ人気を再認識する夏でもあります。
そんな7月に続く今月は、夏にぴったりな話題作「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」が公開されます。
通称「あの花」として話題の同作は、2011年4~6月にフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で放送された全11話の完全オリジナルアニメーションで、幼い頃のある事件がきっかけで疎遠になっていた高校生の少年少女が、心の中にしまっていた後悔や自責の念と向き合い、トラウマを乗り越えて再び絆を取り戻していく青春物語。
大人が泣ける作品として評判になり、深夜枠にもかかわらずテレビ放送は瞬間最高視聴率5.5%を記録する大ヒットに。学生時代の夏というのは、過ぎ去ってみるとことさら特別な期間だったと大人(社会人)は思い知らされるわけですが(主に社会人には長期の夏休みがないからですが)、そんな学生時代の夏を舞台に、秘密基地や花火といったアイテムも懐かしさを誘いますし、zoneの名曲をカバーしたエンディング曲「secret base ~君がくれたもの~」も、同曲が流行した2001年当時に学生だった大人にはどんぴしゃり。それぞれの思いをなかなか口にすることができない主人公たちの姿は、何かと生きにくい現代に生きる大人には共感しやすく、そんな彼らが次第に胸の内を明らかにし、心情を吐露する姿に涙を誘われ、こんな仲間がいたらと思わされます。
劇場版はテレビシリーズの最終回から1年後を舞台に、成長した主人公たちの姿を描きます。テレビシリーズを回想しつつ現在の物語が進行するという形式なので、総集編的側面もあり、テレビを未見でも1本の作品として楽しめますが、やはりテレビシリーズを見てキャラクターや物語への思い入れがあると、格段に理解や感動も深まるもの。いまからでもテレビシリーズに一度目を通しておくことをお勧めしたいところです。
毎週木曜深夜のノイタミナで、同枠初の再放送としてオープニングを劇場版にあわせて新しくしたスペシャル版が放送中。本放送時は春クール(4~6月)で、夏になる前に最終回を迎えてしまいましたが、今回は夏の終わりの8月31日公開とこれ以上にないベストタイミングでの劇場公開。夏の思い出をぜひ映画館で。
ちなみに、同作を手がけた長井龍雪監督はまだ37歳の若手(監督インタビューを公開直前に掲載予定ですので、そちらもお楽しみに)。11年の「あの花」の後、12年には「あの夏で待ってる」という、こちらもオリジナルのテレビシリーズ作品を手がけてます(通称「夏待ち」または「あの夏」)。「あの花」よりはSF色とラブコメ色がやや強い作品ですが、こちらも夏にぴったりのアニメなので、ご興味ありましたらぜひ(「あの花」と作品内容につながりはありません)。