コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第13回

2013年7月16日更新

編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番

第13回:宮崎駿と大友克洋、2大巨匠の新作でそろうプレミアムな夏

7月に入り夏休みシーズンが到来。劇場アニメも定番の「ポケモン」「アンパンマン」や週刊少年ジャンプ銘柄の「銀魂」、海外作品ではピクサー最新作「モンスターズ・ユニバーシティ」も封切られて大ヒットを記録。劇場アニメが盛り上がってきました。今夏はハリウッド実写大作の日本公開が軒並み8月にあり(「ローン・レンジャー」「パシフィック・リム」「ワールド・ウォー Z」「ホワイトハウス・ダウン」「スター・トレック イントゥ・ダークネス」「マン・オブ・スティール」など)、まずはアニメの7月といったところです。

なかでも今年の興行の目玉、宮崎駿監督最新作「風立ちぬ」が7月20日から公開されます。松任谷由美さんの名曲「ひこうき雲」にのせた4分間の予告編だけでも泣けるという声もあったり、試写会で本編を見たアニメ関係者からの賞賛ツイートが寄せられたりで、「崖の上のポニョ」以来5年ぶりとなる宮崎監督作に期待が高まります。

宮崎駿監督5年ぶりの新作「風立ちぬ」
宮崎駿監督5年ぶりの新作「風立ちぬ」

物語は、ゼロ戦設計者の堀越二郎と、同時代に生きた文学者・堀辰雄の人生をモデルに生み出された主人公の青年技師・二郎が、関東大震災や世界恐慌による不況に見舞われ、やがて戦争へと突入していく1920年代から30年代という時代にいかに生きたか、その半生を描きます。幼い頃から空にあこがれを抱いて育った学生・堀越二郎が、後に人生の伴侶となる少女・菜穂子との運命的な出会いや震災後の混乱期を経て、飛行機設計技師として就職。そしてある夏、菜穂子と再会して2人は恋に落ち、二郎は病弱な菜穂子を気遣いながらも、その存在に支えられ、これまでにない新たな飛行機作りに没頭していきます。

戦争や震災が背景としてはありますが、その悲劇を描くのではなく、あくまで描かれるのは「美しい飛行機を作りたい」という夢を追い続ける堀越二郎という人物。その人物にモデルはいるけれど物語はフィクションであり、劇中には二郎があこがれるイタリアの飛行機設計士カプローニとの時空を超えた交流というファンタジーな場面が挿入されたり、効果音が人の声を加工して作られていたりと、いろいろと不思議な手触りの作品です。「子どもたちのための映画」と言っていた前作「崖の上のポニョ」とは、またかなり違った大人向けの作品と言えるかもしれません。御歳72歳の宮崎監督の最高傑作という声もあり、その創作意欲には驚かされます。

また、そんな「風立ちぬ」と同日公開となる大友克洋監督の「SHORT PEACE」も、日本アニメを語る上では決して見逃せない1本でしょう。

(上段)大友克洋監督最新作「火要鎮」、(下段・左から)「GAMBO」「九十九」「武器よさらば」
(上段)大友克洋監督最新作「火要鎮」、(下段・左から)「GAMBO」「九十九」「武器よさらば」

「AKIRA」で日本のアニメを世界に知らしめた大友監督の、劇場公開アニメとしては9年ぶりとなる新作。大友監督が手がけた「火要鎮(ひのようじん)」ほか4つの短編から成るオムニバス作品で、「火要鎮」単体としては文化庁メディア芸術祭でアニメーション部門大賞を受賞するなど評判で(2月の当コラム参照)、海外の映画祭上映を経て満を持しての劇場公開となります。

「火要鎮」は江戸時代の町娘の悲恋を描いた作品で、SFやサイバーパンクの印象が強い大友監督が絵巻物のように描く江戸の町並みや風俗も見どころ。「SHORT PEACE」そのものは「日本」をテーマに掲げており、4編のうち3編が時代劇で、1編が日本アニメが得意とするSFメカアクションという構成で、それぞれの短編が描く“日本観”にも注目です。

2004年に宮崎監督の「ハウルの動く城」、大友監督の「スチームボーイ」、そして押井守監督の「イノセンス」が同年に公開され、アニメ巨匠の新作がでそろった年がありました。あれから10年近くがたち、新世代の作家の活躍やアニメを取り巻く社会的状況も大きく変わりましたが、やはり巨匠の新作がきれいに出そろうというのは稀なこと。文字通り10年に1度のプレミアムな年という、アニメ好きにはなんともぜいたくな夏を楽しんでもらえればと思います。

筆者紹介

映画.com編集部のコラム

映画.com編集部・あさかよしあき。編集部のアニメ好き。若手女優やアイドルのチェックにも余念がない。もちろん普通に映画も好き。

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