「死刑にいたる病」白石監督が選ぶベスト映画、最近もっとも感銘を受けた作品は?【あの人が見た名作・傑作】

2022年5月14日 13:00


意欲作を手がけ続ける白石和彌監督
意欲作を手がけ続ける白石和彌監督

映画を見に行こうと思い立ったとき、動画配信サービスで作品を鑑賞しようとしたとき、何を見れば良いのか分からなかったり、選択肢が多すぎて迷ってしまうことは誰にでもあるはずです。

映画.comでは、新企画「あの人が見た名作・傑作」をスタートさせます。映画業界、ドラマ業界で活躍する著名人がおすすめする名作、傑作をご紹介していきます。第1回は、最新作「死刑にいたる病」が大ヒット中の白石和彌監督です。


【紹介してくれた人:白石和彌監督】

画像2
画像3

白石監督は故若松孝二監督に師事し、2010年に「ロストパラダイス・イン・トーキョー」で長編監督デビューを果たしました。13年に公開された第2作「凶悪」で注目され、新藤兼人賞金賞などを受賞。その後も「日本で一番悪い奴ら」「彼女がその名を知らない鳥たち」「凪待ち」「ひとよ」など、意欲作を次々と手がけています。さらに、柚月裕子氏の小説を原作に警察とやくざの攻防を描いた「孤狼の血」「孤狼の血 LEVEL2」が大きな話題を呼んだことも、記憶に新しいです。


●「戦場のメリークリスマス」見る度に印象が鮮烈になり、より胸を打つ

「戦場のメリークリスマス」
「戦場のメリークリスマス」

――白石監督にとって、生涯のベスト映画を教えてください。

白石:生涯ベストなんてとても決められないですが、最近、大島渚監督の映画をずっと見直していたので「戦場のメリークリスマス」ですね。最初は自宅で、VHSで見ました。その後、大島監督の特集上映で見て、昨年の4Kリマスターでも見ました。見る度に印象が鮮烈になり、より胸を打つような感じがします。

――この作品が監督の心を揺さぶり続けるのは何故だと思いますか?

白石:1シーン、1シーンが鮮烈に記憶にこびりつくのですが、なぜ心を揺さぶられているのか、明確に言語化出来ないところが凄まじいです。見る度に自分の中のクリエイティブの部分をデトックス出来ます。と同時に、映画って難しいなと感じます。

【「戦場のメリークリスマス」作品情報】
大島渚監督が、第2次世界大戦中のジャワの日本軍捕虜収容所を舞台に、極限状況に置かれた人間たちの相克を描いた異色のヒューマンドラマ。日本軍のエリート士官ヨノイと連合軍捕虜セリアズ少佐の愛情めいた関係を中心に、日本軍人と西洋人捕虜との関係が興味深く描かれる。第36回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された今作は、デビッド・ボウイ坂本龍一ビートたけしといった国内外の異色のスターが共演。坂本の音楽も高い評価を獲得し、テーマ曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」は英国アカデミー賞で作曲賞を受賞した。2021年4月、デジタル素材に修復した4K修復版でリバイバル公開。


●「TITANE チタン」“俺は今、何を見ているんだろう”という快感

「TITANE チタン」
「TITANE チタン」

――最近見たなかでは、どのような作品に感銘を受けましたか?

白石:周りがざわついていたので見に行った「TITANE チタン」です。キャラクターのユニークさと、神話のような物語の美しさに惹かれました。

――もっともグッときたシーン、ポイントはどのようなところでしたか?

白石:見ているあいだ中、“俺は今、何を見ているんだろう”という快感がありました。それでいて、全てのシーンが映画以外のなにものでもなく、ずっと体温が上がりっぱなしでしたね。

【「TITANE チタン」作品情報】
RAW 少女のめざめ」で鮮烈なデビューを飾ったフランスのジュリア・デュクルノー監督の長編第2作。頭にチタンを埋め込まれた主人公がたどる数奇な運命を描き、第74回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた。幼少時に交通事故に遭い、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。それ以来、彼女は車に対して異常なほどの執着心を抱き、危険な衝動に駆られるようになってしまう。自身の犯した罪により行き場を失ったアレクシアは、消防士ヴィンセントと出会う。ヴィンセントは10年前に息子が行方不明となり、現在はひとり孤独に暮らしていた。2人は奇妙な共同生活を始めるが、アレクシアの体には重大な秘密があった……。


――最新作「死刑にいたる病」について。ひとつに絞り切れないとは思いますが、「ここだけは見逃さないで!」というシーンを教えてください。

白石:面会室のふたり(阿部サダヲ岡田健史)のやり取りを注目して見てください。色々と工夫していますので。

「死刑にいたる病」
「死刑にいたる病」

白石和彌監督最新作「死刑にいたる病」(公開中)

阿部サダヲ岡田健史を主演に迎え、櫛木理宇氏の小説「死刑にいたる病」を映画化したサイコサスペンス。鬱屈した日々を送る大学生・雅也のもとに、世間を震撼させた連続殺人事件の犯人・榛村から1通の手紙が届くところから物語は動き始める。24件の殺人容疑で逮捕され死刑判決を受けた榛村は犯行当時、雅也の地元でパン屋を営み、中学生だった雅也もよく店を訪れていた。手紙の中で、榛村は自身の罪を認めたものの、最後の事件は冤罪だと訴え、犯人が他にいることを証明してほしいと雅也に依頼。独自に事件を調べ始めた雅也は、想像を超えるほどに残酷な真相にたどり着く……。

死刑にいたる病」全国の上映館情報はこちら(https://eiga.com/movie/95557/theater/)で確認することができる。

Amazonで今すぐ購入

DVD・ブルーレイ

Powered by価格.com

関連ニュース

映画ニュースアクセスランキング

本日

  1. 「シティーハンター」Netflix週間グローバルTOP10で初登場1位 鈴木亮平「素晴らしいニュースに心が震えています」

    1

    「シティーハンター」Netflix週間グローバルTOP10で初登場1位 鈴木亮平「素晴らしいニュースに心が震えています」

    2024年5月1日 08:00
  2. 江國香織が「東京タワー」撮影現場を訪問 永瀬廉、板谷由夏と鼎談「本当にお2人が美しかった」

    2

    江國香織が「東京タワー」撮影現場を訪問 永瀬廉、板谷由夏と鼎談「本当にお2人が美しかった」

    2024年5月1日 06:00
  3. ロバート・ダウニー・Jr.はアイアンマン復帰に前向き でも「アベンジャーズ」監督は…

    3

    ロバート・ダウニー・Jr.はアイアンマン復帰に前向き でも「アベンジャーズ」監督は…

    2024年5月1日 15:00
  4. 「シティーハンター」下品なアラジンから超本格ガンアクションまで “おバカっこいい”アクションシーン舞台裏

    4

    「シティーハンター」下品なアラジンから超本格ガンアクションまで “おバカっこいい”アクションシーン舞台裏

    2024年5月1日 18:30
  5. 【「猿の惑星」シリーズを振り返り】猿が人間を支配する驚きの世界 最新作はどうなる?

    5

    【「猿の惑星」シリーズを振り返り】猿が人間を支配する驚きの世界 最新作はどうなる?

    2024年5月1日 09:00

今週